| ヒンデンブルグ 1975・米 |
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![]() 製作:監督: ロバート・ワイズ 原作:マイケル・M・ムーニー 脚本:ネルソン・ギディング リチャード・レビンソン ウィリアム・リンク 撮影:ロバート・サーティース 音楽:デビッド・シャイア 出演:ジョージ・C・スコット アン・バンクロフト ウィリアム・アサートン ギグ・ヤング バージェス・メレディス チャールズ・ダーニング ロイ・シネス ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 ナチス・ドイツがゲルマン民族の優秀性のシンボルとして威信を掛けて建造した空の豪華客船ヒンデンブルグ号。 全長245メートル、乗員100名の水素ガスを浮揚源とした大飛行船は既に37回も大西洋を横断している。 ドイツのフランクフルトとアメリカ・ニュージャージー州のレイクハーストを結ぶ航路も既に往復10回の飛行を無事に終了し、人々の間には新しい時代の乗り物としての評価が定着しつつあった。 1937年の春、ミルウォーキーに住むある女性が霊感を受け、「ヒンデンブルグ号が近いうちにアメリカ上空で時限爆弾によって爆発する」 と予言した。 ナチス当局は一笑に付したが、その安全性を脅かす動きには神経質にならざるを得ない。 ドイツ空軍のフランツ・リッター大佐(ジョージ・C・スコット)は、ヒンデンブルグ号の警護を任命された。リッターは最近のナチス・ドイツの政策に疑問を抱き始めており、ゲシュタポを毛嫌いしていた。 1937年5月3日朝。フライトの準備が整い、次々と乗客が乗り込んできた。ゲシュタポのボディチェックを受ける乗客。 フォン・シャルニッツ伯爵夫人(アン・バンクロフト)、ブロードウェイのプロデューサーで作曲家のリード・チャニングとその夫人、アメリカの大手広告代理店重役のエドワード・ダグラス(ギグ・ヤング)、アメリカの貿易商アルバート・ブレスローとその一家。イギリス陸軍少佐アール・ナビアとその友人エミリオ(バージェス・メレディス)、アクロバット曲芸士のジョゼフ・スパなどだった。 ヒンデンブルグ号の船長はマックス・ブルス(チャールズ・ダーニング)。一等係留士ベルト(ウィリアム・アサートン)は前夜、ビヤホールでゲシュタポの度を越えた船内点検を嘲笑していた。 リッターはフォーゲル(ロイ・シネス)という船専属カメラマンをゲシュタポの命を受けた人物と睨んだ。 巨大な飛行船ヒンデンブルグ号がゆるやかに大空に上昇した。2日半の空の旅が始まるのだ。 それぞれの思惑を胸に乗客たちは様々に過ごす。リッターは広い船内を巡回して歩く。 一等係留士のベルトは共産党員であると噂されていた。リッターにゲシュタポと見抜かれたフォーゲルは、表向きはリッターに協力すると見せかけて内心はリッター自身も容疑者の一人と考えている。 リッターが一番怪しいと思ったのは乗組員のベルトだった。リッターはベルリンに電報を打ち、ベルトの愛人のフリーダ・ヘイルの調査を要請した。「ヒンデンブルグ」到着スケジュールをチェックしていたフリーダはたちまち当局に逮捕されるのだった。 ヒンデンブルグ号の中を点検して歩くリッターに出くわし、身を隠そうとしたベルトは船体の布地を傷つけてしまった。強風で裂け目がどんどん大きくなる。 ブルス船長はベルトともう一人の乗組員に船外に出て布地を縫い合わせるように命じた。ヒンデンブルグ号は北極海上空に差し掛かっている。 流氷の上空をヒンデンブルグが行く。船体に出たベルトはもう一人に支えられながら縫い目を繕っていく。落ちそうになるのを一人が支える。何とか船体の修復が終わる。 リッターはベルトに恋人のフリーダがゲシュタポに逮捕されたと告げると、ベルトはショックを受け、船内に爆薬を持ち込んだことを白状した。 「自分の狙いは、ナチスのシンボルであるヒンデンブルグ号を爆破して、ドイツ人の中にもヒトラーに反抗する人間がいることを世界に示すのが目的で、人命を犠牲にするつもりはまったくない」 ベルトは言う。「爆薬を仕掛けるのはヒンデンブルグがレイクハーストに到着し乗客と乗組員が全て降りたあとにする」 ベルトはリッターに計画を話した。 その折も折、リッターの元へ無電が入った。『ゲシュタポから逃げたフリーダ、射殺される』 リッターの心にベルトに対する同情心が生まれた。フォーゲルに渡すべく作成した容疑者リストにもベルトの名前は入れなかった。 5月6日、ヒンデンブルグ号は大西洋を無事に渡った。 レイクハーストは悪天候のため、到着はかなり遅れそうだ。 この頃、リッターはベルトの計画に協力しようと腹を決めていた。 「時限装置を午後7時30分にセットするのだ」 リッターはベルトに告げた。これならヒンデンブルグ号が着陸してから90分後になり、乗客、乗組員が下船して充分な時間がある。その90分間の間にベルトは全世界に向けてヒンデンブルグの爆破を予告し、ナチス・ドイツの政治的な意図を告発するのだ。 だが、ベルトはリッターに対し爆薬のありかを頑として言わなかった。 船内で自分のナイフをなくしたベルトは同僚のナイフを盗んだ。それがフォーゲルの知るところとなり、フォーゲルはベルトを徹底的に追求する。 アメリカ上空に達したが、悪天候のため、ヒンデンブルグ号はますます着陸が遅れた。 リッターに焦りが生じてきた。このままでは着陸時刻の7時半を大幅に過ぎてしまう。つまり時限爆弾が爆発してしまう。 レイクハーストの客陸地点上空。リッターは焦った。7時・・・7時5分・・・ベルトに時限爆弾のセット時間を遅らせるしかない。 リッターがベルトを探すして船内を走る。だがベルトの姿は見当たらない。 7時16分、ヒンデンブルグ号から着陸用のロープが落とされた。 走り回ったリッターはある部屋でフォーゲルの拷問を受けているベルトを遂に発見した。血だらけのベルトは拷問により半死半生になっていた。 リッターはフォーゲルを殴り倒した。 「爆薬はどこだ!時間がないんだ!」 リッターはベルトから時限爆弾の仕掛けた場所を聞き出すとそこへ走った。 あった!その布地の裏側に爆破装置が貼り付けられていた。 リッターは注意深く時限装置を取り脱した。次元時計の針が容赦なく時を刻んでいく。 追ってきたフォーゲルの姿が一瞬視野の片隅に入ったが無視した。7時22分。どうすればいいのか。リッターが複雑極まるメカニズムに挑んだ。一瞬の後!!
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| 映画館主から 「ウェストサイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」のロバート・ワイズ監督の異色パニック映画の傑作。 1937年5月6日に起きた、ナチス・ドイツの威信をかけた大飛行船ヒンデンブルグ号がアメリカのニュージャージー州レイクハーストで爆発炎上した大惨事を映画化した作品です。 全長245メートル、直径が一番太い部分で42メートル、重量242トン、乗客定員100名の、水素を浮力とした大飛行船ヒンデンブルグ号はレイクハースト上空で着陸寸前、謎の大爆発を起こし、乗客13名と乗務員22名、地上で乗客救助にあたった整備員1名が死亡したのです。 映画は当時の実写フィルムを挿入し、リアルな雰囲気をかもし出して迫力満点。 当時のラジオ中継アナウンサーはヒンデンブルグ号の爆発を見あげて泣き声を上げ絶叫し、パニック状態になっています。 事故原因については謎が多く、飛行中に蓄積された静電気が浮揚ガスの水素に引火した説、何者かのテロ説、サボタージュ説、構造上の欠陥説、漏電説、自然現象説、などがありましたが、映画では原作に沿って反ナチの爆破説を用いています。 主演は「パットン大戦車軍団」(’70年、監督:フランクリン・J・シャフナー)での演技でアカデミー主演男優賞を拒否した反骨男優のジョージ・C・スコット。 共演に「奇跡の人」(’62年、監督:アーサー・ペン)でアカデミー主演女優賞を得たアン・バンクロフト。「ダイハード」シリーズのウィリアム・アサートン。「スティング」のチャールズ・ダーニング。「テキサスの5人の仲間」のバージェス・メレディス。テレビ「インベーダー」シリーズのロイ・シネスなど、芸達者を揃えています。 アカデミー賞は、特別視覚効果賞、特殊音響効果賞を得ています。 参考文献:封切り時パンフレット :「キネマ旬報」1976年7月号 キネマ旬報社 |
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