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「ホワイトナイツ」 |
| ホワイトナイツ/白夜 1985・米 |
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![]() 監督:テイラー・ハックフォード 脚本:エリック・ヒューズ ジェームズ・ゴールドマン 撮影:ディビッド・ワトキン 音楽:ライオネル・リッチー他 出演:ミハイル・バリシニコフ グレゴリー・ハインズ イザベラ・ロッセリーニ イエルジー・スコリモフスキー ヘレン・ミレン ジェラルディン・ペイジ ジョン・グローバー ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 ロンドンから東京に向かう国際線のボーイング747。8年前にソ連からアメリカに亡命したバレエ・ダンサー、ニコライ(ミハイル・バリシニコフ)がマネージャーのアン(ジェラルディン・ペイジ)と搭乗していた。 太陽が沈むことのない北極の白夜の中を進んでいたボーイング747が突如、エンジンの故障であえぎ始めた。 瞬く間に高度が下降する。機長は即断する。ソ連空軍基地の施設を破壊する覚悟で機は緊急着陸した。機体は翼が折れ火を噴出した。ニコライは負傷しながらも着陸する寸前にトイレで身元を示すパスポートやクレジットカードをちぎって流した。 病院のベッドで気が付いたニコライの前にKGBのチャイコ大佐(イエルジー・スコリモフスキー)が笑みを浮かべていた。 「おかえり、ニコライ」 パスポートの破片がパラパラとニコライの胸の上に散った。 米国民であるニコライはアメリカ大使館への連絡を申し出るがチャイコは亡命者は犯罪であるとして拒否した。 ニコライは意識不明の重傷者として拘留され、マネージャーのアンは他の搭乗者と共にモスクワ経由で西側に移されることになった。 黒人のレイモンド(グレゴリー・ハインズ)は、タップダンサーである。貧しいハーレム出身の彼はアメリカのベトナム介入にプロテストしたが母国を捨てた。ベトナム戦争でのアメリカに絶望したのだ。今はシベリヤに住み、ダーリャ(イザベラ・ロッセリーニ)というソ連女性と結婚していた。 しかし、彼に許された芸術上の自由はシベリヤ芸術劇場の公演だけだった。 チャイコ大佐はこの機会にニコライを母国に取り戻したかった。新装されるキーロフ劇場にニコライを再び登場させソ連の威信を回復する。そのためにレイモンドを利用できないか・・・・・。 彼はレイモンドとダーリャにモスクワへの復帰を約束する替わりにニコライに亡命権を放棄させ再びレニングラードのキーロフ・バレエで公演するよう説得に力を貸すよう話した。ニコライの監視役であった。 それはほぼ強制的なものだったが、レイモンドは要求を呑んだ。ダーリャを今の境遇に追い込んだ負い目があったのである。 ニコライはレイモンドの家に預けられたが、それは監禁状態に近いものだった。監視カメラと盗聴器が彼らを監視する。 「あんたらはKGBの手先か!」 ニコライはレイモンドとダーリャを非難する。しかしダーリャは自己の利益を守るために世界を支配するようなアメリカに亡命する行為は道義心をなくした人間のすることだと反論した。 芸術の自由を守るために母国を捨てたロシア人と、自国の政治に反発して芸の桧舞台を捨てたアメリカ人の奇妙な共同生活が始まった。 チャイコ大佐はニコライ説得を急がせるためレイモンドにプレッシャーをかけ重労働に付かせるかもしれないと脅しをかける。 遂にニコライは折れた。ダンスをすることを了解した。彼は意識不明とされたままレイモンドとダーリャと共にレニングラードに移された。 アメリカ大使館は意識不明のままだという公式発表を額面どうりに受け止めた。ニコライと一緒でなければ帰国しないというマネージャーのアンにスミス大使(シェーン・リマー)とCIAのウィン(ジョン・グローバー)は事態の処理は自分達に任せて欲しいと説得を続けていた。 ニコライはレニングラードでかっての恋人ガリナ(ヘレン・ミレン)と再会した。彼女は同じバレエダンサーであった。ニコライの亡命当時、彼女も亡命に関係したとして様々な目に会い長い間冷遇されてきたが、その苦難を乗り越え今ではキーロフバレエで尊敬される存在になっていた。 ガリナがニコライに懐かしさと同時に憎しみを抱いたとしても誰にも咎めることは出来ない。しかし、ニコライの自由は公演の時だけで将来に何の保証も無いと聞かされ、彼女の心は次第に和らいでゆく。 ニコライが脱走を企てたという通報がチャイコ大佐の耳に入りダーリャがKGBの手で突然連れ出された。ニコライが早くリハーサルに入るよう圧力をかけるためのチャイコの汚い手だった。 レイモンドは妻に負い目を感じて生きてきたが、無理に引き離された今、激しい怒りを感じた。しかもダーリャは身重の体だったのである。レイモンドはニコライに激しく突っかかっていく。 同時に二人の心に同じ穴の人間という意識が芽生えてきたのだ。ダンスに生きる!生きる道は同じだという意識が強く湧き上がってきたのだった。次第に二人に友情が芽生えていく。ダーリャを何とかして取り戻したら白夜に別れを告げよう!ニコライは再びガリナに会うことにした。 ガリナとニコライは過ぎ去った日々の懐かしい思い出を語り合った。 「あなたは劇場に伝説を残したわ」 「あるいはそうかもしれない。西側では自分を自由に表現できるんだよ。ソ連では触れることができない芸術に近づくことができるんだよ、ガリナ」 ニコライはガリナ一人が見守るキーロフの舞台に立った。自由を求めるロシア人の気持ちをうたったウラジミール・ビソッキーのバラードに合わせてニコライの鍛え抜かれた肉体が躍動する。 ガリナの心は決まった。僕と一緒にというニコライの言葉をさえぎって、彼女は彼が望むところすべてに力を貸そうと決意したのだ。たとえ自分が再び苦境に立つことになろうとも・・・。 ダーリャが帰ってきた。リハーサルスタジオにニコライとレイモンドのダイナミックなダンスが繰り広げられた。彼らを監視するカメラの前で・・・。 外交官のレセプションの日。チャイコの目を盗んでガリナはCIAのウィンにニコライの近況を伝えることに成功した。アンはそれを知り小躍りして喜んだ。だが、これを公にすることはニコライに死を与えかねないとウィンは忠告するのだった。 ニコライ、レイモンド、そしてダーリャ。自分の人生に嘘の無い生き方を求めての白夜の脱出。ビルの高層階からあらかじめ用意したロープで隣のビルへニコライが飛び移る。次にダーリャをロープに伝わせる。最後にレイモンドの番だったが、下にチャイコの車が戻ってきたのが見えた。レイモンドはとっさに方針を変えた。 自分は囮になることを選んだのだ。 ニコライとダーリャはアメリカ大使館に逃げ込んだ。数日後の深夜、レイモンドはチャイコに車で連れ出された。処刑か!?レイモンドは不安に襲われる。だが国境にはニコライとダーリャが彼を待っていた。捕虜交換が成立したのだ。 レイモンドはダーリャと抱き合った。そしてニコライとも。 |
| 映画館主から テイラー・ハックフォード監督の超一級のダンス映画の秀作。 その背景に当時のソ連とアメリカの冷戦時代の政治状況が複雑に絡みます。 彼の映画監督第4作作品です。第2作には大ヒット映画「愛と青春の旅だち」(’84年)を手がけています。 映画と同様の体験の持ち主であるバレエダンサー、ミハイル・バリシニコフと、タップ・ダンスの天才と呼ばれるグレゴリー・ハインズの二大スター共演で二人のダンスを堪能すること請け合いです。 それにイングリッド・バーグマンの娘のイザベラ・ロッセリーニ、ヘレン・ミレン、ジェラルディン・ペイジが花を添えています。 映画の冒頭、ミハイル・バリシニコフが踊る『若者と死』は圧巻で、我々は一気に映画の世界に引き込まれてしまいます。 この映画の撮影にあたっての苦労は撮影場所でした。このような題材の映画をソ連が許可する訳がなく、レニングラードに見立てられたのはフィンランドのヘルシンキでした。また、キーロフ劇場に良く似たポルトガルのリスボンにあるサンカルロス・オペラ劇場で行われました。 ラストの脱出劇は手に汗握ります。高層階から隣の建物へのロープを使っての脱出。この辺はサスペンス映画の趣があります。 ライオネル・リッチーによるエンディングテーマ、『Say You Say Me』が耳に心地よく、アカデミー賞の主題曲賞に輝きました。 参考文献:公開時パンフレット |
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