有料・無料問題
1 名前: じょび。 投稿日: 2001/1/18(木) 03:26:42
 ご意見をお聞かせください。
 日本は世界遺産の入場料が高すぎる!
 世界遺産に限らないのかもしれませんが、サイトの入場料に疑問があります。
 京都・奈良・日光など、日本の寺の大多数は拝観料を取りますが、ヨーロッパの教会・大聖堂はほとんど無料で入れます。
 信者でなくてもOK。内部の写真撮影ができるところも多いです。
 パリのノートルダム、シャルトル大聖堂、英国・ダラムの大聖堂。すべて無料です。
 一方、法隆寺・東大寺・薬師寺などは有料の上、なかでは坊さんが、仏像の写真を撮られないよう見回っています。
 なぜ無料にできないのか。
 ちなみに英仏上記の大聖堂は、塔に登るのは有料です。これが結構高い。

2 名前: 収斂 投稿日: 2001/1/20(土) 19:51:49
この問題はとても難しい本質的な問題と思います。

多分、日本の文化財は火災、地震に極めて脆弱なので、安全管理や維持費用として仕方ないからではないでしょうか。私も旅行費用の中で、拝観料がかなりの部分を占めるのできついのですが、当然の必要経費と割り切っています。拝観料は地域によって差があり、一個所でだいたい300円くらいです。ただ京都の苔寺は3000円以上の拝観予約制になっています。もしこういった拝観料を廃止するならば、維持費をほかに求めなくてはいけません。当然、税金による文化財保護費が支給されることになるでしょうが、そうすると政教分離の原則が守れません。やはり拝観した個人の負担がもっとも正しい選択と思います。

こういった最近の寺社観光ブームは、そう昔からのことではなく、昭和40年代以前は、寺や神社はとても困窮していたそうです。これは私が訪れた京都の某大寺院の住職さんとお話した時そうおっしゃっていました。実際そういう話はほかにもよく聞きます。

文化財を保存するにはどうしてもお金がかかります。仕方がないと思います。そういった視点で文化財を見るよりも、私は、聖域や修行の場を見せてもらっているという謙虚な気持ちで拝観して、歴史・文化の精華に触れることを楽しみにしたいと感じます。

3 名前: じょび。 投稿日: 2001/1/21(日) 03:39:36
 なるほど。
 では、なぜヨーロッパは無料でやっていけるのでしょう?
 信者が寄付しているから?
 しかし、大聖堂が、まったく信者っぽくない多くの観光客を受け入れている姿には、文化の違いかな?と感じました。

 ついでに、もう1点。建物内の写真撮影はなぜできないのでしょう?
 ヨーロッパでも禁止されているところもありますが、ロンドンのウェストミンスター寺院のように、週1回だけ解禁、というところもあります。
 大聖堂・教会のほかにも、ルーブル美術館や大英博物館は、すべて写真・ストロボOKです。
 仏像は、ストロボの影響で、傷んでしまうのでしょうか?
 

4 名前: 浦に〜と 投稿日: 2001/1/21(日) 14:40:49
私も拝観料をとられるのは当たり前と捉えていますし、それぞれの寺や神社で、それ相応のものを見られると思います。
管理や修復に使われるのでしたら特に問題はないと考えます。しかし私はヨーロッパの事情や、何で違うのか といった点などまったく分かりませんので、これ以上コメント出来ません。

5 名前: 高橋 投稿日: 2001/1/21(日) 21:55:32
確かに国内の寺や博物館は写真の撮れないところが多いですね。
私も泣く泣く観光絵葉書を購入せざるを得なかったところもあり、副収入確保のための陰謀かいなと勘ぐってしまいました。ですが、ゆっくり拝観をしているときにパシッとストロボが光るのも時には迷惑に思えることもあり、これが原因で仏像や絵画が痛むことはないでしょうが、こちとらの心が痛むことも経験済みです。
学生時代には建築の勉強をしている学生なんですが・・・と切り出して写真撮影の許可をいただいた場所も結構あります。なかには普通は撮影料をいただくけども学生さんじゃしょうがないや。というところも有りましたが、みなさん比較的融通が利いたように思います。
拝観料の件ですが、神道系は無料、仏教系は有料、キリスト教は比較的無料が多い。というような経験則を持っているのですが、神社でも有料のところってけっこうあるのでしょうか?私も浦に〜とさん同様、当たり前と思っていますので、むしろ寸志としていくらか払ったら良いのか判らない状況よりも良いとぐらいにさえ思っています。
海外での笑い話ですが、拝観順路にいくつものドーム状の小部屋があり、最初の部屋で老人がでっかい線香を私のために灯してくれました。ここでひざまづいてなにがしかの浄財を手渡し次の小部屋に行くとまたしてもご老人が・・・かくして5つめの小部屋で私の財布の小額紙幣は底をつき、次からは大枚を手渡すハメに陥りました。

6 名前: じょび。 投稿日: 2001/1/22(月) 01:03:48
 拝観料の件。なるほど、と思います。でも、ついでにちょっと。
 昨秋奈良に行っていました。法隆寺は1000円ですよ! 「寸志」じゃないですね。
 東大寺も大仏殿と三月堂合わせて800円。高いです。神道系?の春日大社も500円。
 宗教法人は税制上も優遇されているのだから、せいぜい300円〜500円で充分なのではないですか?
 ただ、高橋さんのおっしゃるように宇治上神社や上賀茂神社は無料。おもしろい法則ですね。

 個人的には、英国が採用している「ヘリテイジ・パス」を導入してほしい。
 期間と料金を指定し、主な遺産はスルーで見られる、というもの。英国ではほとんどの世界遺産がパス1枚で見られ、よかった。
ただ、英国もパスを使わないと、ロンドン塔なんかは約1500円という信じられない額の入場料です。

 写真撮影は、マナーのようなものです。確かに大仏殿のなかでストロボはって気にもなりますが、中で大仏を撮るには
ストロボがダメなら三脚が必要です。しかし、それも認められない。なぜ? 他の人に迷惑だから?
 ヨーロッパは、三脚がダメでもストロボOK、ストロボダメでも三脚OKというところが多かった。
 であれば、時間を制限して実施すればいい。あるいは、撮影料をとってもいい。
 アメリカのプエブロ・デ・タオスや、ベトナムのフエはカメラやビデオの持ち込みに余分に入場料を取っています。
 特にタオスのほうは、高くて、一般入場料と合わせると4000円くらいになる。
 これほどの金を出すから、それほど撮影している人はいないし、高くても撮りたい人だから、カメラマン気取りの人が多く、カメラマンシップにのっとているんです(通行人のじゃまをしない、禁止区域では撮らない等)。

 とまあ、なにがなんでもただにしろ、なんて言う気はないのです。ただ、高すぎとか撮影に厳しすぎるのではないか、と。
 ただ、日本が多くの外国人に訪れてもらい、心地よく観光できるよう、肩肘張ったもてなしはやめましょうよ、といいたいのです。

7 名前: じょび。 投稿日: 2001/1/22(月) 01:17:28
 上記の意見を読み直し、指摘されかねないと先に記します。
 「高い入場料を批判しながら、高い撮影料を提案するとは矛盾してないか?」
 これは、世界各地の様々な取り組みを紹介したまでです。法隆寺で、僕以外誰も観光客がいないのに、一眼レフと三脚を持っていかにも仏像の写真を撮りたそうな顔をしている僕を、お坊さんが監視し続けていたのが、本当にイヤな感じだったんです。
 ルールぐらい、守ります。と心の中でつぶやいてました。

 ちなみに全然関係ないですが、奈良が週末にパーク&ライドを実施してました。
 東大寺周辺は大渋滞なのですが、ちょっとはなれたところに無料駐車場を確保し、自転車で寺社をまわる、というもの。
 僕も参加したのですが、駐車場は遠すぎた感もあったが、駐車場代や渋滞のストレスもなく、よい企画だと思った。
 でも、知らない人が多くて、やはり大渋滞だったけど。

8 名前: 収斂 投稿日: 2001/1/23(火) 02:32:36
日本の寺社は、特に金堂など内部の写真撮影が禁止されているところが多いのですが、私もその正確な理由は分かりません。しかし参考までに私の考えを述べます。

実は日本の仏像や大和絵などの絵画を見て、西欧の彫刻、天使や聖人の像、絵画(油彩画、フレスコ画)と決定的に状態に差があることに気付いてください。つまり、日本のものは、たとえそれが金銅仏であったとしても、古いものは金箔が剥げ落ち黒い地肌になっています。塑像もかつての極彩色の色がなくなり、土の色になっています。例えば平等院阿弥陀堂の大和絵や大分国東半島の富貴寺内部の壁画は、現在はほとんど朽ち果て、ほとんど様子が把握できませんし、新薬師寺の十二神将も当時は極彩色であったのに今はほとんど色が残っていません。平安時代以前の国宝・重文の仏像はほとんどそうです。

これに対し博物館に展示されている西欧の彫刻・絵画を見ると、古くなったことによって当然起きていなくてはいけないはずの劣化があまり感じられませんよね。この違いは、実は、西洋では、そういった古くなった文化財は、当然のように修復することになっているためなのです。つまり像の金箔が剥げたら貼り直すとか、絵画も年月が経つとホコリですすけてくるのを、上からもう一回同じ色で塗り直し、クリーニングするのです。実際、油彩画は重ね塗りが可能なので修復保存しやすいのです。時々、X線で画像解析すると、絵の下に古い絵画が発見されることがあるのはそのためです。そして欧州には、そういう古い絵画の修復を専門に行う職人が古くから存在し、そのノウハウは素晴らしいものがあります。ほかにも、モザイク画は数千年しても大丈夫なのはポンペイの遺跡が証明していますし、フレスコ画もそうです。
つまり西欧の文化財は、日本、もしくは中国も含めた東アジアの文化財と比べて、はるかに耐久性があり、しかも必要に応じて修復することを当然の選択肢と考えて、文化財の保存に尽力しています。
これに対し日本の文化財はそういったことをなるべくしない現状維持の保存に徹しています。もちろん全てではありませんが(金閣や中尊寺金色堂の金箔の張り替え等)、障壁画や仏像本体には手を加えていません。ですから仏像の光背だけは金箔で輝いているのに仏像本体は古いままなのです。例えば東大寺の大仏もそうですよね。特に貴重な仏像、例えば法隆寺の釈迦三尊像や百済観音像はそういった修復すらしていないから、本体も光背もすべて同じくらい古くなっています。西欧の外国人から見れば、この日本のような修復をしない保存は奇異に感じられるみたいです。

以上の点をもとに博物館内の写真撮影について考察します。実際、写真のフラッシュで文化財の彩色にどれくらいの傷みを及ぼすかは不明です。しかし紫外線のような波長の短い光線は確実に彩色を損なわせます。フラッシュの波長は可視光線の領域で、また私もフラッシュのスペクトルがどれくらいかは知りませんが、わずかでも紫外域の波長が含まれている可能性は否定できません。大挙した観光客のフラッシュを浴び続けることは、決していいことではありますまい。ですから、文化財に対する撮影禁止がされていると考えました。

これに対し西欧の美術館についての対応についてですが、実際は、日本と同じ理由での撮影禁止が行われている場所・文化財も多いと考えます。しかし、幾度となく修復をしてきた絵画については、その規制が日本より甘いのではないでしょうか。そのことが、教会内での撮影が可能である大きな理由と考えることができます。

(参考までに)
私は和洋を問わず、彫刻や絵画を見ると、それが修復されたものかどうかまず疑って見ることにしています。特に最近、中国の仏像には、あまりに新しすぎる仏像が多い気がします。以前世界遺産の番組でも紹介された峨眉山など世界遺産級の寺ですらそうです。文化大革命の影響で棄却された可能性が頭をよぎりました。具体的にどのくらいの仏像が損傷し、今ある仏像が昔から現存するものか、それとも近年のものかを書いている本がないので、こればかりは自分の勘に頼るしかないのですが、誰か、中国の文化財で破壊されたものとそうでないものを詳細に記した本について知っておられましたら、どうぞ教えてください。

9 名前: 浦に〜と 投稿日: 2001/1/23(火) 09:38:01
高橋さん>
神道系では厳島神社も有料だったと記憶しています。

10 名前: じょび。 投稿日: 2001/1/24(水) 21:41:13
いつもながら、勉強になります。
必ずしも、入場料の高さ・撮影できぬ理由を100%納得したわけではありませんが、
みなさまのご意見は「なるほど」と思うものばかり。
この件につき、また、思い浮かぶこと、ありましたら書き込みます。

11 名前: 浦に〜と 投稿日: 2001/2/21(水) 01:06:42
先日、日光へ行ってきました。これまた拝観料が高かったです。
二社一寺共通券で1000円。しかも、東照宮の東回廊および奥社は別料金520円。二荒山神社の霊泉も別料金の200円(ここは行きませんでした)。東照宮だけの拝観券になると、1250円!
日光は日本の遺産の中でも特に綿密な修復・維持が行なわれているものですし、ここで値段云々言っても仕方無いのであまり深く突っ込みませんが、値段以上のものを見ることが出来たのは事実です。6年ぶり3度目の日光、以前は全く気付かなかった良さをじっくりと味わってきました。