| 泥棒成金 1955・米 | |
![]() 監督:アルフレッド・ヒッチコック 原作:デビッド・ダッジ 撮影:ロバート・パークス 音楽:リン・マーレイ 出演:ケイリー・グラント グレイス・ケリー シャルル・バネル ロイス・ランディス ブリジッド・オーベール ジョン・ウイリアムズ ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 「ダイヤが無いわ」「宝石が盗まれた」 ここは南フランスのリゾート地、リヴィエラ。最近、宝石泥棒が出没している。金持ちの別荘や邸宅の屋根から忍び込む手口は、戦前に“猫”という異名で活躍したジョン・ロビー(ケイリー・グラント)のものにそっくりだった。 ジョン・ロビーは、今は泥棒稼業からすっかり足を洗い、ニースに買った別荘で悠悠自適の生活をしていたが、ある日、突然警察の車がやって来た。彼を参考人として事情聴取するというのだ。 ロビーは刑事達の目を盗んで車で逃げ出した。慌てて追う刑事の車。 刑事の追跡をかわしたロビーは、戦時中のレジスタンス仲間、レストランを経営するベルターニ(シャルル・バネル)の店を訪ねた。ベルターニは近頃の犯行をロビーの仕業ではないかと疑いの目で見たが、ロビーは身の潔白を訴え、自分で犯人を捕まえてみせると言った。 ベルターニが耳よりな情報を提供した。数日前、変な男が現れて、レストランの客で高価な宝石の持ち主を探しているというのだ。 その時、店に刑事がやって来た。ロビーはベルターニの指示でソムリエのフッサールと地下室へ降り、フッサールの娘ダニエル(ブリジッド・オーベール)とモーターボートに乗り、カンヌのビーチクラブに向かった。 カンヌに着いたロビーにベルターニからの連絡で、例の変な男と会えるという。現れた男はヒュースン(ジョン・ウイリアムス)といい、保険会社から宝石泥棒の被害調査にやって来た調査員だった。 ロビーはヒュースンに事情を話し、宝石に保険を掛けている顧客のリストを入手する。 ロビーは身の潔白を証明するために、なるべく早く警察を納得させる証拠を掴まなければならない。 そのリストにもとづきロビーが近づいたのは、富豪夫人のスティーブンス(ロイス・ランディス)だ。スティーブンス夫人は娘のフランシー(グレイス・ケリー)とカールトンホテルに滞在していた。 フランシーは一見冷たく、ロビーに関心を示さない態度だったが、ロビーが彼女の部屋へ送って行くと、ドアに入り際に振り向き、いきなりキスをしてきた。 ロビーはフランシーと海水浴をした後、彼女の車でドライブする。何時の間にか警察の車が後をつけていた。フランシーがスピードを上げる。ロビーは顔に似合わない運転にハラハラする。 警察を振り切ったあと、ロビーの正体をフランシーが口にしたので驚く。今回の事件もロビーの仕業と思っているようだ。 その夜、花火の打ち上げを部屋の中から見ながら熱く抱擁を繰り返す二人。 宝石の盗難は続いていた。ロビーが下調べをした宝石所有者の別荘が次々に狙われている。ロビーはヒュースンに連絡を取り、警察に出動を要請し、深夜に次の目標とおぼしき邸宅へ出かけて様子を窺う。 すると怪しい人影が出現し、もみ合いになった。張り込んだ警察が取り押さえてみると、ベルターニの店のソムリエのフッサールだった。 警察はフッサールを真犯人と断定し、発表した。しかし、ロビーは釈然としなかった。フッサールは義足で屋根から忍び込むのは困難なのだ。 近く大邸宅で開かれる仮装舞踏会が勝負どころだとロビーは考えた。 仮装舞踏会の夜。客たちはそれぞれルイ王朝風のいでたちで集まってきた。フランシーとスティーブンス夫人に付き添ってインド王子の仮面をかぶり現れた男がロビーだと刑事達は見抜く。フランシーとインド王子の仮面の男は延々と踊りつづける。やがてフランシーの部屋で男が仮面を取ると、なんとヒュースンだった。 その頃、ロビーは屋根の上で潜んで偽者の“猫”の出現を待っていた。深夜になり、刑事達も引き上げようとした時、屋根の上の暗闇に気配があった。ロビーが影を追う。二つの影が屋根の上で踊った。黒い影が屋根から滑り落ち、樋に捕まってぶら下がった。 その人物はフッサールの娘、ダニエルだった。ロビーが落ちそうになるダニエルの手を掴んだ。「下に聞こえるように大声で言え」ロビーは叫んだ。誰の指図か言わなければ手を離すと脅すと、ダニエルは白状した。「ベルターニよ。彼の命令でやったのよ」 事件が解決した。ロビーの別荘にフランシーが訪ねて来ていた。フランシーは当たり前のように言ってのけた。「この別荘ならお母さんも喜んでくれるわ」 ロビーは“我がままなお嬢さんは、勝手に話を進めて困ったもんだ”と、肩をすくめるのだった。 |
| 映画館主から 南フランスのリゾート地、リヴィエラを舞台に、ケイリー・グラントとグレイス・ケリーがロマンスに花を咲かせるロマンチックミステリー。 まるで観光を楽しむような風光明媚なロケーションで、リッチな気分になること請け合い。 ただしその分、他のヒッチコック作品と比べると、スリルとサスペンスは今ひとつというところです。 屋根という高いところをヒッチコックらしく、用いています。落ちる、というのは人間の本能的な恐怖感ですが、彼は多くの作品でそれを題材にしており、枚挙にいとまが無いほどです。その究極はやはり「めまい」’58年でしょうか。「北北西に進路を取れ」’59年のラスト、ラシュモア山の大統領の顔の上でのサスペンスも相当見せてくれました。 ケイリー・グラントはジェームズ・スチュアートと並んでヒッチコックのお気に入り男優の一人。都会的なセンスで魅了します。 グレイス・ケリーもヒッチコックのお気に入り女優の一人ですが、本作の翌年にモナコ王妃に迎えられ映画界を引退、再三の映画界への復帰要請が実現しないまま、’82年9月、自動車事故で死去。それは奇しくも「泥棒成金」の撮影で走った、思い出のコートダジュールのハイウエイでのことでした。享年53歳でした。 他に「恐怖の報酬」のシャルル・バネル、「ダイヤルMを回せ」のジョン・ウイリアムズなど、芸達者が洒脱な演技を披露しています。 参考文献:「ヒッチコックを読む」 フィルムアート社 |
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