- 北海道の世界遺産についての考察
- 1 名前: 収斂
投稿日: 2001/3/12(月) 06:40:46
- では、北海道から世界遺産をもし自分が見つけるとしたらどういうものを選ぶかちょっと考えてみました。
参考までに聞き流してください。
まず北海道固有の文化・自然遺産を考えました。その結果「アイヌ文化」、「旧石器時代の遺跡」、「続縄文文化の遺跡・オホーツク海洋文化の遺跡」、「アンモナイトの化石発掘地」を考えました。
「アイヌ文化」
まず最近、縄文文化そのものが世界の考古学で注目されていることをご存知でしょうか。もともとアメリカ先住民族の骨にアイヌ人そっくりの骨が発見され、その広範な活動が注目されています。これは最近のDNA鑑定で判明してきた事実で、なんとアンデス地方までその移動が報告されています。もともとアンデス地方のアジア系民族は、太平洋を渡ってきたという仮説が有力でした。実際そういう民族も少しはいたことでしょう。しかし、アイヌ系の人々も間氷期にアラスカを渡って北米、南米に来ていたのです。そのことも視野に入れアイヌ文化の世界遺産運動をするのです。
ただ残念なのは、アイヌ文化を伝える建築や遺構がほとんどないことです。あまりに文化財が少ないと、いくら人類学的に貴重な部族でも、説得力に欠けます。アイヌ文化はもっと評価されていい文化と思います。ただ当時の家屋を復元するだけじゃだめでしょう。生活様式と自然が融合するような、複合遺産のような推薦をするといいのではないでしょうか。
「旧石器時代の遺跡」
最近、捏造事件で日本の旧石器時代研究は30年以上後退した感がありますので、はたしてここも本物かどうか判りませんが、一応参考までにいいますと、大雪山の東山麓の白滝村は二万年くらい前の黒曜石石器の工房とみられる遺跡です。ここでは尖頭石器が多く見つかっています。大雪山を推挙する時含めることは出来ると考えます。
「続縄文文化の遺跡・オホーツク海洋文化の遺跡」
たくさんあるので、ここでは摩周湖周辺の遺跡にのみ注目します。最近テレビでも度々登場するモヨロ貝塚や標津(しべつ)遺跡群はかなり重要な遺跡で、世界遺産にするなら目玉でしょう。でもこれらの遺跡も単体では世界遺産登録は無理でしょう。やはり自然遺産に含める形になるでしょう。
ちなみにモヨロ貝塚は8世紀から11世紀にかけてのオホーツク海洋文化最大の遺跡で、網走市にあります。ここで発見された獣骨の女性像(頭部は欠けてましたが)はそのうち国宝にでもなるんじゃないかというくらいの傑作と思います。
また標津遺跡群は150以上の遺跡の総称で、知床半島の南の付け根、標津郡標津町にあります。北海道の縄文文化、続縄文文化、3世紀からのオホーツク海洋文化、6世紀からの擦文(さつもん)文化、13世紀からのアイヌ文化がここで栄えました。
こういった遺跡はあまり知られていないだけで、実はすごく重要です。
「アンモナイトの化石発掘地」
これも知る人しか知らない事実でしょう。実は北海道や樺太で発見されるアンモナイトの化石には、異常巻きのものが多いのです。これは北海道の化石が世界に発信する重要な事実です。アンモナイトには正常巻きのネフィロセラス、異常巻きでも棒状のもの(バキュリテス)、クリップ状のもの(ポリプチコセラス)があります。北海道にはそういうアンモナイトの化石が多く出土します。
ただそういう化石発掘地は、ここが一番出る、といった場所が特定できません。はっきり言って、中生代の地層があっても、出るかどうかは半分“運“です。一応私の持っている資料で報告しますが、それ以外にもはるかに多くの産地があるはずで、ここと決められないのが実状でしょう。参考までにどうぞ。
苫前郡羽幌町羽幌川流域、宗谷郡猿払村上猿払セキタンベツ川、留萌郡小平町、中川郡中川町佐久安平志内川、天塩郡遠別町ウッツ川、空知郡南富良野町金山、勇払郡の占冠村金山峠・穂別町シサヌシベ川、稚内市の宗谷岬・東浦、浦河郡浦河町井寒台、厚岸郡の浜中町・厚岸町
以上のような地域などで見つかるみたいです。
- 2 名前: しげ
投稿日: 2001/3/13(火) 13:27:27
- 皆さん、摩周湖に対し色々なご意見を頂き感謝しております。
専門家の皆さんですので大変参考になり、そしてあらゆる角度からの研究、勉強になります。
前にも申し上げましたが、透明度に関する基準がはっきりしていない為現在世界一かどうか疑問
がのこりますが、2001年の日本理科年表で摩周湖より透明度があるところは御座いません。
皆さんが言うとうり、もっと広い範囲で考えるべきかもしれませんが、カルデラがどうの、湿原がどうの、
とかいう捕らえ方ができないと思います。
甘い考え方だと指摘されそうですが、もっと皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
- 3 名前: 浦に〜と
投稿日: 2001/3/13(火) 19:13:36
- 収斂さん>
北海道から文化遺産を推薦するとなると、私もアイヌ文化の遺跡を第一に挙げたいと思っていました。しかし調べてみると、決定的で大規模な遺構が無く、世界遺産としては困難だと思うようになりました。
オホーツク文化については私は知りません。遺構の数や規模など、全く分かりません。
海外で登録されている世界遺産として、例えばフィンランドの「サンマルラハデンマキの青銅器時代墳墓」や、タイの「バン・チェン考古遺跡」などと比べると、登録が妥当という程の物件なのでしょうか。
アンモナイト発掘地というのは面白い物件になりそうですね。でも、やはり決定力を欠くのではないでしょうか。アンモナイトは中生代の化石では最も重要で、時代特定に大いに役立ちます。世界中からも発見されているわけで、別に、異常巻が多いというのは顕著で普遍的重要性ではない気も受けますが、私は北海道のアンモナイトについて殆ど知らないので、重要度に関しては全く分かりません。
カナダの「グロス・モーン国立公園」が、グラポライトという古生代の化石の集積が著しいということを、TBS『世界遺産』でも大きく取上げられていたことが思い出されます。ただし、グロス・モーンの化石地帯が、あの国立公園の世界遺産登録に大きく貢献したのかは分かりません。
世界遺産として登録されている化石発掘地は極めて少なく、いずれも、その時代の化石発掘地としては世界で最も重要であるか、または産出量が豊富で保存状態の良いものが出ている場所に限られているようです。そういったことから決定的な発掘地がないというのは大きな欠点かもしれませんね。
参考データとして、オーストラリアはリヴァーズリとナラコートの2箇所の化石発掘地を世界遺産に登録していますよね。しかし実際は、マーゴンという化石発掘地も同時に登録推薦したのです。(これに関しては今月中にでも当方の“裏世界遺産
番外篇”というコーナーで紹介する予定です)。
マーゴンはオーストラリアで最古の、飛行能力の無い有胎盤類の化石が発見された場所です。それは、これまでの定説を5000万年もさかのぼる大発見だったそうです。しかし、何故か登録されていません。おそらくマーゴンの化石が重要とはいえ保存状態が悪い(断片的な化石しか発見されていない)ことと、今のところマーゴンだけでこういった発見があるだけで、顕著な重要性と断定する訳にもいかないからではないでしょうか。
それほど、化石発掘地の登録は難しいというわけです。
しげさん>
私は専門家でもなんでもないので、結構自分勝手なことを言ってます(^^;
今後も、摩周湖について思うことがありましたら、「摩周湖はどうでしょう?」スレッドにて書かせて頂きます。