「暗くなるまで待って」
暗くなるまで待って 
        1967・米
暗くなるまで待って

製作:メル・フェラー
監督:テレンス・ヤング
原作:フレデリック・ノット
脚本:ロバート・キャリントン
    
ジャン・ハワード・キャリントン
撮影:チャールズ・ラング
音楽:ヘンリー・マンシーニ

出演:オードリー・ヘップバーン
    アラン・アーキン
    リチャード・クレンナ
    エフレム・ジンバリスト・Jr.
    サマンサ・ジョーンズ


リチャード・クレンナとヘップバーン

アラン・アーキンがヘップバーンに襲い掛かる

ヘップバーンとエフレム・ジンバリストJr

「暗くなるまで待って」ポスターkuraku

       
物語

ケネディ国際空港に降り立ったカメラマンのサム(エフレム・ジンバリスト・Jr)は、同じ飛行機に同乗していた金髪の女から人形を預けられた。訳がわからぬまま人形を持ち帰ったのだが・・・それが、事件の始まりだった。その人形の中に麻薬が縫いこまれていたのだ。

サムの妻スージー(オードリー・ヘップバーン)は、数年前事故にあい、失明していた。そのスージーの留守中、アパートに怪しげな3人の男が現れた。
マイク(リチャード・クレンナ)とカーリノ(ジャック・ウエストン)、それにロート(アラン・アーキン)だ。

ロートは他の2人を金で仲間に引き入れて、サムが持ち帰った人形を探し出そうとしているのだ。
「人形を探せ」ロートの命令口調に反撥しながらアパート中を捜す。2人はクローゼットの中に金髪の女の死体を発見して驚愕する。
「俺に逆らうからああなる」 ロートが言った。

そこへ、スージーが帰ってきた。3人が息をひそめていると、スージーはサムに電話を入れた後、再び外出した。死体を片付け始める2人。「えらいことになった・・・」

翌朝、サムが仕事に出た後、スージーの部屋にマイクが訪れた。サムの友達だと言う。その時、上の偕に住む眼がねをかけた少女、グロリアがドアを開けて入ろうとしたが、マイクがいたので帰っていった。

マイクが又来るといい、帰った後、再びグロリアが来た。両親が離婚したグロリアは反抗的な少女だが、スージーの良き話し相手なのだ。

その後、変装したロートがわめきながら突然やってきたり、マイクが忘れ物をしたと戻ってきたり、刑事に化けたカーリノが来たり、入れ替わり立ち替わりに3人がスージーの部屋を訪れる。
3人が芝居を打って人形のありかを探っているのだが、スージーは口を割らない。実は人形が無くなっていたのだ。

しかし、サムの友達だというマイクは信頼できそうだ。そしてこの近くで起きた殺人事件と人形が関係があり、サムに嫌疑が及ぶと聞かされ、スージーは不安に駆られた。マイクは連絡先の電話番号を告げて去る。

グロリアが人形を手にそっと入って来た。気付いたスージーが言った。
「上で見張っていて、外の車の中にいる人が電話ボックスに入ったら、この部屋に電話して。2回で切ってね」「合図ね」グロリアが応じた。
その時、オルゴールの音がした。人形が鳴ったのだ。
「あなたね」「ちょっと借りてたの」スージーはあせった。「早く隠さなきゃ」洗濯器の中へ隠す。

グロリアが上に上がった後、カーリノが来た。「金庫の中に人形があるんだろ」その場でロートに電話をするカーリノ。
外の車から出たロートが電話ボックスに入り、出た。部屋の電話が鳴る。2回で切れた。グロリアの合図だ。

カーリノが帰った後、スージーはマイクに電話した。「人形があったのよ、これで大丈夫ね」 マイクは答えた。「すぐに行く」
その時、部屋の電話が鳴る。2回で切れた。スージーはパニックに襲われた。マイクも外の車にいる!皆、仲間だったんだ!

間も無くマイクが来た。「人形はどこだ」 カーリノとロートも続いて入って来た。「ここには無いわ、2ブロック先のスタジオにあるの」 スージーはでまかせを言った。

3人がスタジオに向かった後、スージーは水道管を叩いてグロリアを呼ぶ。「サムを呼んできて、急いで」
そして警察に電話をかけようとした。電話線が切断されていた。
スージーは杖を振り回し、部屋の中の電灯を壊し始める。灯りを消して暗闇にすれば相手も自分と条件は同じだ。

その頃、カーリノはロートの車で轢かれ死んだ。
マイクが部屋に入って来た。マイクが人形を要求したが、断固知らないと言い張るスージーに、「貴方は強い女だ」と、認めざるを得ない。「貴方もサムも人形とは何の関係もない」マイクは立ち去ろうとした。
そのマイクの背後からロートが現れた。マイクはロートのナイフで刺されていた。

ロートはスージーの部屋に何かを撒き始めた。液体。
「ガソリン!」スージーが叫んだ。「解ったわ」「いい子だ」ロートがイスに座った。その時、花瓶に入れて用意していた定着液をロートの顔に浴びせた。
完全な暗闇の中でロートが咽ぶ。スージーがロートに杖で床を叩かせ居場所を明確にさせた。しかし、ロートは冷蔵庫のドアを開けた。灯りが部屋を照らす。
ドアには鎖が巻きつけられ開かない。「人形を渡すからやめて!」スージーは屑篭に隠した人形を取り出しロートに渡す。ロートは口笛を吹きながら人形の腹を切り裂き、麻薬の包みを取り出した。
スージーは、隙を見て台所のナイフを手にした。「寝室へ行こう」ロートはスージーを殺す気だ。「うっ」 一瞬の出来事。ロートの腹にスージーのナイフが突き刺さっていた。
逃げるスージー。ナイフを引き抜き、這いながら追うロート。冷蔵庫の灯りはドアにタオルが挟まれていてスージーは閉められない。

サムがグロリアの知らせを受け、警官を伴って戻った。真っ暗な部屋の中に死体が二つ転がっている。「あ」グロリアが指差した。冷蔵庫のドアの陰からスージーがよろめきながら立ち上がった。
「良く頑張った」 サムがスージーを抱きしめた。
映画館主から

「007は殺しの番号(ドクター・ノオ)」’62年、「007・危機一発(ロシアより愛をこめて)」’63年で一躍有名になったテレンス・ヤング監督のサスペンスの傑作。

ブロードウエイで大ヒットしたフレデリック・ノットの舞台劇の映画化です。
舞台劇だけに舞台の大部分が盲目の主人公の部屋にしぼられ、麻薬が隠された人形をめぐっての様々な人間の出入りと台詞のやり取りは、私のつたない文章力では表現が困難です。

夫が預ってきた人形を取り返そうとやって来た3人の男と対決する盲目の妻の話です。オードリー・ヘップバーンは盲目という難しい役柄をこなし、今までに無い芸域を広げました。

悪の権化、ロートを演じたアラン・アーキンは、「愛すれど心さびしく」’68年で、アカデミー主演男優賞にノミネートされるなどの演技派です。「アメリカ上陸作戦」’66年はデビュー作でしたが、コミカルなロシア兵を珍演して助演男優賞にノミネートされています。

映画の大詰めはもの凄いスリル。映画館の「非常口」の明かりも全部消して、文字通り真っ暗になりました。ヘップバーンの灯すマッチの炎だけが唯一の光で、観客も主人公と同様の恐怖を味わうという趣向です。確か、ラスト30分前から映画館の途中入場も禁止されていた筈です。

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