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「ユリシーズ」 |
| ユリシーズ 1954・伊 | |
![]() 製作:ディノ・デ・ラウレンティス カルロ・ポンティ 監督:マリオ・カメリーニ 原作:ホメロス 脚本:エンニオ・デ・コンチーニ ベン・ヘクト 撮影:ハロルド・ロッソン 音楽:アレッサンドロ・チコニーニ 出演:カーク・ダグラス シルバーナ・マンガーノ アンソニー・クイン ロッサナ・ポデスタ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 10年にわたるギリシャとトロイの戦い。 ある日、ギリシャ軍は巨大な木馬をトロイの城外に残したまま退却した。木馬を見たトロイ軍は、それを神の贈り物と信じ、城内に引きずっていった。 その夜、木馬の中に潜んでいたユリシーズ(カーク・ダグラス)とその部下たちは城門を開け、退却したかに見えた味方を引き入れトロイ軍を陥落させた。 有名なトロイの木馬はユリシーズの考案であり、彼は英雄となる。 ユリシーズの故郷、イタカ国では、王ユリシーズの帰りを1日千秋の思いで待つ妻ペネロペ(シルバーナ・マンガーノ)がいた。 王宮ではユリシーズの留守を幸いに、貴族たちが日夜、歓楽を享受しペネロペに再婚を迫るのだった。貞節なペネロペはそんな男たちに豪華な織物を織り上げたら新しい結婚相手を選ぶと言い、昼間織った織物を夜になると解いて、ユリシーズの帰りを待ちわびていた。 しかし、ペネロペのほかは誰一人ユリシーズの生還を信じてはいなかった。 イタカの国の近くの平和な島。ある日、フェアーチ人の王女ナウシカア(ロッサナ・ポデスタ)は、海岸に打ち上げられていた男を発見し、王宮に連れ帰った。 男は一切の記憶を失っており、名前も思い出せない。 ナウシカア姫は男に思いを寄せ、男も愛を受け入れた。 やがて、二人の結婚式の日、彼は自分が流れ着いた海を見つめていた時、突如として記憶を取り戻した。彼こそトロイを陥落させたユリシーズ、その人であった。 ユリシーズはトロイを陥落した後、トロイを出帆したが、まもなく猛烈な暴風雨に襲われた。それは、ユリシーズがトロイの海神の神殿を潰した報いであった。 やっとのことで嵐を抜けた一行は、ある日、とある島にたどり着く。 探索のすえ、食料が置いてある不思議な洞窟にたどり着いた。腹ごしらえをした一行は仰天した。一つ目の巨人が帰ってきたのだ。その洞窟は巨人の棲家であった。 彼らを見つけた巨人は入り口を岩で塞ぎ、一人を手で掴むと瞬く間に食べてしまった。 巨大な岩は人間には動かせない。このままでは全員が一つ目の巨人の餌食になってしまう。ユリシーズは妙案を思いつく。島にある葡萄を巨人に採ってこさせ、大量の葡萄酒を作った。そして、巨人に飲ませた。巨人は美味さのあまり、葡萄酒に酔いつぶれてしまった。 その時、ユリシーズは丸太の先端を尖らせ火で焼いて、眠りこける巨人の目に突き立てたのだ。 轟くような叫びをあげ、怒り狂った巨人は暴れまわる。ユリシーズがふさがれた岩の近くで巨人を嘲ると巨人は岩を跳ね飛ばした。その隙を狙って全員が脱出したのだった。 再びの航海、彼らは幾多の怪奇なる苦難に耐え、不気味な島にたどり着く。 一同は上陸したが、ユリシーズが振り返ると部下達の姿がない。 そして、ユリシーズの前にこの世のものとも思えぬ美しい女が立っていた。ユリシーズは女に引き寄せられるように近づくとその女を抱きキスした。 その女は魔女チルチェ(シルバーナ・マンガーノ・二役)だった。魔女チルチェはユリシーズの妻ペネロペに瓜二つだった。 ユリシーズの部下達はチルチェの魔法で全員、豚の姿に変えられていたが、ユリシーズの頼みを聞き入れたチルチェは元の姿に戻してやった。 チルチェの魔力に魅せられたユリシーズは、故国も妻子も忘れ、チルチェとの愛欲の日々に明け暮れていた。それはやがて6ヶ月にならんとしていた。 部下達はユリシーズにしきりと帰国をうながす。ユリシーズの拒絶に我慢できず、とうとう部下達はユリシーズを残したまま船を出して出帆した。 その夜、チルチェの予言通り、もの凄い嵐が海を襲った。部下達は船もろとも海のもくずと消えた。 それを見たユリシーズは嘆き、帰国を決意した。 一人、筏を組むユリシーズを見て、チルチェは、もし彼が島に留まるなら不死を与えようと約束したが、ユリシーズの決意は変らない。 そして、魔女チルチェの島を後に荒海に乗り入れたのである。そして・・・・ ユリシーズの長い回想は終わった。ナウシカア姫とアルチノオ王は、彼こそトロイを陥落させたイタカ国の王、ユリシーズであることを知った。 ユリシーズは王に帰国を希望した。ナウシカア姫は嘆いたが、ユリシーズの決意は固く揺るがない。 王はユリシーズに帰国のための船を用意した。 かくしてユリシーズは、再び懐かしいイタカ国の土を踏んだ。しかし、貴族たちの裏切りを知って、乞食姿に身をやつし、彼らの動静を探る為に王宮の近辺をさ迷った。貴族たちに復讐しなければならない。 一方、ペネロペの織物の秘密は、侍女メラントの密告で周囲に知れ渡っていた。押し寄せる求婚者たちの脅迫に抵抗しきれなくなったペネロペは、王宮に入ってきたユリシーズの戦友と称する不思議な乞食の提案に従い、弓技の勝利者と結婚すると宣言した。 それは、かってユリシーズの引いた強弓による競技である。 つわ者たちがその弓を引こうと挑戦するがことごとく失敗した。一番強引にペネロペに結婚を迫っていた貴族の長、アンティノオ(アンソニー・クイン)にもその弓は引けなかった。 その時、例の乞食が現れ、試射を願いでた。貴族たちは嘲笑したが、ペネロペはそれを許した。 人々が見守る中、乞食は軽々と矢をつがえるとひゅっと射たのだ。あっけにとられる貴族たちを尻目に乞食が走る。身にまとったボロを脱ぎ捨てると、それは王ユリシーズの姿であった。ペネロペの顔が喜びに輝く。 「裏切り者め」ユリシーズは、まずアンティノオの胸を射貫く。そして大広間は一変して修羅場と化した。ユリシーズは我が子テレマコと忠臣の助けを得て、貴族たちを倒した。 今や、ユリシーズの胸に愛するペネロペがあった。復讐は終わったのだ。 長い苦難に満ちた冒険の旅が終わり、夢にまで見た本当の安らぎを得たのである。 |
| 映画館主から ホメロス(紀元前10世紀のギリシャの詩人)の一大叙事詩「オデッセイア」の映画化。 英雄ユリシーズがトロイ戦争からの帰還の途中に遭遇する、波乱万丈の恋と冒険の物語です。 今から半世紀も前に、製作に2年以上、登場人員5000、当時の邦貨にして7億円以上もかけたイタリア映画界の超大作です。 主演のユリシーズにアメリカのタフガイ、カーク・ダグラス。 妻ペネロペと魔女チルチェの二役にイタリアの代表的女優でこの映画の製作者である大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティス夫人でもあるシルバーナ・マンガーノ、宿敵アンティノオにアンソニー・クイン、ナウシカア姫にロッサナ・ポデスタ(後に「黄金の七人」シリーズの主演で大ヒットを飛ばす)など、豪華な配役陣です。 実はこの映画、私は未見でした。長年探し求めてビデオ化されていないと諦めていたのですが、先日、新宿の「TSUTAYA」で偶然目にし、やっと見ることができました。 まったく同じ題材を扱ったフランシス・F・コッポラの近作「オデッセイ」のほうが丁寧に作っていますが、何しろカーク・ダグラスの「ユリシーズ」は私にとってそれ以上に値打ち物なのです。 資料の提供に関しては、日本推理作家協会の会員で映画評論家でもある友人、関伸行氏のお世話になりました。ここに御礼を申し上げます。 参考文献:公開時パンフレット(関伸行氏所蔵) |
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