摩周湖はどうでしょう?
1 名前:しげ 投稿日:2001/3/3(土) 17:09:40
初めて投稿します。 今私達の町はにわかに「摩周湖を世界遺産にしよう
」という運動が起きています。 実は私もその一人ですが・・
あの摩周湖の素晴らしさを世界の人に認めてもらいたいし、今のままの姿で
残していきたいというのが、本当の気持ちです。
皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

2 名前:浦に〜と 投稿日:2001/3/4(日) 00:23:26
はじめまして。
私も摩周湖へ行ったことがあります。夏、雲ひとつない好天の下で、摩周湖は神秘的にありました。深い青と周辺の緑は今も印象強く覚えています。
あんな素晴らしいものが地元にあれば、世界遺産にしよう!という運動が起きるのも、当然かも知れません。私は登録するなら摩周湖だけでなく、阿寒国立公園全域か、もしくは他の北海道の国立公園・国定公園・その他の自然保護区と共同して運動を行なうべきだと考えます。

3 名前:浦に〜と 投稿日:2001/3/4(日) 00:42:54
去年の10月初旬、摩周湖の世界遺産登録運動に係わっているという方からメールを頂きました。その方に返信した文章を、一部抜粋して、摩周湖世界遺産登録運動に対する私の意見とさせて頂きます。
これは決して手抜きではなく、今新たに文章を考えるより、その時のメール文の方が良いだろうと考えたため、あえて昔の文章を引用いたします。

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摩周湖は、湖面に達する道路がないなど、原始のまま保たれていますし、周囲は森林地帯です。しかし、それも湖の近辺だけであって、その周りは開発も進み、人工物も多いのではないでしょうか。私の見た感じでは そうでした。ですから、なるべく人工物を廃したり、景観を壊さないように作り変えたりする必要があると思います。

また、摩周湖だけでは狭いとも思われるのです。自然遺産はある程度の面積を必要とし、「摩周湖」という単体の湖だけでは、そこが世界でも指折りの奇異な生態系を見せるとか、世界的に見て重要な、絶滅の危機に瀕する生物の唯一の生息地であるとか、そうでない限り無理です。

そこで、阿寒国立公園全域を候補として見ても、ちょっと難しいのではないかと、私は思います。北海道では、知床と釧路湿原が世界遺産化の運動をしていて、大雪山も候補だと言われているようですね。阿寒国立公園が世界遺産化の運動を行っているという話は、聞いたことがありません。
阿寒国立公園は、それら3つの国立公園の中間に位置し、それらに追加するという形で運動を進めても良いと思います。

現在、北海道に世界遺産が1つもないのは個人的に残念に思えることです。なぜなら、北海道は本州とシベリアの中間に位置しており、進化の途中の姿を示す固有の生物が生まれつつある場所であるからです。エゾ○○という生物亜種があまりに多いです。よって、北海道は世界遺産に登録する必要があると私は考えます。

そして北海道の中でも、比較的良く保存された知床国立公園の世界遺産化を強く望んでおります。知床は、そこだけで、北海道に暮らす殆どの生物が見られるので、知床を登録することで、北海道の生態系が登録できると思うからです。
しかし個人的には、そこに釧路湿原、大雪山、そして阿寒国立公園なども付加して一括登録してもいいのではないか、とも考えています。

また、「摩周湖を世界遺産にする必要はあるのか」ということも考える必要があると思います。
世界遺産というのは、ここで言うまでもないことでしょうが、地球全体の宝物を、国家の隔たりなく、地球規模で、同時に保護していくもの。滅失の危機に瀕する自然や文化に、保全の手をさしのばす為の条約。登録された物件の保全のされ様を見て、世界中の人々が、同じように自国の遺産を守るためのもの。そして、国際理解を深める為、自分の国を知ってもらう為に、自慢できる自然や文化をあまねく世界に知らしめる為の条約でもあります。

こういったことを考えると、摩周湖単体では、世界遺産化は無理でしょう。世界的に見ても、高い透明度を示すということ以外、際立った特徴は無いですから。広く阿寒国立公園、また北海道東部の国立公園群といった方向で運動をしていったほうがよいと、私は思います。

ただ、自然破壊が全く進んでいないと思われがちの北海道の国立公園も、地球規模で見たら軟弱な自然と見なされてしまうでしょうし、実際には、知床だって何時推薦できるのか分かったものではありません。整備の必要性などを考慮しても、数十年先になってしまうかも知れません。

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以上が摩周湖の世界遺産化に対する私の意見です。否定的な発言もあり、不愉快な思いをさせてしまったのでしたらお詫び申し上げます。意見や指摘があればお聞かせ下さい。

4 名前:浦に〜と 投稿日:2001/3/4(日) 01:47:18
でも北海道に地理的亜種が多いというのは、世界遺産に登録するに当たってそれほど重要視されないかもしれませんね。今、↑の投書を読み直してそう感じました。別に世界的に見て、珍しいものでもありませんし。

5 名前:しげ 投稿日:2001/3/7(水) 10:13:36
浦に〜とさん、ご意見ご指摘ありがとうございます。 私達もここにいたるまで色々な議論をしてまいりました。
「摩周湖だけじゃ、小さすぎるじゃない」「科学的根拠は?」 等々紆余曲折の繰り返しでした。
しかし、透明度に関する世界的基準がない今、世界一とは言えないながら、世界の情勢やデータを元にした場合
摩周湖の透明度は世界一であることは、間違いありません。 私はこのことだけで世界遺産に登録する価値があると
思っています。 
私は10年後、20年後いや、50年後に摩周湖を訪れる人々に私と同じ感動をしていただきたい
と思っています。
これからも、ご指導下さい。

6 名前:キタキツネ 投稿日:2001/3/7(水) 22:50:40
摩周湖は意外と皆が気づいていない日本が誇れる自然遺産の一つだと思います。
地球観測のポイントの一つにもなっているし科学者の間では評価は高い様です。
IUCNがどういう見方をするかですが,北海道遺産のなかでも上位クラスでしょう。
イースト・レンネルの湖と何かイメージが似ていますよね。阿寒国立公園で名前が霞んでいるけど
摩周国立公園でもおかしくないサイトだと思います。確かに亜種は多いのだけれども動植物の生態系
も確りしていれば可能性はあるのではないでしょうか。それと,先住民?のアイヌ伝説も数多くあって
ユネスコ好みの意外な物件になるのでは。環境省も多様性を言っているし,山だけではなく湖も今後,候補に挙がってくるのでは,
琵琶湖はむつかしいし,十和田湖や田沢湖も今一つ普遍的価値が見つからない。只一つ寂しいのは貧栄養湖のため渡り鳥が余り寄り付かない。
しかし,摩周湖の風格は神秘的で神聖,そのうち,きっと脚光を浴びるだろう。
世界遺産の専門家から意見を伺いました。ご参考まで。

7 名前:浦に〜と 投稿日:2001/3/8(木) 10:21:34
キタキツネさん>
参考になりました。貧栄養について付け加えれば、摩周湖はもともと魚類がいなかったのに、人工的にニジマスなどを移入しましたよね? そういうのって、世界遺産に登録するとき弊害になるのではないでしょうか。
またソロモン諸島の「東レンネル」は高木に覆われて豊富な生物相を示し、固有種の宝庫になっているとかで、自然遺産の基準の(2)に該当しています。あそこには太平洋最大の湖があって東レンネルの大きな特徴のようですが、世界遺産になった直接の理由では無いと思います。
もし摩周湖を推薦するとしたら、どの基準に当てはめ、どういった文章を添えますか?

8 名前:キタキツネ 投稿日:2001/3/8(木) 13:07:40
固有種,稀少種がいればいうことないのですが,人の手が入っているのは残念ですよね。バイカル湖,マラウイ湖,プリトビチェ湖,トゥルカナ湖,オフリッド湖などではどうでしょうね。養殖ではなく放流の様ですし,種の減少など生態系への影響が深刻ですと問題になると思いますが
摩周湖の場合は,特段,大きな問題ではない様に思います。イースト・レンネルのテガノ湖は深い霧に覆われた時,摩周湖の景観に似ていると,以前,JICAの方から聞いたことがあります。テガノ湖はサイクロンによる気候変動の影響を受けることで,地球環境問題を専門とする科学者の間では
定点観測が行われていますが,摩周湖でも地球上の大気汚染との関わりを示す指標となるベースラインモニタリングが行われていることは注目されることです。摩周湖を世界遺産に推薦する場合,基本的には,登録基準の3.が該当すると思います。世界一といわれる湖水の透明度,日本一の湖岸線延長19.8kmの非改変湖沼,それに,周辺の高山低木群落,ササダケカンバ群落,エゾマツ・トドマツ群落
などの自然林などをどの基準で適用するかということになるかと思います。摩周湖のことを調べていくと,
日本の文化財保護法の視点から見た場合,何故に,名勝指定されていないのかという疑問に突き当たります。この辺の整合性を国内的にどう調整を図っていくかがポイントになると思います。私のところの代表者が今年1月に摩周湖に行きましたが,摩周湖はいずれクローズ・アップされてくるだろうと言っていました。前に進みだすと,知床や大雪山よりも早いのではないでしょうか。

9 名前:浦に〜と 投稿日:2001/3/8(木) 15:21:24
摩周湖が環境探査の指標であることは知ってましたが、私の思っていた以上に注目度や知名度が高いようで、大変勉強になりました。

オフリド湖の名が出てきましたね。
ご存知の事と思いますが、現在複合遺産となっているオフリド湖は、最初は自然遺産でした。しかも該当基準は(3)のみ。私から見れば、オフリド湖が文化的価値無くして自然的特徴だけで登録できるのなら、摩周湖も当然、登録されるものと確信持てます。けれどもオフリド湖は条約初期の登録で、その頃はかなりルーズだったため参考外です。

その他の、バイカル湖、マラウイ湖、プリトヴィチェ湖群、トゥルカナ湖岸などは、美的価値だけでなく、そこの動物相がかなり考慮されて世界遺産になっています。そこへいくと摩周湖は決定力に欠けるという気が、どうしても抜けきれません。周辺植生を考慮するなら知床か、高山植物群のある大雪山系の方が、世界遺産としてみた場合強そうです。

基準(3)に該当すると言っても、その美的価値を維持するために必要な周辺区域も広く取る必要があるし、それならいっそのこと、阿寒国立公園全部で動いても良いのではないでしょうか。

10 名前:キタキツネ 投稿日:2001/3/8(木) 16:37:45
一般的には,阿寒湖(マリモもありますし),屈斜路湖を含め広域的な視点に立った見方が正統ですが,阿寒国立公園では,摩周湖や屈斜路湖が霞んでしまう。本来,この国立公園名は,
摩周・屈斜路・阿寒国立公園(順番は別として)であるべきだと思います。湖群の考え方は,カナダ,オーストラリア,クロアチアの事例があるわけですが,摩周湖で最初は走った方が,まとめやすい様に思います。
知床は北方領土との絡みもありますし,大雪山は,広域で運動を展開している様に聞いていますが,登録遺産の範囲等で,時間が長引く様に思います。私個人としては,大雪山,知床,そして,日高も好きなのですが,
北海道遺産から世界遺産に登録される物件が出てきて欲しいと考えています。世界遺産化を推進している弟子屈町の商工会青年部の方々はきわめて熱心であると聞いておりますし,そうした熱意が将来実を結ぶことを願っています。
何はともあれ,世界遺産がないのは,北海道と四国だけ。地域的なバランス,自然遺産と文化遺産の数のバランス,これは,ユネスコ全体の課題としてだけではなく,オール・ジャパンとしても
その点,考慮していかなければなりませんね。日本の自然遺産の数をもっと増やしましょう。では,どれをと収斂していく時,摩周湖の世界一の透明度は,きわめてユニークな物件として写ってくるのです。皆で知恵を出しバックアップしていきたいものです。

11 名前:浦に〜と 投稿日:2001/3/8(木) 21:27:45
なるほど。登録遺産を考えるだけではなく、どのようにして登録するかという過程も考える必要があるんですね。

私もキタキツネさんと同意見で、北海道から世界遺産が一件も登録されていないのはあまりにも寂しいです。でも冷静に見ると、知床以外は単独で登録できるほど、世界遺産としてのいわゆる「顕著で普遍的価値」を持っていないようにも感じてしまいます。(知床さえも困難だろうという話もあります)。
そこで、登録運動のある釧路湿原と大雪山系、それに阿寒国立公園、2つの原生自然環境保全地域を知床に加えて、「北海道の自然保護区群」とすればいいんじゃないかなーというのが私の考えです。
知床はロシア側がかなり熱心だと聞きます。北方領土の政治的な憶測があっても、意外と早く申請書提出までこぎつけるのではないかと期待しています。

また、日本国内における地域的偏重はある意味仕方ないにしても、自然遺産がたったの2件というのは少なすぎです。日本国内においては、登録されている11箇所が脚光を浴びるあまりに、日本も世界遺産の数のアンバランスに荷担しているという事実を憂慮する人が少ないような感じも抱きます。

12 名前:キタキツネ 投稿日:2001/3/8(木) 21:59:21
色々な利害が錯綜してまとまらないといのが日本の実態の様に思います。
日本は国土面積が狭いですから,数を増やしていくという戦略であれば,
北海道で自然遺産一つというのは寂しいですよね。この辺は日本政府の国家戦略をいかに描くかということに
なりますが,戦略不在ですね。ロシアが北方領土の世界遺産化を進めようとしているのは承知していますが,世界遺産委員会に案件が上がってくると
大変な問題になるということを日本政府,なかでも,外務省は認識しているのでしょうか?
自国の領土にあるというのが前提ですから係争が起こるのは間違いなし。二島返還で,四島をロシア・日本の共同推薦が理想的ですが,二島・四島の問題が解決しない限り,
この問題は解決しませんね。ロシアの文化戦略でまんまとロシアの自国にされない注視が必要だと思います。
それにしても浦に〜とさんは良く勉強されていますね。ご専門は何ですか?
うちの代表が一度お目にかかりたいと言っていました。

13 名前:収斂 投稿日:2001/3/9(金) 03:49:10
キタキツネさん>
はじめまして、収斂と申します。かなり真剣な議論が展開されており興味深く眺めておりました。私は北海道にすら行ったことが無いのですが、この摩周湖の世界遺産化についての議論に参加させていただきたく思います。多少の無知、偏見をお許しください。

私の感じでは、摩周湖の単独での世界遺産登録は難しいと言わざるをえません。それは世界的に見て、ここが顕著で普遍的な価値がる場所とはいえない、もしくはそういう点が極めて少ないからです。そもそも透明度が世界一という根拠が解りません。いつの調査データなのでしょうか? 調査した時期でデータは変るはずです。また比較した外国のデータの信憑性も気になります。さらに、カルデラ湖が栄養価に乏しいのは一般的なことであります。それ以外の原因で透明度が30〜40メートルくらいいけば確かに貴重でしょうが。まず透明度を例示してください。議論はそれからです。

私は、地球環境の危機的状況が、今後、世界中で自然遺産の数を増やさなくてはいけなくなる事態を招くと考えておりますし、それはそう遠くないでしょう。ですから摩周湖一帯がその候補に上がってくる可能性は高いでしょう。しかし、それは、浦に〜とさんがおっしゃっているような形態、おそらく釧路湿原国立公園、大雪山国立公園、阿寒国立公園、知床国立公園、さらに網走国定公園なども加えたものになると思います。世界自然遺産の主旨は貴重な自然を保存することですから、仮に国立公園などに指定され、保護が完璧なまでに行き届いている自然公園は必ずしも世界遺産にしなくてもいいのです。

では私なりの感覚ですが、世界自然遺産のなり易さを考えてみます。
まず、希少生物の生存地域なら、面積に関係なく世界遺産になれます。セーシェルのメィ渓谷自然保護区は面積が0.2平方キロメートル以下ですが、自然遺産の基準を全て満たしております。次に生物の種類が豊富な地域も容易に世界遺産に指定されているようです。おそらく現段階の自然遺産の半数はこういったものではないかと見ています。
その次は、それほど絶滅危惧種がいるわけではなく、生物の種類もそれほど豊富とはいえないが、地球環境にとって貴重な地域も自然遺産になれます。しかし公園面積がある程度なくては意味がありません。こういった地域は極北やタイガの森など、厳しい自然環境に適応した生物しか生き残れなかった生態系なんかがそうです。生物種が少ないにもかかわらず指定されたものですから、当然公園面積は広い地域です。
ほかに基準(1)に該当する、珍しい地質学的特徴をもった地域、例えば化石発掘地なんかも指定されますが、こういう地質学ではその希少性を絶対評価しにくいため、それほど世界遺産に指定されていません。

基準(3)は、私は副次的基準と考えています。基準(3)のみが指定されたものはキリマンジャロ国立公園(753.53km2)、黄龍の自然景観および歴史地区(700.00km2)、九寨溝の自然景観および歴史地区(720.00km2)、武陵源の自然景観および歴史地区(264.00 km2)がありますが、これらは例えば屋久島の面積(107.47km2)と比較してみても、かなり大きいものといえましょう。

ここで、屋久島について見てみます。霧島屋久国立公園の面積は548 km2もあるのですが、特別保護地域は全体の21.3%の117 km2しかありません。これは世界遺産に登録された面積に近い値です。つまり世界遺産になりそうな面積は、日本の基準に合わせるなら、国立公園でも、その特別保護地域がその対象になってくるといえます。

ここで北海道の自然公園の面積を計算してみます。この地域を世界遺産にするには、だいたい武陵源を超えるくらいの面積、まあ300 km2くらいは必要になってくるでしょう。ひょっとしたらこれでも足りないくらいですが、一応これをボーダーラインにしましょう。
まず阿寒国立公園は特別保護地域が104 km2しかなく、しかもそれはこの公園全体の11%でしかありません。ですから単体では登録はまず無理でしょう。では近くの国立公園と合体させることはうまくいくでしょうか?近くの公園を見てみます。
一番近い釧路湿原国立公園でも特別保護地域全体の24%で、面積は64 km2しかありません。ですからここも単体ではきついのです。ただ湿原という希少性を考慮すると、ぎりぎりのところで単体で登録できるかもしれません。ここが全国の湿原面積の60%を占めることを考えてもそうです。
次に近い知床国立公園は特別保護地域が235km2もあり、しかもそれが公園面積全体の61%を占めます。ここが世界遺産運動しているのは、それなりの見込みがあるからなのでしょう。私はうまくやれば単体で登録可能と感じています。
最後に大雪山国立公園です。日本最大の国立公園です。特別地域も368 km2もあります。全体の公園面積は2267 km2ですから確かに素晴らしい地域なのでしょう。しかし見て分かるように特別地域の占める割合がたった16%しかありません。しかも公園内にスキー場、温泉など観光化された施設、道路があります。年間利用者が毎年600万人以上です。おそらく観光公害が深刻ではないでしょうか。

以上から、北海道の自然を世界遺産にするには、まず知床半島がもっとも可能性があり、釧路湿原がそれに続きます。しかしそれでも世界の自然遺産の規模からすればぎりぎりで、観光公害を解決できてやっと光明が出てくる段階であるといえます。

ですから摩周湖の世界遺産化はほとんど不可能と思えますし、仮に運動するなら、単体ではなく、近くの国立公園と合体させるしか手がないと考えます。もっともいいのは、大雪山と合体させるといいかもしれません。しかし100キロくらい離れていますから無理があります。やはり一番近い釧路湿原と合体さえて推薦するのがよいと考えます。

実は私はアイヌ文化や石器時代の遺跡も含めた形で運動すると効果的と考えていますが、今回はもう疲れたので、この続きはまたの機会にしたいと思います。
ありがとうございました。

14 名前:浦に〜と 投稿日:2001/3/9(金) 11:59:49
私が先の投稿で挙げたいくつかの保護区は、釧路湿原以外は皆似てます。知床には海があり、阿寒にはカルデラ湖があり、大雪山には雄大な峡谷と高山があると言っても、基本的には山と森。世界遺産登録するのに、国内の基準であまり細分化しても難しくなるだけです。
ちなみに北海道のもう一つの国立公園、利尻礼文サロベツは世界遺産化の話をまったく聞きません。あそこも結構いけそうなんですが・・・ 大雪山が大丈夫なら、利尻島もかなり良いと思います。でもやはり世界遺産規模で見た場合は、国内の景勝地で終わってしまいそうなのかも。

知床半島と国後島の一括登録運動に関して、ロシア側も領有権問題とはごっちゃにしないでしょう。そんな事が問題になったら、共同運動もなにも無くなるわけですから。政治的な思惑はあると思われても、ある程度融通の利く運動であると思います。
自国にあるものが申請対象となる条件であるとはいえ、イェルサレムの例もありますし、南極の問題などからこの辺は近いうちに改善されないのでしょうか。(オーストラリアが「南極」を暫定リストに入れるとか入れないとか、そんな話知りませんか?)

自然遺産の基準(3)だけに該当するものは、他に、ネパールの「サガルマータ国立公園」とポーランド/ベラルーシの「ベラヴェシュスカヤ・プーシャ/ビャウォヴィエジャ原生林」があります。両方とも、面積は広く取ってあります。前者はいいとして、後者は何故(3)にしか該当していないのでしょうか。特に美的価値はないと思うのですけど・・・ 私はこの遺産でも、登録基準の該当方法の不思議を感じてしまいます。

また日本の国立公園に関して言えば、収斂さんが指摘されている通り、面積に比べ原始の部分が圧倒的に狭いのです。加えて人工物や都市まで多く含まれ、更に、範囲のとりかたがおかしいです。富士箱根伊豆国立公園や上信越高原国立公園など、指定地も飛び飛びで輪郭線がヘビのようにくねくねし過ぎです。
あまり参考にならない話ですみませんが、オーストラリアの「クイーンズランドの湿潤熱帯林」も、範囲の取りかたが極端に異質で、実際登録に際して問題視されました。

話が横道にそれました。
収斂さんは自然遺産と面積との関連を書かれていますね。そこに付け加えるのなら、その姿形が著しい唯一性を呈するものも、狭くても登録されると言えそうです。代表的なのがイギリスの「ジャイアンツ・コーズウェー」やザンビア/ジンバブエの「モシ・オア・トゥニャ/ヴィクトリアの滝」。あと複合遺産も入れるなら、ギリシアの「メテオラ」、トルコの「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群」。
関係ない話ですけど、外見上の面白さだけを取るなら、私は世界遺産の「ウィランドラ湖群地帯」と、やはりオーストラリアの「ナンブング(ナンバン)国立公園」が一番好きです。なんで世界遺産になっていないのでしょうか、ナンブング。観光公害の危機もあるというのに・・・ 

キタキツネさん>
私の専門(大学で習っているもの)は生物です。でも生態や形態など大きなものではなくて、細胞・分子レベルの細かい話です(^^;;
キタキツネさんは、世界遺産の調査などを行なっていらっしゃるのでしょうか。世界遺産の専門家さんでいらっしゃいますか?

15 名前:キタキツネ 投稿日:2001/3/9(金) 12:34:22
収斂さん>長々と有難うございました。大変,参考になります。
広域的な物の見方については,賛成ですし,日本の場合は,なにしろ国土面積が狭いですからカナダ,アメリカ合衆国,オーストラリア,そして,アフリカ大陸の
国立公園とは異なりますね。国立公園の管理もカナダのParks Canadaやアメリカの内務省管下のNational Park Serviceの様に保護管理が確りしているところと
アフリカの様に,なかでも,紛争国においては,Beyond Controlの状態になっているものと,同じ国立公園であっても,保護管理措置の実態は様々だと思います。
欧米流の発想,また,これまでの登録パターン,面積規模をいうなら北海道をまるごと世界遺産にするくらいでないと彼らのNational Parkの概念とは程遠いものがあると思います。
従来発想からするとそうですし,other similar propertiesにあてはめようとすれば,そういうことになります。しかしながら,今,世界遺産に求められているのは多様性ではないでしょうか?
画一的なものではなく,地球と人類の未来に残していくべき大切なものが求められている様に思います。ユネスコの方も,その様なものがあったらどんどん提案してくれと言っている。
地球環境,生物多様性,ラムサール関係,色々な価値が今後,クロスオーバーしてくると思います。
湖の透明度についてですが,琵琶湖の様に毎日発表しているものもあれば,数年に1回,或は,まだ未調査のものに至るまで,グローバル・スタンダードの湖勢調査結果は見当たりませんが,
過去に計測された最大透明度のデータは国立天文台の理科年表にも出ています。今,手元にある資料では,摩周湖41.6m 1931年,バイカル湖40.5m 1911年,タホ湖32.7m 1873年,田沢湖30.0m 1926年,猪苗代湖27.5m 1930年,クレータ湖27.0 1913年,池田湖26.8m 1929年,支笏湖25.0m 1926年,ワルヘル湖25.0m 1903年などとなっています。
ここで肝心なのは,それらの指標が,現在どの様になっており,また,過去からどの様に推移し,地球環境,大気との関連においてどの様な相関があるのか?また,摩周湖の透明度の変化が示す地球環境の変化のバロメーターとしての裏付け,これが科学的に実証され,世界中の人が摩周湖の湖水の透明度の変化に関心を示す観測ポイントとしての実証が必要なのはいうまでも
ありません。また,湖水の透明度と美しさとの相関。本当に水が透き通っていて美しいのか?自然美たるうるのか?美感は見る人によってことなりますが,湖面の美しさのみならず,展望地点から見た周囲の景観,遠方の景観等も考慮すべきではないでしょうか。
何も私は,摩周湖に固執しているわけではありませんが,世界遺産化の声が各ポイントで起こり,それらが,釧路湿原にも,阿寒湖にも波及し,それらが結束していく,そのプロセスが非常に大切だと思います。そして,内外に誇れる北海道遺産を世界に示して欲しいと思うのです。
隗より始めよの心境です。収斂さんともいずれお目にかかりたいですね。
私どもは広島を本拠に全国を飛び回っていますが,福岡空港にも再々行っていますので,いずれ,お目にかかりましょう。

16 名前:キタキツネ 投稿日:2001/3/9(金) 17:14:19
浦に〜とさん
数々のご指摘有難うございます。世界遺産の登録基準をパターン化してみるとよくわかるのですが,整合性がある様で無いのに気づきます。
ご承知の様に世界遺産の登録基準は申請国が申請してくるものであり,ユネスコ,ICOMOS,IUCNが独自の判断で決めるわけではありません。
明かに解釈が間違っているものについては,申請国に差し戻されますが,そうでない物については,その後,現地調査は入るものの厳密に既登録物件との比較
チェックを行っているかどうかというと甚だ疑問が残るものがあります。
たまたま来週,カナディアン・ロッキーとナイアガラを見てくるのですが,そのスケールの大きさにはかなわないでしょう。今年から富士山の研究も始めたのですが,瀑布と山岳の違いはあるかもしれませんが,ナイアガラが何故世界遺産になれないのかも研究課題の一つです。きっと富士山が世界遺産になれないかの共通点が発見できないかと思っております。きっと観光公害や開発が進みすぎているのではないかと想像しているのですが。
因みに,私の学生時代の専門は,経済学,ここ7〜8年は,新領域創成科学分野,なかでも,世界遺産学です。いずれ,大学でということになるかもしれません。

17 名前:浦に〜と 投稿日:2001/3/9(金) 22:37:43
このスレッドは摩周湖が主題ですが、話題に上がった登録基準に関して軽く書きます。

ビューロー会議の報告書と、世界遺産委員会の報告書を詳しく読み比べてみると、登録基準が異なっている遺産がちらほら見つかります。それらは最初申請されたものから、実際登録される時に、該当基準の適用法が変わったことを意味していると思われます。
それらの中でも、チェコの「プラハ歴史地区」、ドイツの「ヴァイマールとデッサウにあるバウハウスとその関連遺産」、スリランカの「ダンブッラ黄金寺院」などいくつかの遺産では、世界遺産委員会にて、基準の該当の変化理由についても軽く触れられています。

そのもっと大掛かりな例が、最初複合遺産として申請されたのに、自然/文化遺産のいずれかで登録された遺産や、その逆で、自然/文化遺産として申請されたのに複合遺産になれた遺産です。

私が調べた範囲では、全遺産の1割弱で、ビューロー会議と世界遺産委員会で該当基準が変わっていました。現に日本の遺産でも、「姫路城」の最初の基準はC(1)(3)(4)、「古都奈良の文化財」ではC(2)(3)(4)でした。

分からないのが、拡大登録をすると基準が変わるという遺産です。イタリアの「フェッラーラ」のように、拡大することで該当基準が増えるのは理解できます。しかしペルーの「リマ歴史地区」なんか、1988年に「リマの聖フランシスコ修道院」として登録された時の基準がC(2)(4)で、91年に拡大されたらC(4)。
C(2)はどうなったの〜?という感じです(^^;;

思いっきり本題とは関係ない話ですみませんでした。(詳しくは別にスレッドを設けてからにしましょう)


さて、摩周湖なんですが透明度世界一も70年前の話なんですね。最近は30m前後だそうですし。
キタキツネさんの仰る摩周湖の展望台からの眺めとしては、湖のはるか遠方に見える斜里岳(でしたっけ)も重要で、その辺も保護区に含めたりするべきという事でしょうか。

ナイアガラの滝が世界遺産になれない理由は、私も開発が原因だろうと推測しています。思えば滝の周辺のまともな映像や写真って、見たこと無いです。でも川の両岸に大都市があることなどから、イグアスやヴィクトリアのような周辺状況であるとは想像できません。

18 名前:収斂 投稿日:2001/3/12(月) 06:38:23
キタキツネさん、透明度を例示していただきありがとうございました。このデータをみると、どれもかなり昔のデータで、信頼性がほとんどないと言わざるを得ませんね。おそらく現時点では摩周湖は世界一の透明度はないでしょう。

私が面積について少しこだわった理由を説明していませんでしたね。私は、北海道の自然は、生態系がちょっと乏しいように感じているため世界遺産にするにはどうしても面積で点数を稼ぐしかないと感じたからです。それは決して北海道の自然が破壊された結果ではなく、亜寒帯の気候と植生に起因する結果と思います。やはり熱帯、亜熱帯の方が野生動植物の種類もはるかに豊富で、だから世界遺産になり易いのではないでしょうか。残念ですが、私の考えでは、摩周湖の単体での世界遺産登録は無理といわざるを得ません。

19 名前:収斂 投稿日:2001/3/12(月) 06:42:34
なおこの続きは

「北海道の世界遺産についての考察」

のスレッドを見てください

20 名前:キタキツネ 投稿日:2001/5/31(木) 23:04:15
収斂さん,浦に〜とさん
5月28日に摩周湖世界遺産登録実行委員会が設立された様です。運営のメンバーは摩周湖がある地元の弟子屈町青年部の皆様で,今後の活躍が期待されています。早速に祝福のメッセージを差し上げましたが,ここのBBSも時々覗いてみようと考えています。貴殿達ともこちらでお会い出来れば嬉しく思います。
http://www61.tcup.com/6122/nobu.html

21 名前:キタキツネ 投稿日:2001/6/17(日) 12:16:37
摩周湖世界遺産登録実行委員会の活動概況を紹介したホームページです。
http://www.hamanasu.or.jp/masyuko/tesikaga/sekaiisan/sekaiisani
innkai.htm
近々,ファンクラブも発足するそうで,今後の発展が楽しみです。ボトムアップ型の世界遺産化運動で,今後,世界遺産化に必要な登録要件等環境整備が進められていきます。実現に向けてのプロセス,世界遺産の理念の浸透が結果的には文化的な地域力を高めていく様に思います。日本各地で世界遺産化の運動が高まっていますが,最初から駄目だとは決めつけないで,可能にする為にはどの様にしたら良いのか,遺産の対象,範囲,恒久的な保護管理のあり方等を総点検し,登録要件をクリアーしていく考え方が重要だと思います。弟子屈町青年部の皆さんにエールをおくりたいと思います。

22 名前:収斂 投稿日:2001/6/17(日) 22:03:01
<摩周湖について>
私は別に摩周湖が世界遺産運動すること自体に反対ではないのですが、どうして摩周湖単体でなくてはいけないのでしょうか? 周辺の釧路湿原や知床半島と合同でもよいのではないでしょうか? むしろ広域指定のほうが、現実的だし、自然環境保護の理念に沿うのではないでしょうか?

23 名前:キタキツネ 投稿日:2001/6/18(月) 00:09:35
このことはいずれ北海道庁マターになってくると思います。堀知事の構想に北海道遺産というのがあって,この夏頃にも30くらいの物件が北海道遺産として発表されると聞いています。これも毎年増えていく様ですが,ユネスコ世界遺産のことも視野に入っていて,北海道版の暫定リスト候補といっても過言ではなく,有形・無形も含めて多様なものがノミネートされると思います。また,北海道各地での世界遺産化運動についても承知しており,調整を余儀なくされるものと見ています。現在は総合企画部の地域振興が担当していますが,いずれ,世界遺産登録準備室の様な組織もできるのではないかと期待しています,摩周湖については世界遺産化と同時に現在,阿寒国立公園の中に含まれ,名前が霞んでいますが,摩周・屈斜路・阿寒湖群国立公園の様に,国立公園の改称運動も並行して進めるべきではないかと個人的には思っています。北海道にはユネスコ世界遺産待望論も強く,意外な農村景観など文化的景観なども浮上してくるかもしれません。遺産化の声を集約し統合・調整するのは,環境省や文化庁以前に北海道庁の仕事であると考えています。

24 名前:フェニックス 投稿日:2001/11/20(火) 03:15:41 HomePage
浦に〜とさん>
羽田空港まで会いに来てくれて有難うございました。摩周湖世界遺産登録実行委員会による,弟子屈町公民館での,「摩周湖シンポジウム」も先般,北海道が発表した「北海道遺産」のNo.1に「摩周湖」が選定され,今後,世界遺産登録に向けての行政対応などに弾みがつきそうです。全国的な「摩周湖ファンクラブ」も設立されました。先般,テレビ朝日の番組「素敵な宇宙船地球号」で放送された「忍び寄る摩周湖の危機〜住人たちの意識革命〜」の全国的な反響も,大変,大きかったようです。北海道からも「世界遺産」がいずれ誕生するのを期待したいと思います。来年は,「世界遺産講座」等で,東京に行く機会も多いので,今後もご交誼をお願い致します。

25 名前:浦に〜と 投稿日:2001/11/20(火) 20:58:13
フェニックスさん>
こちらこそ、様々なお話が聞けて面白かったです。これからも宜しくお願いします。私も続けられる限りは、趣味としてでも世界遺産に係わっていきたいと思っています。
ところで摩周湖って、そんなに危機が迫っているのでしょうか? 直接的な危機はないような気がしますが・・・。世界遺産登録という具体的な話になれば、何度も繰り返して言うように、摩周湖単体では無理だと思います。北海道から単体で登録できる可能性がある自然遺産は知床だけではないかと・・・素人判断ですが。

26 名前:フェニックス 投稿日:2001/11/20(火) 21:49:03 HomePage
浦に〜とさん>
近年,エゾシカによる摩周湖周辺も樹木樹皮の食害や密入者によるゴミの投棄や土砂流入などにより,世界一を誇る透明度の低下が懸念されている状況にあると聞いております。登録想定範囲等については,今後,具体的な検討に入ると思いますが,摩周湖をコアに周辺の硫黄山,屈斜路湖,釧路川,それに,阿寒火山帯に広がる森林生態系などバッファー・ゾーンは広範になるかもしれません。ご指摘の知床は,残念ながら,今回選定された25の「北海道遺産」の選からは漏れました。北海道の世界遺産登録に向けての候補としては,客観状況として,摩周湖が北のフロンティアとして浮上しています。単体ではなくしても,北海道の全英知が世界遺産化を実現していくだとうと期待しています。摩周湖は調べれば調べる程,奥が深く,自然遺産という固定観念は捨て,摩周湖と先住民族アイヌとの関わり,北海道開拓史を紐解けば,摩周湖と開拓民との関わりなど文化的景観としての摩周湖の姿も見えてきます。摩周湖とその周辺の面積規模は小さい印象を受けますが,本土に住む私たちにとっては,うらやましい限りの懐の深さです。帰りは
女満別空港から羽田へのフライトとなりましたが,運良く,知床,そして,摩周湖,屈斜路湖,阿寒湖,それに,硫黄山,釧路川,釧路湿原など道東の素晴らしい自然景観を堪能できました。浦に〜とさんにも,是非,道東への旅をお奨め致します。羽田からは約1時間半のフライト,日本列島も何故か小さく見えてしまいます。

27 名前:フェニックス 投稿日:2001/11/23(金) 01:42:40 HomePage
「摩周湖ファン・クラブ」が設立されました。
http://www.hamanasu.or.jp/masyuko/tesikaga/sekaiisan/sekaiisanhome.htm
機会があれば,北海道を代表する湖沼と山岳の複合景観を堪能して下さい。これからは樹氷が美しくなることでしょう。
釧路空港,女満別空港,中標津空港のいずれからでもアクセスできます。摩周湖は,名横綱大鵬の出身地でもある弟子屈(てしかが)町にあります。
朝,入浴した温泉(硫黄)の露天風呂も快適でした。

28 名前:浦に〜と 投稿日:2001/12/2(日) 11:16:28
摩周湖にそれほど多くの危機が迫っているなんて知りませんでした。土砂流入やゴミの投棄というのは困った問題ですね。摩周湖の透明度に直接の打撃を与えそうです。

私も北海道遺産というのには興味があります。先ほど、北海道遺産のサイトを見て、落選したものの中にもユニークな物件が多数あり、とても興味深いものでした。

選定されたものでは、「アイヌ語の地名」に好感が持てます。日本は住居表示の名のもと、どれほど多くの町名を消していったことか! 金沢の旧町名復活運動が全国的に広まればいいと思ってますが、地名・町名も文化財であるという認識は東京において極めて低く、強い警告が必要のように思われます。

東京に東京遺産はあるかというと、数年前にJR東日本が広告していた「東京遺産」くらいだと思いますが、これも面白いものでした。しかしこれは発展せずに、すぐに終わってしまいました。

いくつかの自治体で設定している○○区百景などというものは、とても重要な考え方だと思います。文化財というと社寺や古建築が中心になる中で、このような事業は、日々の生活に密着したものもあるし、新しい建築物もあるし、見慣れた都市景観も選ばれています。そうして地元を再確認することが、ものを大切にしたり、物事を多方面から考えたりする心を育むと思えるのです。

30 名前:柳沢 投稿日:2001/12/3(月) 01:17:24
書き込みに慣れていないので乱文ぎみになってしまいすみません。
摩周湖の保存については、収斂さんの意見に全く同感です。屈斜路湖、阿寒湖をふくめた阿寒国立公園そのものを世界遺産にしたほうがよいと思います。
キタキツネさんのおっしゃるとおり名称を変更するのもよいとおもます。
浦に〜とさんのおっしゃっている「東京遺産」のお話は興味ぶかいと感じました。考古学の世界でも数年前旧新橋駅が発掘調査され、文化庁の「考古速報展」で、全国に巡回展示されるようになり、ついに近代も考古学の対象になったか、
と感じました。文化庁は、平成8年度に文化財保護法改正の国会議決を得て、文化財登録制度を発足させました。その狙いは、近代化遺産の総合調査を行った成果を生かし、全国の
築50年の建造物や工作物、土木構造物を登録させて保存を図ろうというものです。欧米諸国では、一般的だときいていますが、どこの国かはたいへん不勉強で申し上げられずすみません。
とにかく現在も使われている駅舎、鉄橋などの建物も活用しながらも保存し、登録文化財となった建物等の所有者に誇りをもってもらって文化財保護意識を浸透させよう、ということのようです。国や自治体の指定文化財は、保護法や各自治体の文化財保護条例で制限がありすぎるので、もっとゆるやかな登録制度
文化財はめんどうだという意識をすこしでもなくしてもらおう、という話ときいています。
日々の生活に密着した都市景観に関してですが、自分の町でも昭和30年代の高度経済成長時代の当時としてはあこがれのダイニングキッチンのはしりとなった団地が2ヶ所あり、一ヶ所は、老朽化のため次々と取り壊され建て替えられています。2ヶ所目も再開発による取り壊しがほぼきまっており、アンケートが
あったので係として意見を書きましたが、却下されました。登録文化財にもできないし、小さい町であるため、市内の初期古墳を県指定にする手続き、
小規模開発の試掘発掘調査、近代化遺産の兵器工場の給水塔の保存が優先で、実際それで手一杯です。浦に〜とさんのいうとおり地元を再確認することが物を大切にする、物事を多方面から考える、自分の住んでいる町に誇りを持ち、他者を理解し、文化財を大切にすることはつながっているような気がします。
そういえば東京駅の駅舎は、わが母校のツタの絡んだレンガの建物は、登録文化財になったんでしたっけ?後で確かめてみょうっと。

31 名前:浦に〜と 投稿日:2001/12/7(金) 09:56:36
登録文化財の話が出ましたね。東京駅舎は登録文化財ではありませんが、同じ千代田区丸の内にある「日本工業倶楽部」は登録文化財です。現在、なんとこの日本工業倶楽部は解体中です。特徴的な正面部分のみ残して、30階建てくらいのビルになるそうです。登録文化財は外観だけの登録で、多少の改築も認められていると言っても、正面だけ残して高層化してしまうのは嫌ですね。

そもそも丸の内や大手町には、古建築の外観だけを保存して、中身を高層化する「ハリボテビル」が多数あります。ああいうのは見ても面白いものではありません。(ある意味、興味深いものかも知れないけど)。完全に解体・消滅するよりはマシかも知れませんが、地震の多い日本の宿命なのでしょうか。

東京で最も登録文化財の多い自治体は文京区です。個人宅も多数登録されており、区の研究会が大きく動いているようです。そして文京区には学校建築をはじめとする近代建築が無数にあり、その集密度には驚かされます。文京区も積極的にそれらのPRを行なっているようで、大変すばらしいことだと思います。ほかの自治体もこれに倣ってもらいたいものです。

32 名前:フェニックス 投稿日:2001/12/7(金) 14:35:08 HomePage
登録範囲の課題はさておいて,摩周湖の世界遺産化運動は,在京の方々も是非,応援してあげて下さい。出来れば北海道出身者の方で,中心メンバーになって下さる人が入れば心強いことでしょう。
「東京遺産」についても,浦野さん辺りが中心になって,「東京遺産の世界遺産化を進める会」を立ち上げられてはどうかと思います。以前も首都東京にあるポテンシャル物件について議論しましたが,
島嶼部の小笠原から近代化遺産も含めた幅広い議論が必要だと思います。慶応義塾など国の重要文化財にも指定されている歴史の古い大学も幾つかありますので,面積規模にとらわれることなく,東京駅舎など単体でもすばらしいものがあるのかもしれません。
わが方も,富士山,摩周湖に続く第3弾として,近代化遺産,産業遺産系の新しいプロジェクトを発足させる予定です。来年は,東京に再々まいりますので,「東京遺産」のプロジェクトについては,協力を惜しみません。

33 名前:フェニックス 投稿日:2001/12/7(金) 14:59:40 HomePage
これは,自己宣伝になってしまいますが,関東圏にあるポテンシャル物件については,
先月,当方が出版した「誇れる郷土ガイドー関東編ー」を参照して下さい。書店には置いておりませんが,お近くの図書館や学校図書館に入っているかもしれません。
都道府県別に整理しているのですが,これを見られると東京都にも多様な自然環境や文化財があることがわかると思います。

34 名前:浦に〜と 投稿日:2001/12/9(日) 01:37:11
JR東日本の東京遺産は、1999年の夏にあった広告です。「銀座」や「上野公園」など都内で8箇所を取り上げ、新旧の写真をポスターとして張り出し、JR駅から下車して観光に行く、という宣伝でした。

新東京百景は、都民以外に東京を知らせる手段としては優れますが、内容はあまり面白くありません。ほとんどありきたりのもの、普通の名所ばかりが名を連ねています。「ねりま百景」とか「北区景観百選」みたいな方向性で、意外な物件を多く選定できなかったものかなー、と思いますね。ちなみに私も、自分なりに東京の百風景(遺産)を探してみようかな、と思ってます。

フェニックスさんの仰る通り、東京にも優れた建築物は多数あります。しかし一般的でないものも案外多く、写真で見たことはあるけど実物を見たことがない、というようなものも結構多いのではないでしょうか。皇居周辺でも、二重橋、将門塚、第一生命館、法務省のレンガ棟、日本水準原点標庫などはその代表例です。(ローカルネタ)。

もちろん東京にある建築物単体での世界遺産は無理ですが、東京をもっと知ろうというような動きが広まれば面白いですね。近頃の東京散策・下町ブームでは、隅田川や浅草などの旧来からの定番に加え、これまで地味な存在だった町も脚光を浴びていますので、これらは非常にいい傾向です。

35 名前:柳沢 投稿日:2001/12/14(金) 02:19:37
残念ながらわが母校のツタの絡んだレンガ校舎は登録文化財でないことが、HPの検索で判明しました。東京都の「歴史的建造物」だそうです。東京女子大や東大本郷キャンパスの校舎数棟、安田講堂は、登録文化財でした。ところで中央線沿線にも昔の煉瓦構造物が結構残っていなかったかと感じます。水道橋駅か飯田橋駅の近くとか・・・
浦に〜とさん、何か知ってたら教えてください。

36 名前:浦に〜と 投稿日:2001/12/15(土) 18:47:09
東京都選定歴史的建造物指定(都歴)で、ツタの絡まるレンガ校舎、先日も3棟が追加指定され、今は6棟が都歴になってますね。私も以前、キャンパス内を建築見学しましたが、庭園風のキャンパスに古建築が配されている様は素晴らしいものでした。

中央線沿線のレンガ構造物といえば、旧万世橋駅が思いつきます。神田−御茶ノ水間にあり、今は交通博物館に改築されていますが、神田川に面する部分など、かつての姿をよく留めています。そのほかガード下にも、レンガを使ったものがいくらか残っていると思います。