| めまい 1958・米 | |
![]() 監督:アルフレッド・ヒッチコック 脚本:アレック・コベル サミュエル・テーラー 撮影:ロバート・バークス 音楽:バーナード・ハーマン 出演:ジェームズ・スチュアート キム・ノバク バーバラ・ベル・ゲデス |
物語 元刑事のスコッティはある事件がもとで極度の高所恐怖症になり、今は法律事務所勤めだ。そんな彼が、古い友人ケヴィンから相談を持ちかけられた。妻の最近の様子がおかしいので調査して欲しいという。妻は自分は過去に死んだ人間だと思い込んでいる時があって、最近、特にひどくなっていると言うのだ。スコッティは、自分は警察をやめた身だからと辞退したが、ケヴィンは「今夜、さるレストランに私といる妻を見ろ」と言う。 スコッティはその夜、ケヴィンの妻を見た。何かしら惹かれるものを感じたスコッティは翌朝からその女、マドレーヌの尾行を始めた。サンフランシスコの街を車で尾行するスコッティ。マドレーヌの行動は奇怪を極めた。 美術館でひとつの絵を何時間も眺めているマドレーヌ。女性の肖像画だ。カルロッタの肖像。見ると、マドレーヌの髪型は絵と同じだ。次に墓地に行ったマドレーヌはひとつの墓石をじっと眺めている。スコッティが調べると、「カルロッタの墓」である。 次の日も、次の日もマドレーヌの行動は同じだ。金門橋のふもとで水辺を見ていたマドレーヌがいきなり飛び降りた。ふいを突かれたスコッティも急ぎ飛び込みマドレーヌを救うのだった。 スコッティのアパートで目覚めたマドレーヌは何も覚えていないと言う。いつしか、スコッティは彼女を愛し始めていた。何とかして、彼女の幻想を取り払いたい。無意識の自殺願望から救わねばならない。 そんなある日、郊外のスペイン風の教会へ行った2人だったが、いきなりマドレーヌがスコッティの静止を振り切って塔の上に駆け上がっていった。高所恐怖症のスコッティには螺旋階段を上がることができない。突如、悲鳴とともにマドレーヌが落ちていくのが見えた。自分には彼女を助けることが出来なかった。 ショックと自責の念でスコッティは精神を病み入院してしまった。退院してもマドレーヌの影が頭から離れないスコッティだったが、ある日、彼女と瓜二つの女性を見かけた。あとをつけて女のアパートへ行き、ドアを叩いた。髪形も服装もまったく違うがマドレーヌそっくりの女性が現れた。 事情を話し、彼女のことを色々聞き出すスコッティだったが、又、会って欲しいと頼み込む。彼女はジュディといってマドレーヌとは生まれも育ちもまったく違う。嫌がるジュディをマドレーヌと同じ服装にさせ、同じ髪型にさせて、馴染みのレストランへ連れて行く。 しかし、ある時、スコッティはジュディの首飾りを見て、一瞬のうちに真相を悟った。カルロッタの肖像画と同じものだったのである。ジュディはマドレーヌその人だ。では、塔から落ちて死んだのは誰なのか? スコッティはジュディをかのスペイン風の教会へ連れて行った。嫌がるジュディを塔の上へ引っ張っていく。階段を上がりながら、スコッティは自分が高所恐怖症を克服しているのを知った。 塔の上にたどり着いた時、ジュディは真実を語り、スコッティに詫びるのだった。スコッティの高所恐怖症を利用し、階段を昇れないのを知って、ケヴィンの仕掛けた罠だった。マドレーヌが塔の上に上った時、すでに自分の妻の死体を抱いてケヴィンが立っており、同時に死体を落としたのであると。マドレーヌはケヴィンの妻殺しに金で雇われた女だった。告白した時、スコッティの背後に異様な物の怪を見て、ジュディは足を滑らし、塔から転落していった。 |
| 映画館主から ヒッチコックの仕掛ける魔法に見事に気持ち良く引っかかってしまいます。最初からオカルトめいたミステリアスな世界に引き込まれ、キム・ノバクに甘美な陶酔感さえ感じさせます。この役は当初、ベラ・マイルズに予定していたそうですが、彼女が妊娠中だったので急きょキム・ノバクに割振られたとか。映画の中間で真相が観客に解りますが、ヒッチコックの映画術は何度観ても飽きさせません。 ロバート・パークスのカメラもミステリーを盛り上げます。螺旋階段から下を見た時、主人公同様、我々もめまいがします。逆ズームという撮影です。レール上のカメラを引きながら、同時にズームすると非常に効果的なイメージになります。「ジョーズ」でもこの撮影法で効果を上げた場面がありました。 サンフランシスコの街がふんだんに出てきて、ちょっとした観光気分になります。 この映画は、設定もそうですが、ジェームズ・スチュアートの偏執的なところも、死体愛好者映画と言ったら、意地悪でしょうか。 参考文献:「アメリカ映画作品全集」 キネマ旬報社 |
|
|