７３１部隊。

７３１部隊。
1 名前： じょび。 投稿日： 2001/3/23(金) 03:10:43: 　以前、新聞で「中国が７３１部隊の実験施設について世界遺産登録を目指している」という記事を読みました。
　実際どこまで進んでいるかは知りませんが、複雑な気持ちです。
　第２次大戦の遺産として、アウシュビッツと原爆ドームが登録されていますが、二つとも大戦を象徴するものとして受け入れてきました。しかし、７３１部隊は、以前「７３１展」で日本軍のひどい様をみたのですが、歴史上どう扱われているのかよく分かりません。
　おそらく「無知」なだけなのでしょうが、アウシュビッツと並ぶ「狂気」だったのかもしれません。そういう意味では、遺産としての価値があるのかもしれませんが、しっくりこないのはやはり僕が日本人だからでしょうか？
　原爆ドームを遺産に登録する際、アメリカが強固に反対したそうですが、なんとなく分かる気もしました。
　みなさんはどうお考えですか？
2 名前：収斂投稿日： 2001/3/24(土) 06:16:28: 731部隊についての情報は、そのうちこの掲示板にも話題が出るだろうと思っていました。この掲示板では今までにこういった戦争の負の遺産についての議論は全くといっていいくらいしてきませんでした。ですから、こういった極めて難しい話題を提起していただき、じょびさんに感謝いたします。

私がこの731部隊の世界遺産登録の話題を初めて知ったのは、たしか1年くらい前の新聞記事です。そうとう大きく紙面を割いていました。しかしこの提案をしたのは、実は中国側からではなく、日本の市民団体です。たしか高知県の市議か県議かが発案したもので、それを受けて、現在中国がこの731部隊の使っていた建物を復元工事しているそうです。その新聞記事には、復元費用の寄付を募る案内先まで書いていました。しかし肝心の731部隊の建物は、現在全くといっていいくらい現存していないため、復元自体無意味に感じます。戦災で焼失した文化遺産ならともかく、わざわざ負の遺産を復元し、世界遺産にするのはちょっとどうかと思います。復元すれば、負の遺産の意味がないのではないでしょうか。そう感じますが・・・・・

この731部隊については、実態がよく分かっていないので、具体的にどういう行為が行われたかは想像に頼ることが多く、また証言内容の信憑性からみても、現在言われていることの全てが真実とは思えません。しかし少なくとも非人間的行為、即ち人体実験のようなことが行われた、もしくは行われていたのは事実のようです。

私は、こういった負の遺産の場合は、加害責任がある当事国も被害調査に参加し、徹底的に調査する必要があると思います。被害国が調査したデータがはたして正しいデータとは思えません。負の遺産を世界遺産にするには、客観的事実がどうしても必要です。それなのに戦争被害の調査には疑問を感じるものが多い。例えば中国やインドネシアでは、そういった調査すること自体が非常に難しい。ですから被害調査そのものに制約がつく戦争史跡は、多分世界遺産にはなれないでしょう。

この他にも、カンチャナブリの泰緬鉄道もしくはクワイ河鉄橋の世界遺産化の話や、南京などについても、世界遺産化の話を聞いたことがあります。ただ具体的なところまではまだ進んでいないみたいですが。
3 名前： 浦に〜と 投稿日： 2001/4/2(月) 11:10:06: 私は前まで731部隊の関連建築物は世界遺産に登録してもいいと思っていました。しかし建物が全く残っていないとは知りませんでした。全部が復元だと世界遺産には指定できないと思いますが・・・　建築物よりも場所に意義があるとするならいいのかも。

負の遺産は被害国に存在するからこそ、世界遺産への登録もみられるわけです。そして単に隷属や虐殺の現場としてでなく、未来へ向けての平和の象徴としても価値を見いだされています。アジアにある日本関連の戦跡は、未来にメッセージを贈っていると言うよりも、単に過去の事実を留め、日本側にその重大さを知らせようとしているだけに思えます。戦後から現在までの日本側の対応が悪いから先へ一歩踏み出せないのでしょう。日本と中国・大韓民国・東南アジア諸国との関係を見るとき、常に第二次世界大戦での責任が問題視され、いつまでたっても、このしこりが消えそうもありません。そんな状況では一方的に価値を決めてしまう恐れも出てきます。勿論私は、731部隊やその他の戦跡が極めて重要な文化遺産であり、21世紀も通じて世界に残していかなくてはならないものであると思っています。ただ、重要な文化遺産であるのと、世界遺産に登録するのとは若干意味が違うのです。

仮にアジア諸国から日本関連の戦跡が一つでも世界遺産に登録されたら、同様の戦跡が次々に指定されそうです。地中海世界からローマ遺跡が多数登録されているように、あの国のは登録されたんだから、この国のも登録しなくちゃいけない、という風になりそうです。（それが良いことなのか、避けるべきことなのかは分かりません）。