四国の文化財
1 名前: 収斂 投稿日: 2001/4/15(日) 23:22:36
キタキツネさんが指摘されているように、四国から世界遺産を見つけるのは、私も難しいと思います。
しかし、最近では八十八箇所霊場の世界遺産化はよく聞きます。
http://www.88henro.com/88/88henro.htm(Text)
http://www.kushima.com/henro/news/0006181.htm(Text)
以上なんかではそういう記事が書いています。きっとほかにもまだまだあるはずです。

四国は、面積の割に人口が少ないので、無思慮な開発がされなかったことから、特に古い街並みがわりとよく残っている感じがします。特に天守閣現存の12の城のうち、高知城、松山城、宇和島城、丸亀城など4つの城郭が残っています。また香川県の善通寺や金刀比羅宮(今までこれを私は字を間違えてました。すみませんでした。訂正します)などいい文化財があります。
しかし国宝級の文化財が少ない気がします。ですから四国の文化財から世界遺産を出すには、どうしても八十八箇所霊場がキーワードになってくると思います。

八十八箇所霊場は、調べてみると、戦国時代に長宗我部氏の天正の兵火で焼き討ちされたものが多く、寺院は大半が江戸時代の再建です。さらに最近失火で焼失したものも少なくなく、本堂などをコンクリート製で再建した寺が多いことに気付きます。ただ本尊と大師像は住民が守り抜いたものが多く、たとえ建造物は新しく寺院の規模も小さくても、安置されている仏像は古くからの名品ばかりというのが私の印象です。(滋賀県の湖北の観音信仰みたいに、仏像だけは破壊から免れ、本当によかったです。)
しかし世界遺産となれば難しいですね。最近、多宝塔や塔の再建が進み、それはとてもいいことだと思っていますが、明治時代以前の木造の塔は、20番鶴林寺、51番石手寺、70番本山寺、75番善通寺くらいしかありません(ほかにもいくつかありますが、木造かコンクリート製か不明です)。やはり残念ながらインパクトが少し弱いですね。

2 名前: 収斂 投稿日: 2001/4/15(日) 23:24:06
そこで、いつものように、もし私が四国八十八箇所霊場を推薦するなら、まずこういう戦略を練るので紹介します。

四国八十八箇所霊場はおそらく日本で最も親しまれている巡礼地だと思います。関西にいた頃は、西国三十三箇所巡礼や熊野古道の巡礼道なんて言葉はほとんど聞きませんでした。熊野古道なんかは世界遺産に推薦する話が出てから急に話題になった感じがあります。しかし四国八十八箇所霊場は世界遺産なんかと関係なく以前から人気があり、知名度では西国三十三箇所巡礼や熊野古道の巡礼道以上であることは間違いありません。

一方、紀伊半島の巡礼道(実質的に熊野古道)の暫定リストの登録は、やはりどう考えても無理があります。熊野と高野山と吉野では、それぞれはとても素晴らしいのですが、なんか無理に一緒にした感じで納得できません。(まあ、それだけに一括すれば世界遺産に推薦した時に落選する心配は少ないのでありますが。)

このうち、高野山と四国八十八箇所霊場の共通点を指摘したいです。もともと四国八十八箇所霊場は弘法大師空海の開いた巡礼地で、今でも大師信仰が根幹にあります。特に善通寺は、高野山、東寺と並ぶ真言宗の聖地です。つまり高野山も四国八十八箇所霊場も、全然別の物件ではなく、むしろ同じ聖人を信仰の対象としているのです。

そこで高野山と四国八十八箇所霊場を一つにまとめ、紀伊半島の巡礼道に高野山を含めないというのはどうでしょうか? そして巡礼地にの近くの歴史的文化財、例えば高知城、松山城、宇和島城、丸亀城、高松城のような城郭、栗林公園、各地域の伝建地区、さらには道後温泉本館までもバッファーゾーンに組み込み、巡礼地そのものを景観保存地域とみなし、県の壁を越えて統一的な広域風致地区にするのです。

紀伊半島の文化財に高野山が含まれなくても世界遺産の勝算は十分あります。そしてこれについては、以前ここのBBSで、えかわさんが指摘されましたように、粉河寺・根来寺・日前宮・紀三井寺・長保寺・道成寺などの錚々たる寺社も紀伊半島の文化財として含めて登録運動するのです。紀伊半島の文化財はむしろ自然も含めた複合遺産にしてもいいくらいの物件です。高野山を四国八十八箇所霊場に含めても、紀伊半島の文化財の世界遺産的価値が減るようなことはありません。和歌山県の前向きな対応が望まれます。(私が大阪にいる頃から和歌山県や和歌山市については、むしろ黒い裏社会とのつながりの噂ばかりで、いい県政、市政の噂をあまり聞きませんでした。頑張って欲しいものです。)

一方、高野山と四国八十八箇所霊場を一つにまとめると、文化財の数は飛躍的に増加し、世界遺産への説得力は強まります。また、四国と高野山の間にある鳴門海峡も世界遺産を目指してますが、それも間接的に含めるのです。
鳴門海峡は周辺の開発が進み、単体では世界遺産はまず無理でしょう。しかし高野山と四国八十八箇所霊場の一つに組み込むことは出来ると思います。このように、歴史的遺産を多く有する自治体だけが世界遺産を持つのではなく、なるべく全国に均等に散らばせる方が、外国の観光客誘致や、景観重視の都市設計、歴史教育、郷土愛の助成に役立つはずです。巡礼地を伝建地区のようにするのです。

私は別に、強引に世界遺産を全国に散らばらせろとは言っていません。ただ四国八十八箇所霊場には、「おせったい」というお遍路さんをもてなす素晴らしい文化が今でも残っています。決してそれは観光目的ではありません。そういうことを考えると、すぐでなくていいから、いつか四国八十八箇所霊場は世界遺産になって欲しいと思います。それと同時に、四国八十八箇所霊場の巡礼地の整備、伽藍の再建、なるべく人工的なものを寺域に置かない、門前町の統一的な景観整備など、今以上に魅力的な整備をする必要もあります。

世界遺産を機に、街並み保存の気運が全国で起こって欲しいものです。

3 名前: 浦に〜と 投稿日: 2001/4/18(水) 17:37:19
四国遍路道については、海外にある似た登録物件「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の場合も、あまり古いものが残っていないらしいので、登録可能かと思ってました。でも、それほど状態が良くないとなると、難しいかもしれませんね。具体的に言うと、基準(6)以外にどれを該当させれば良いのでしょうか。

しかし、四国遍路道の登録が難しいと感じる最大の理由は、「紀伊山地の霊場と参詣道」に似ているという点です。紀伊山地が登録されてしまうと、同一地域内の類似物件ということで登録は困難になりそうです。

また熊野古道と比較してメジャーだというのも、つい最近のことではないでしょうか。歴史的に見れば、熊野古道の方がずっと重要視されていたと思いますが・・・