「当用漢字」法令資料

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2001/06/27 移設・更新 (2001/02/13 公表)

参考文献、『官報』及び『法令全書』

「当用漢字」制定より、今日迄の戦後日本の漢字の変遷を、法令を元に表す。

漢字の数は増える傾向にあるが、此処では具体的な内容には踏込まず、法令のまえがきを中心に記載しておく。制定当時の思想や其の遷り変りを読取つて欲しい。

あらまし

「当用漢字表」では1850字の漢字を制定した。以下、この文字数が「当用漢字」の基本となる。

「当用漢字別表」では881字を制定した。所謂「教育漢字」。

「当用漢字字体表」の字体の例については、現在の文字コードでは表し切れない部分が多々ある為、省略とする。

「常用漢字」制定と同時に「当用漢字」は廃止されてゐる。

目次

  1. 当用漢字表の実施に関する件 ( #kanziheu_ken)
  2. 当用漢字表 ( #kanziheu)
  3. 当用漢字別表の実施に関する件 ( #beppeu_ken)
  4. 当用漢字別表 ( #beppeu)
  5. 当用漢字音訓表の実施に関する件 ( #onkunheu_ken)
  6. 当用漢字音訓表 ( #onkunheu)
  7. 当用漢字字体表の実施に関する件 ( #zitaiheu_ken)
  8. 当用漢字字体表 ( #zitaiheu)
  9. 昭和48年改正分 ( #kaisei)

本文

昭和21年内閣訓令第7号(官報号外・S21,11,16)

各 官 廳

当用漢字表の実施に関する件

從來、わが國において用いられる漢字は、その数がはなはだ多く、その用いかたも複雜であるために、教育上また社会生活上、多くの不便があつた。これを制限することは、國民の生活能率をあげ、文化水準を高める上に、資するところが少くない。

それ故に、政府は、今回國語審議会の決定した当用漢字表を採択して、本日内閣告示第三十二号をもつて、これを告示した。今後各省廳においては、この表によつて漢字を使用するとともに、廣く各方面にこの使用を勧めて、当用漢字表制定の趣旨の徹底するように努めることを希望する。

昭和二十一年十一月十六日

内閣総理大臣 吉田  茂

昭和21年内閣告示第32号・抄(官報号外・S21,11,16)

現代國語を書きあらわすために、日常使用する漢字の範囲を、次の表のように定める。

昭和二十一年十一月十六日

内閣総理大臣 吉田  茂

当用漢字表

まえがき
一、
この表は、法令・公文書・新聞・雜誌および一般社会で、使用する漢字の範囲を示したものである。
一、
この表は、今日の國民生活の上で、漢字の制限があまり無理がなく行われることをめやすとして選んだものである。
一、
固有名詞については、法規上その他に関係するところが大きいので、別に考えることとした。
一、
簡易字体については、現在慣用されているものの中から採用し、これを本体として、参考のため源字をその下に掲げた。
一、
字体と字訓との整理については、調査中である。
使用上の注意事項
イ、
この表の漢字で書きあらわせないことばは、別のことばにかえるか、または、かな書きにする。
ロ、
代名詞・副詞・接続詞・感動詞・助動詞・助詞は、なるべくかな書きにする。
ハ、
外國(中華民國を除く)の地名・人名は、かな書きにする。 ただし、「米國」「英米」等の用例は從來の習慣に從つてもさしつかえない。
ニ、
外來語は、かな書きにする。
ホ、
動植物の名称は、かな書きにする。
ヘ、
あて字は、かな書きにする。
ト、
ふりがなは、原則として使わない。
チ、
專門用語については、この表を基準として、整理することが望ましい。

昭和23年内閣訓令第1号(官報号外・S23,法令全書)

各 官 廳

当用漢字別表の実施に関する件

さきに、政府は、現代國語を書きあらわすために日常使用する漢字の範囲を定め、昭和二十一年内閣告示第三十二号をもつて、当用漢字表を告示した。しかしながら、これは國民生活の上で漢字の制限が無理がなく行われることをめやすとしたものであつて、國民教育における漢字学習の負担を軽くし、教育内容の向上をはかるためには、わが國の青少年に対して義務教育の期間において読み書きともに必修せしめるべき漢字の範囲を定める必要がある。

よつて、政府は、今回國語審議会の決定した当用漢字別表を採択し、本日内閣告示第一号をもつて、これを告示した。今後、各官廳においては、この表を制定した趣旨を理解し、これに協力することを希望する。

昭和二十三年二月十六日

内閣総理大臣 片山  哲

昭和23年内閣告示第1号・抄(官報号外・S23,法令全書)

当用漢字表の中で、義務教育の期間に、読み書きともにできるように指導すべき漢字の範囲を、次の表のように定める。

昭和二十三年二月十六日

内閣総理大臣 片山  哲

当用漢字別表

この表の漢字は、当用漢字表の中で、義務教育の期間に、読み書きともにできるように指導することが必要であると認めたものである。

昭和23年内閣訓令第2号(官報号外・S23,法令全書)

各 官 廳

当用漢字音訓表の実施に関する件

さきに、政府は現代國語を書きあらわすために日常使用する漢字の範囲を定め、昭和二十一年内閣告示第三十二号をもつて、当用漢字表を告示した。しかしながら、漢字を使用する上の複雜さは、その数の多いことによるばかりでなく、その読みかたの多樣であることにもよるのであるから、当用漢字表制定の趣旨を徹底させるためには、さらに漢字の音訓を整理することが必要である。

よつて、政府は、今回國語審議会の決定した当用漢字音訓表を採択して、本日内閣告示第二号をもつて、これを告示した。今後、各官廳においては、つとめてこの表によつて漢字を使用するとともに、廣く各方面に、当用漢字音訓表制定の趣旨の徹底するように努めることを希望する。

昭和二十三年二月十六日

内閣総理大臣 片山  哲

昭和23年内閣告示第2号・抄(官報号外・S23,法令全書)

現代國語を書きあらわすために、日常使用する漢字の音訓の範囲を、おおむね次の表のように定める。

昭和二十三年二月十六日

内閣総理大臣 片山  哲

当用漢字音訓表

まえがき
一、
この表は、当用漢字表の各字について、字音と字訓との整理を行い、今後使用する音訓を示したものである。
一、
この表の字音は、漢音・呉音・唐音および慣用音の区別にかかわりなく、現代の社会にひろく使われているものの中から採用した。
一、
この表の字訓は、やはり現代の社会にひろく行われているものの中から採用したが、異字同訓はつとめて整理した。
一、
音訓の掲げ方は、まず字音をかたかなで、つぎに字訓をひらがなでしめした。 なお限られたことばのみ用いられるものには、傍線をつけておいた。
〔使用上の注意事項〕
イ、
自動詞にも他動詞にも使われるものについては、おおむねその一方の形のみを掲げてあるが、両樣に使ってさしつかえない。

滅ほろびる→ほろぼす 落おちる→おとす 集あつまる→あつめる 加くわえる→くわわる 折おる→おれる 染そめる→そまる
ロ、
形容詞・形容動詞・動詞の中の二つ以上に使われるものについては、おおむねその中の一つの形のみを掲げてあるが、両樣あるいは三樣に使ってさしつかえない。

怪あやしい→あやしむ 樂たのしい→たのしむ 憎にくむ→にくらしい 確たしか→たしかめる 晴はれる→はれやか 暖あたたかい→あたたか・あたためる 清きよい→きよらか・きよめる
ハ、
動詞にも名詞にも使われるものについては、おおむね動詞の形のみ掲げてあるが、名詞に使ってさしつかえない。

光ひかる→ひかり 祭まつる→まつり 組くむ→くみ 補おぎなう→おぎない 誓ちかう→ちかい 肥こえる→こえ
ニ、
つぎのような熟字は、使ってさしつかえない。

木き→木立こだち 目め→目深まぶか 金かね→金物かなもの 雨あめ→雨戸あまど・春雨はるさめ 何なに→何時なんどき 十ジュウ→十銭ジッセン 合ゴウ→合併ガッペイ 皇オウ→天皇テンノウ 寸スン→三寸サンズン 発ハツ→出発シュツパツ 夫フ→夫婦フウフ

昭和24年内閣訓令第1号(官報号外第32号・S24,04,28)

各 官 庁

当用漢字字体表の実施に関する件

さきに、政府は、現代国語をかきあらわすために日常使用する漢字とその音訓との範囲を定めて、当用漢字表および当用漢字音訓表を告示した。しかしながら、漢字を使用する上の複雑さは、その数の多いことや、その読みかたの多様であることによるばかりでなく、字体の不統一や字画の複雑さにももとづくところが少くないから、当用漢字表制定の趣旨を徹底させるためには、さらに漢字の字体を整理して、その標準を定めることが必要である。

よつて、政府は、今回国語審議会の決定した当用漢字字体表を採択して、本日内閣告示第一号をもつて、これを告示した。今後、各官庁においては、この表によつて漢字を使用するとともに、広く各方面にその使用を勧めて、当用漢字字体表制定の趣旨の徹底するように努めることを希望する。

昭和二十四年四月二十八日

内閣総理大臣 吉田  茂

昭和24年内閣告示第1号・抄(官報号外第32号・S24,04,28)

現代国語を書きあらわすために日常使用する漢字の字体の標準を、次の表のように定める。

昭和二十四年四月二十八日

内閣総理大臣 吉田  茂

当用漢字字体表

まえがき
一、
この表は、当用漢字表の漢字について、字体の標準を示したものである。
一、
この表の字体は、漢字の読み書きを平易にし正確にすることをめやすとして選定したものである。
一、
この表の字体の選定については、異体の統合、略体の採用、点画の整理などをはかるとともに、筆写の習慣、学習の難易をも考慮した。なお、印刷字体と筆写字体とをできるだけ一致させることをたてまえとした。
〔備考〕
一、
この表は、当用漢字表の配列に従い、字体は、活字字体のもとになる形で示した。
一、
この表の字体には、(一)活字に従来用いられた形をそのまま用いたもの、(二)活字として従来二種以上の形のあった中から一を採ったもの、(三)従来活字としては普通に用いられていなかったものがある。この表では、(三)のうち著しく異なったものには、従来の普通の形を下に注した。
(二)の例

−−省略−−

(三)の例

(1)点画の方向の変った例

−−省略−−

(2)画の長さの変った例

−−省略−−

(3)同じ系統の字で、又は類似の形で、小異の統一された例

−−省略−−

(4)一点一画が増減し、又は画が併合したり分離したりした例

−−省略−−

(5)全体として書きやすくなった例

−−省略−−

(6)組立の変った例

−−省略−−

(7)部分的に省略された例

−−省略−−

(8)部分的に別の形に変った例

−−省略−−

〔使用上の注意事項〕
一、
この表の字体は、活字字体のもとになる形であるから、これをみんちょう体・ゴシック体その他に適用するものとする。
二、
この表の字体は、これを筆写(かい書)の標準とする際には、点画の長短・方向・曲直・つけるかはなすか・とめるかはね又ははらうか等について、必ずしも拘束しないものがある。そのおもな例は、次の通りである。

(1)長短に関する例

−−省略−−

(2)方向に関する例

−−省略−−

(3)曲直に関する例

−−省略−−

(4)つけるかはなすかに関する例

−−省略−−

(5)とめるかはらうか、とめるかはねるか、に関する例

−−省略−−

(6)その他

−−省略−−

昭和48年改正分

後日掲載豫定

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