「北北西に進路を取れ」
北北西に進路を取れ 1959・米


監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーネスト・レーマン
撮影:ロバート・バークス
音楽:バーナード・ハーマン

出演:ケーリー・グランド
    エバ・マリー・セイント
    ジェームズ・メースン
    レオ・G・キャロル
    マーティン・ランドー


  
物語

広告代理店のロジャー・ソーンヒルが行きつけのクラブで一杯やっていた。彼は電話をかけるために立ち上がった。ちょうどその時、「ジョージ・キャプラン様いらしゃいましたら・・・・・」とボーイの声がした。手違いはここに始まった。あやしげな二人がすかさず近づいてきて、ロジャーを連行した。

タウンゼントなる人物に様々な質問を受けるが、ロジャーには何のことやらさっぱり解らない。無理やり酒を飲まされ、殺されそうになるところを命からがら脱出する。
国連総会に出席しているというタウンゼントを訪ねたロジャーの前に現れたタウンゼントはまったくの別人だった。質問をするロジャーの腕にタウンゼントが突然倒れこんだ。その背中にナイフが突き刺さっていた。ロジャーは逃げる。新聞にロジャーの顔写真が載っている。殺人の濡れ衣をきせられてしまった。

実はキャプランというのは、アメリカ秘密情報部のスパイグループ摘発の為に仕組んだ架空の人物だった。
そうとは知らないロジャーは、自らの濡れ衣を晴らさんとキャプランの向かったというシカゴ行きの列車に乗った。謎の金髪美女登場。敵か、味方か?名前はイヴ・ケンドール。彼女は偽タウンゼント(ヴァンダム)の愛人だ。しかし、実はアメリカ秘密情報部の放ったスパイだった。二人は恋に落ちた。

農場で複葉機の追撃をかわし、オークション会場では、機転をきかせて敵から逃れた。アメリカ秘密情報部の教授からすべてを聞いたロジャーは、ラシュモア山の展望台へ向かった。
ヴァンダムが愛人のイヴを伴って現れた。イヴを連れて帰るというロジャーに向かってイヴが発砲した。ロジャーは死んだ。

しかし、銃は空砲だった。イヴに疑念を抱き始めたヴァンダムに対する罠だ。しかし、それはすぐにバレた。イヴの命が危ない。
ロジャーはイヴを脱出させ、ラシュモア山へ逃げる。山の岩肌にはワシントン、リンカーン、ジェファーソン、ルーズベルトと、巨大な大統領の顔が彫ってある。その顔の上を二人は逃げる。足元は断崖絶壁。スパイ一味が迫ってきた。

映画館主から

ヒッチコックが得意とする、巻き込まれ型サスペンスの傑作。しかも、それまで使ってきたシークェンスが余すことなく詰まっていて、贅沢この上も無い作品です。
ストーリーが複雑で訳が解らないうちに物語が進行しますが、ヒッチコックの映画では、細かいことはどうでも良く、ただ主人公に感情移入してドラマにのめり込んで行けばいいのです。

ヒッチコック映画では、高い所からの落下イメージがよく出てきます。「逃走迷路」では、自由の女神の展望台での争い、「海外特派員」では、高層ビルの展望台から落とされそうになり、「泥棒成金」での屋根の上での格闘、「断崖」での断崖を走る車、「レベッカ」では、窓から落ちなさいと脅され、「裏窓」では、主役が本当に落ちてしまい、「めまい」に至っては、主役が高所恐怖症なのです。

この映画のラストシーンも、ラシュモア山の絶壁での格闘です。手の位置や足場の具合からは絶対に落ちる筈なのに、何故かハッピーエンドにしてくれるヒッチコック。
ケーリー・グランドはヒッチコック映画の常連。エバ・マリー・セイントは「波止場」での役柄と打って変わり、金髪のエレガントな女性に生まれ変わりました。

参考文献:「ヒッチコック 映画術 トリュフォー」 昌文社

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