文字概念の把握
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2002/01/05 修正
(2001/12/24 公表)
魚部の漢字を幾つか集めてみました。此処では文字概念と云ふものを捉へて貰ひたいと思つてゐます。
漢字は支那が発祥ですが、日本に伝来して以来、日本国内でも様々に発展して来ました。又、本家の支那でも独自に発展して行きました。其の為、今では字体こそ同じでも字義が全く違ふ文字が幾つもあります。
文字概念とは、文字の字義を重視する考へ方なのですが、仮令支那と日本とで字義が全く違ふとしても、其の漢字自体が示す字義全体を以て一つの概念と捉へるべきだとの立場で解釈しなければならないと考へます。其処の処を一つ一つの文字の説明から読取つて貰へれば嬉しく思ひます。
参考ですが、「IBM拡張文字」についてはunicodeの番号で直接指定してやつたはうが宜しいやうです。
魚部4劃
【魲】IBM拡張文字(92区69点・119区03点)、unicode(39794)
【鱸】の略字。意味はすずきです。
【魴】JIS第二水準(82区23点)、unicode(39796)
- 和語
- 《国訓》かがみだひ(鏡鯛)
- 漢語
- 《字訓》をしきうを
こんにちかがみだひは【鏡鯛】のやうに書きます。
【魵】IBM拡張文字(92区68点・119区02点)、unicode(39797)
- 漢語
- 《字義》えび。
こんにちえびは【海老】又は【蝦】のやうに書きます。
魚部5劃
【鮃】JIS第二水準(82区25点)、unicode(39811)
- 和語
- 《訓》ひらめ(平目・比目魚・鮃)
- 漢語
- 《字訓》ひらめ
- 支那語
- ヒラメ科の総称
日本ではひらめは【鮃】と書くよりも【平目】と書くのが一般的です。
【鮎】JIS第一水準(16区30点)、unicode(39822)
- 和語
- 《国訓》あゆ(鮎)
- 漢語
- 《字訓》なまづ
- 支那語
- 〔鮎魚〕なまづ
此れは日本語と支那語とで意味が違ふ漢字の代表的な例です。どちらの言語でも多用される漢字ですので、要注意です。
【鮏】IBM拡張文字(92区70点・119区04点)、unicode(39823)
- 和語
- 《国訓》さけ(鮭)
- 漢語
- 《字訓》なまぐさ-い
さけには通常【鮭】の漢字を用ゐます。
【鮑】JIS第二水準(82区26点)、unicode(39825)
- 和語
- 《訓》あはび(鮑・鰒)
- 漢語
- 《俗語》あはび
- 支那語(1)
- あはび
- 支那語(2)
- 臭い匂ひのする魚の干物
あはびは【鮑】と【鰒】のどちらでも通用します。
【鮒】JIS第一水準(42区11点)、unicode(39826)
- 和語
- 《訓》ふな(鮒)
- 漢語
- 《字訓》ふな
- 支那語
- ふな
【鮒】は、日本でも支那でも同様に通用します。
【鮖】JIS第二水準(82区27点)、unicode(39830)
- 和語(1)
- 《国字》かじか(鰍・杜父魚)
- 和語(2)
- 《国字》いしもち(石持・石首魚)(『漢字百科大事典』)
国字ではありますが、現在ではどちらの意味でもあまり使はれない漢字です。
【鮗】JIS第二水準(82区28点)、unicode(39831)
- 和語
- 《国字》このしろ(鮗)
【】は正字体ですが、一部のフォントでしか使へない外字なので【鮗】のはうを使ふやうにしませう。
魚部6劃
【鮟鱇】
- 【鮟】JIS第二水準(82区29点)、unicode(39839)
- 【鱇】JIS第二水準(82区65点)、unicode(40007)
- 和語
- 《読み》あんかう(鮟鱇)
- 漢語
- 《語義》あんかう
- 支那語
- 〔鮟鱇〕あんかう
【鮟鱇】は、日本でも支那でも同様に通用します。
【鮠】JIS第二水準(82区30点)、unicode(39840)
- 和語
- 《国訓》はや(鮠)
- 漢語
- 《字義》魚の名。鯰の一種。
- 支那語
- イノシンギギ
此れも日本語と支那語とで意味が違ひます。
【鮪】JIS第一水準(43区78点)、unicode(39850)
- 和語
- 《国訓》まぐろ(鮪)
- 漢語
- 《字義》魚の名。蝶鮫の類。
- 支那語
- 〔鮪(魚)〕スマ
日本と支那とで若干意味が違ひます。支那語のスマはマグロ科の魚ださうです。
【鮫】JIS第一水準(27区13点)、unicode(39851)
- 和語
- 《訓》さめ(鮫)
- 漢語(1)
- 《字訓》さめ
- 漢語(2)
- 《字訓》みづち
- 支那語
- さめの古称。
日本と支那とで同じ意味のやうですが、支那では既に使はれてゐないやうです。
みづちの場合、現在では通常【蛟】と書いてゐます。
【鮭】JIS第一水準(26区90点)、unicode(39853)
- 和語
- 《国訓》さけ(鮭)
- 漢語
- 《字訓》ふぐ
- 支那語(1)
- 〔鮭魚〕さけ
- 支那語(2)
- ふぐ〔河豚〕の別名。
【鮭】をさけと読むのは国訓ですが、支那に逆輸入されたやうです。
ふぐは、日本語でも支那語でも一般的に【河豚】と書きます。
【鮱】IBM拡張文字(92区71点・119区05点)、unicode(39857)
- 和語
- 《国字》おほぼら(大鯔)
【鮱】にはぼらと云ふ訓もありますが、ぼらの成長し切つたものを指して云ふとの事です。最近はあまり使はれません。
【鮴】JIS第二水準(82区32点)、unicode(39860)
- 和語(1)
- 《国字》ごり(鮴)
- 和語(2)
- 《国字》めばる(眼張・目張)(『日本語大辞典』講談社)
ごりと云ふ訓は、加賀国の方言で鰍の意味です。めばるの場合は漢字で書けば【眼張】となるでせう。
魚部7劃
【鮹】JIS第二水準(82区35点)、unicode(39865)
- 和語
- 《国訓》たこ(蛸・章魚)
- 漢語
- 《字訓》馬の鞭の形の淡水魚。
八本足のたこは通常【蛸】と書いてゐます。
【鯆】JIS第二水準(82区36点)、unicode(39878)
- 漢語
- 《字訓》いるか
- 支那語
- 揚子江のいるか
いるかの場合、日本語では【海豚】と書きます。
【鯉】JIS第一水準(24区81点)、unicode(39881)
- 和語
- 《訓》こひ(鯉)
- 漢語
- 《字訓》こひ
- 支那語
- 〔鯉(魚)〕こひ
日本でも支那でも通用します。意味も昔から変りません。
【鯊】JIS第二水準(82区34点)、unicode(39882)
- 和語
- 《訓》はぜ(鯊・沙魚)
- 漢語(1)
- 《字訓》はぜ
- 漢語(2)
- 《俗語》さめ
- 支那語(1)
- はぜ
- 支那語(2)
- 〔鯊魚〕鮫や鱶の総称。
日本語でははぜですが、支那語では鮫の事をかう書くやうです。
【鯏】JIS第二水準(82区37点)、unicode(39887)
- 和語(1)
- 《国字》あさり(浅蜊・蛤仔)
- 和語(2)
- 《国字》うぐひ(石班魚)
此れは国字ですが、現在はあまり使はれてゐないやうです。
【鯑】JIS第二水準(82区38点)、unicode(39889)
- 和語
- 《国字》かずのこ(数の子)
「かどのこ(鰊の子)」の転なので、本来ならかづのこなのでせうが、現在は【数の子】と書く為に仮名遣はかずのことなつてしまつてゐます。
【鯒】JIS第二水準(82区39点)、unicode(39890)
- 和語
- 《国字》こち(鯒)
コチ科の海魚。【鮲】とも書きます。
魚部8劃
【鯔】JIS第二水準(82区43点)、unicode(39892)
- 和語(1)
- 《訓》ぼら(鯔・鰡)
- 和語(2)
- 《訓》いな(鯔)
- 漢語
- 《字訓》ぼら
- 支那語
- ぼら
ぼらは出世魚です。おぼこ・すばしり・いな・ぼら、の順に成長して行きます。
【鯖】JIS第一水準(27区10点)、unicode(39894)
- 和語
- 《国訓》さば(鯖)
- 漢語(1)
- 《字義》青魚。鱒に似た淡水魚の一種。
- 漢語(2)
- 《字義》寄せ鍋。魚・鳥獣の肉などを混ぜて煮た料理。
- 支那語(2)
- サバ科の魚類。
- 支那語(1)
- (文語)色々な材料に魚や肉を入れて煮た料理。
【鯖】をサバの意味に使ふのは国訓ですが、支那に逆輸入されたやうです。
【】は正字体ですが、一部のフォントでしか使へない外字なので【鯖】のはうを使ふやうにしませう。
【鯛】JIS第一水準(34区68点)、unicode(39899)
- 和語
- 《訓》たひ(鯛)
- 漢語
- 《字訓》たひ
- 支那語
- たひ
日本でも支那でも通用します。意味も昔から変りません。
【鯡】JIS第二水準(82区44点)、unicode(39905)
- 和語
- 《国訓》にしん(鰊・鯡)
- 漢語
- 《字義》はららご。魚の卵。
- 支那語
- にしん
【鯡】をにしんの意味に使ふのは国訓ですが、支那に逆輸入されたやうです。
【鯢】JIS第二水準(82区41点)、unicode(39906)
- 和語
- 《訓》くぢら(鯨)
- 漢語(1)
- 《字訓》さんせううを
- 漢語(2)
- 《字義》めくぢら。
- 支那語(1)
- さんせううを。おほさんせううを。
- 支那語(2)
- (文語)めすくぢら。
この漢字には山椒魚と雌鯨と云ふ二つの意味が在ります。【鯢】を雌鯨の意とする場合、【鯨】は雄鯨と見る必要があります。最近の日本では、くぢらの意としては【鯨】しか用ゐないやうです。
【鯣】JIS第二水準(82区40点)、unicode(39907)
- 和語
- 《国訓》するめ(鯣)
- 漢語
- 《字義》魚の名。
【鯣】をするめとして使ふのは国訓ですが、支那語としてはこの漢字は消滅してしまつてゐます。
【鯨】JIS第一水準(23区63点)、unicode(39912)
- 和語
- 《訓》くぢら(鯨)
- 漢語
- 《字訓》くぢら
- 漢語
- くぢら
日本でも支那でも通用します。意味も昔から変りません。雄鯨を特に【鯨】と表現する場合もあります。
【鯰】JIS第二水準(82区48点)、unicode(39920)
- 和語
- 《国字》なまづ(鯰)
- 支那語
- 廃止された異体字。現在なまづの意として[鮎魚]を使ふ。
一度は国字が支那へ逆輸入されたみたいですが、其の后廃止されてしまひました。
【鯱】JIS第二水準(82区47点)、unicode(39921)
- 和語
- 《国字》しやち(鯱)
しやちには「海豚類の海獣」と、「伝説上の怪魚」の二つの意味合ひがあります。
【鯲】JIS第二水準(82区46点)、unicode(39922)
- 和語
- 《国字》どぢやう(泥鰌・鰌)
国字ではありますが、どぢやうは一般的には【泥鰌】と書きます。
【】は正字体ですが、一部のフォントでしか使へない外字なので【鯲】のはうを使ふやうにしませう。然し、あまり使はれない漢字ではあります。
【鯵】JIS第一水準(16区19点)、unicode(39925)
- 和語
- 《国訓》あぢ(鯵・鰺)
- 漢語
- 《字義》なまぐさい。
- 支那語
- アヂ科魚類の総称。
此れは国訓が逆輸入された例の一つです。漢語の場合、【鱢】の字が誤つて出来たものとされます。
正字体は【鰺】ですが、此処ではJIS第一水準を基本とする為、【鯵】のはうを文字概念の本体とします。
魚部9劃
【鰆】JIS第二水準(82区54点)、unicode(39942)
- 和語
- 《国訓》さはら(鰆)
- 漢語
- 《字義》海魚の名。
- 支那語
- [鰆魚]さはらに似た海魚。
さはらは国訓です。支那語の場合、漢語としての意味が失はれてしまつたやうです。
【鰈】JIS第二水準(82区55点)、unicode(39944)
- 和語
- 《訓》かれひ(鰈)
- 漢語
- 《字訓》かれひ
- 支那語
- [鰈魚]かれひ
平目に似た平たい魚を云ひます。
【鰉】JIS第二水準(82区51点)、unicode(39945)
- 和語
- 《国訓》ひがひ(鰉)
- 漢語
- 《字義》蝶鮫。
- 支那語
- ドーリアテフザメ
日本語と支那語との間で意味が違ひます。ひがひは、明治天皇が好んで食されたと云ふ逸話から魚偏に皇と云ふ字が出来たさうです。
【鰊】JIS第二水準(82区57点)、unicode(39946)
- 和語
- 《国訓》にしん(鰊・鯡)
- 漢語
- 《字義》小魚の名。
支那語では使用されません。日本では、【鰊】とも【鯡】とも書きますが、字音が異なる為、文字概念としては別の漢字と判断されます。
【鰌】JIS第二水準(82区53点)、unicode(39948)
- 和語
- 《訓》どぢやう(泥鰌・鰌)
- 漢語
- 《字訓》どぢやう
- 支那語
- 廃止された異体字。正字は【鰍】で泥鰌の意。
日本語では一般的に【泥鰌】と書いてゐるやうです。
【鰍】JIS第一水準(19区66点)、unicode(39948)
- 和語(1)
- 《国訓》かじか(鰍・杜父魚)
- 和語(2)
- 《国訓》いなだ(いなだ)
- 漢語
- 《字訓》どぢやう
- 支那語
- どぢやう
日本語と支那語との間で意味が違ひます。日本語では、【鰍】は一般的にかじかの意として用ゐられます。支那語ではどぢやうと言へば【鰍】です。
魚偏で四季の旁を用ゐた漢字は3種類あります。【鰆】(さはら)と【鮗】(このしろ)とこの【鰍】(かじか)ですが、旁が【夏】となる魚偏の漢字は和語にも漢語にも支那語にも在りません。
【鰐】JIS第一水準(47区44点)、unicode(39952)
- 和語
- 《訓》わに(鰐)
- 漢語
- 《字訓》わに
- 支那語
- わに
鰐は通常、湿地帯などに生息する口が大きくて蜥蜴に似た爬虫類を指して云ひますが、山陰地方の方言では鮫の事を鰐と呼ぶ事があります。因幡の白兎に出て来る鰐は鮫の事を指します。
【鰒】JIS第二水準(82区56点)、unicode(39954)
- 和語(1)
- 《訓》あはび(鮑・鰒)
- 和語(2)
- 《国訓》ふぐ(河豚)
- 漢語
- 《字訓》あはび
- 支那語
- [鰒魚]あはび
【鰒】は、日本でも支那でも一般的にはあはびの意味になります。
【鰔】JIS第二水準(82区50点)、unicode(39956)
- 漢語
- 《字訓》たら
- 漢語
- 《字訓》かれひ
漢語として幾つか意味があるやうですが、現在は日本語でも支那語でも使はれてゐないやうです。
【鰕】JIS第二水準(82区49点)、unicode(39957)
- 和語
- 《訓》えび(海老・蝦)
- 漢語
- 《字訓》えび
- 支那語(1)
- [鰕虎魚]ハゼ科の総称。
- 支那語(2)
- えび
日本語では、えびを【海老】又は【蝦】と書くのが一般的です。日本語でははぜは【鯊】と書きます。
【鰛】JIS第二水準(82区60点)、unicode(39963)
【鰮】の俗字。意味は国訓でいわしです。
【鰡】JIS第二水準(82区63点)、unicode(39969)
- 和語
- 《国訓》ぼら(鯔・鰡)
- 漢語
- _
【鯔】の場合はいなとも読みますが、【鰡】の場合はぼらとしか読めません。
魚部10劃
【鰤】JIS第二水準(82区62点)、unicode(39972)
- 和語
- 《国訓》ぶり(鰤)
- 漢語
- 《字義》魚の名。老魚。
- 支那語
- アヂ科の魚。
日本語と漢語と支那語と、夫々意味が違ひます。
【鰮】JIS第二水準(82区59点)、unicode(39982)
- 和語
- 《国訓》いわし(鰯・鰮・鰛)
- 漢語
- 《字義》魚の名。
- 支那語
- [鰮鯨]いわしくぢら
支那語の例として[鰮鯨]を出しましたが、日本語の国訓が支那に逆輸入されてゐます。日本では、いわしを【鰯】と書くのが一般的です。
【鰛】と【鰮】はどちらもJIS第二水準にありますが、【鰮】のはうが1点だけ若い番号なので、正字体の【鰮】を文字概念の本体と判断します。
【鰯】JIS第一水準(16区83点)、unicode(39983)
- 和語
- 《国字》いわし(鰯・鰮・鰛)
日本語では普通、いわしと言へば【鰯】と書きます。語中に「わ」が来るのは仮名遣としては珍しい語です。
【】は正字体ですが、一部のフォントでしか使へない外字なので【鰯】のはうを使ふやうにしませう。
【鰰】JIS第二水準(82区64点)、unicode(39984)
- 和語
- 《国字》はたはた(鰰)
純粋に国字ですね。【鱩】とも書きますが、JIS第一水準やJIS第二水準にはありません。
魚部11劃
【鰲】JIS第二水準(82区66点)、unicode(39986)
- 漢語
- 【鼇】の俗字。
- 支那語
- 伝説上の海の大亀。
【鼇】JIS第二水準(83区71点)、unicode(40711)
- 漢語
- 《字訓》おほがめ
- 支那語
- 【鰲】の異体字、又は、繁体字。
どちらも大きな亀又は大きな海亀を意味します。日本語ならば【大亀】か【大海亀】と書くでせう。
文字概念としては【鼇】のはうを本体とすべきでせう。
【鰹】JIS第一水準(19区79点)、unicode(39993)
- 和語
- 《国訓》かつを(鰹・松魚・堅魚)
- 漢語
- 《字義》鰻の一種。
- 支那語
- [鰹魚]かつを
国訓が支那へ逆輸入されました。日本語の場合、一般的にかつをは【鰹】と書きます。
【鰺】JIS第二水準(82区45点)、unicode(39994)
【鯵】の正字体。意味は国訓であぢです。
【鰻】JIS第一水準(17区23点)、unicode(39995)
- 和語
- 《訓》うなぎ(鰻)
- 漢語
- 《字訓》うなぎ
- 支那語
- [鰻魚]うなぎ
日本語も支那語も同じ意味です。昔から変りません。
【鱆】JIS第二水準(82区67点)、unicode(40006)
- 漢語
- 《字義》たこ
日本語では、【蛸】又は【章魚】と書きます。
【鱈】JIS第一水準(35区13点)、unicode(40008)
- 和語
- 《国字》たら(鱈・大口魚)
- 支那語
- [鱈魚]たら
この【鱈】は記念すべき漢字です。日本語の国字が支那に輸入され現在でも使用されてゐるからです。当然、支那語でもたらとして通じます。
【】は正字体ですが、一部のフォントでしか使へない外字なので【鱈】のはうを使ふやうにしませう。
魚部12劃
【鱒】JIS第一水準(43区80点)、unicode(40018)
- 和語
- 《訓》ます(鱒)
- 漢語
- 《字訓》ます
- 支那語
- [鱒魚]ます
日本語も支那語も同じ意味です。昔から変りません。
【】は正字体ですが、一部のフォントでしか使へない外字なので【鱒】のはうを使ふやうにしませう。
【鱚】JIS第二水準(82区69点)、unicode(40026)
- 和語
- 《国字》きす(鱚)
純粋な国字です。
魚部13劃
【鱠】JIS第二水準(82区70点)、unicode(40032)
- 和語
- 《訓》なます(膾・鱠)
- 漢語
- 【膾】の別体字。
- 支那語(1)
- [鱠魚]ヒラ
- 支那語(2)
- 廃止された異体字。正字は【膾】で、なますの意。
【膾】JIS第二水準(71区26点)、unicode(33214)
- 和語
- 《訓》なます(膾・鱠)
- 漢語
- 《字訓》なます
- 支那語
- なます
日本語では【鱠】も【膾】も同じ意味ですが、支那語では夫々違ふ意味で使用されてゐます。
文字概念としては、支那語で別々の意味として使用されてゐる状況を踏まへて、夫々別々の文字概念と見るはうがいいでせう。
【鱧】JIS第二水準(82区71点)、unicode(40039)
- 和語
- 《国訓》はも(鱧)
- 漢語(1)
- 《字義》おほなまづ。
- 漢語(2)
- 《字義》やつめうなぎ。
- 支那語
- カムルチー(科の総称)。
日本語と支那語とで意味が違ひます。カムルチーと云ふのはタイワンドヂヤウ科の魚ださうです。
魚部15劃
【鱶】JIS第二水準(82区72点)、unicode(40054)
- 和語
- 《国訓》ふか(鱶)
- 漢語
- 《字訓》ひもの
- 支那語
- 廃止された異体字。正字は【鯗】で乾魚の意。【鮝】とも書く。
日本語の「ふか」は【鯗】とは書かず、必ず【鱶】と書きます。支那語では【鯗】が正しいとされます。文字概念として同一とするか分けるか意見の分れる処でせう。
同じ生物でも東日本では【鮫】、関西では【鱶】、山陰地方では【鰐】と呼び名と漢字が変化します。
魚部16劃
【鱸】JIS第二水準(82区73点)、unicode(40056)
- 和語
- 《訓》すずき(鱸)
- 漢語
- 《字訓》すずき
- 支那語
- [鱸魚]すずき(セイゴ)
日本語も支那語も同じ意味です。支那語の簡体字の場合、非常に簡略された字体にされてしまつてゐます。
【鱸】と【魲】の場合、後者がIBM拡張文字に属す為、前者の【鱸】のはうを文字概念の本体と見做します。
参考資料
- 『岩波 国語辞典』第二版
- 『角川 新字源』306版
- 『中日大辞典』増訂第二版、大修館書店
- 諸橋『大漢和辞典』
- 『漢字百科大事典』明治書院
- 『日本語大辞典』講談社
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