- バルセロナの世界遺産
- 1 名前: よっちゃん
投稿日: 2001/5/11(金) 18:27:34
- 先日、GWを利用してスペイン・バルセロナに行ってきました。
世界遺産としては、
「バルセロナのグエル公園、グエル邸とカサ・ミラ」
「バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウの病院」
「タラゴナの遺跡群」を見てきました。
「タラゴナ(タラコ)の遺跡群」は昨年12月まで、
こちらのサイトの裏世界遺産リストに載っていたものですね〜
当サイトにてデジカメ画像で紹介していますが、
もしご希望でしたら、こちらのサイト用に画像の提供もいたしますよ!
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/9448/earth/spain/spain.html(Text)
ところで今回は、世界遺産指定の建造物の他にも、
いろいろと有名なものも見てきました。
バルセロナといえば、サグラダ・ファミリア贖罪聖堂(聖家族教会)が有名ですが、
一緒に行った友人に、アントニオ・ガウディによる建築物のうち、
いくつかは世界遺産指定されているのに、
なぜ一番有名なサグラダ・ファミリアは世界遺産ではないのか?と質問されました。
単純に世界遺産か?世界遺産でないか?ということならば、
こちらのサイトでも紹介されています通り、
世界遺産委員会による登録までの過程を調べればわかるので、
その見解からすると「推薦されていないから」になるのでしょうか?
では、なぜ推薦されないのか?ということになりますが、
スペイン政府やバルセロナ市の方で、世界遺産化は考えていないのでしょうか?
もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください!
4月26日に発売された講談社の「週刊ユネスコ世界遺産」では、
ちょうどバルセロナを紹介しており、上の問いの答えらしきものが載っていました。
「サグラダ・ファミリアは、現在建築中だから」と。
でも、これを読む限り、建築中の物件は世界遺産になれないと言ってる
ような気がしますが、本当にそんな規約でもあるんでしょうか?
まあ私自身、世界遺産委員会は格付け機関ではないと思っていますので、
世界遺産だろうとなかろうと、サグラダ・ファミリアは素晴らしい!!
ということを実感して帰ってきました。
世界遺産登録される価値を巡る問題としては、サグラダ・ファミリアは
おもしろい存在だと思います。
- 2 名前: 収斂
投稿日: 2001/5/11(金) 23:19:56
- よっちゃんさん>
お久しぶりですね。バルセロナですか。いいですね。私もこの街はいつか訪れてみたい場所であります。
サグラダ・ファミリアの話で、私が分かる範囲でお答えいたします。私は講談社の「週刊ユネスコ世界遺産」は読んでいないので、だぶった説明になるかもしれませんし、うろ覚えもあると思いますので、軽く聞き流してください。
サグラダ・ファミリアは建設中です。それも、まだまだ途中。あまりに完成状態からほど遠い。おそらくバルセロナにはガウディの博物館があったはずですが、そこでサグラダ・ファミリア完成予想図をご覧になると現在の状況が判るでしょう。まだまだ全体の20〜30%くらいです(これは自信なし)。完成すると170メートルの中央塔を含み18本の塔が立つ予定ですが、過去50年間で完成した部分から推算して、完成まであと200年くらいかかると言われてます。しかし私はまだ300年以上かかると見ています。サグラダ・ファミリアはあまりに未完状態です。そのために、世界遺産に登録されなかったのでしょう。
なぜこうも工事が遅々として進まないかという話は、多分バルセロナの観光ガイドブックにも掲載されていたのではないかと思いますが、一応私が知っている範囲で補足しますと、このサグラダ・ファミリアの詳細な設計図が戦争で焼失したためだそうです。たしか空襲と聞いています。スペイン内乱ではないでしょうか。ガウディは設計図のほかにも高さ2〜3メートルくらいにもなる精密な模型も作りました。その模型もその時大半が破壊されてしまいました。しかしその模型の一部は残っており、またその模型の写真は現存しております。現在の建築は、確実に判っているこういう箇所を優先して建設しております。
ですから、建設にあたっては、まず、その写真解析から寸法を割り出し、その寸法で強度を確認してから、建設着手となります。外装はこれでもなんとかいけます。しかしここで大変なのは内装なのです。実は大きなホールが建設される予定なのですが、その柱が普通のアーチ構造ではない。聖堂内部のホールを森の中に見立てているため、柱が植物の幹の装飾になる予定ですが、それが見かけ上トラス構造のような、危なっかしい骨組みになるのです。柱の先端から複数の柱がほぼ直線的に枝分かれするのです。その幹(柱)の太さが分からない。幹と枝の中心と重心がずれると、その偏差が破壊の原因になります。だから聖堂はまだ設計段階であり、建設は着手されてないはずです。(私も最近の話は知りませんのですみません)
まとめますと、サグラダ・ファミリアはまだまだです。しかしあれが完成すると世界遺産間違いなしですが。
- 5 名前: じょび
投稿日: 2001/5/12(土) 01:49:20
- 単純に世界遺産は「保存」に視点があるから、建設中のまま「保存」するのはまずいから、ではないのですか?
ついでですが、浦に〜とさんや収斂さんにも聞きたいことがあります。
僕が思うに、スペインの世界遺産は多すぎる気がします。イタリアと登録数を競ってるのでは、とうがった見方もしてますが、イタリアに比べたら、文化的多様性ではかなわないのでは、とも思います(素人意見)。
スペイン政府は、世界遺産にやはり熱心なのでしょうか? 詳しく知りませんが、カナリア諸島に2つもあったり、イビザ、ラス・メドゥラス、バレンシアのサイトとか、それだけの価値があるのでしょうか?
- 6 名前: 浦に〜と
投稿日: 2001/5/12(土) 12:54:36
- よっちゃんさん>
お久しぶりです。
世界遺産として建設中のものは登録できない
という規定は多分無いと思います。(少なくとも、ガイドラインの登録要綱のところに、そういった記述がありませんので)。そして建設中であることが、もしかしたら真正性につながってくるかもしれません。また建設途中である(現在進行形である)というのに、何かの顕著な例証や出来事の証左となり得ることは出来ないとも考えられます。
未完のまま放ったらかしにされていた建築物や遺跡とは違い、現在作っている物ですからね。
また、タラゴナの画像提供ありがとうございます! 近日中に更新する予定なので、貴HP上で掲載されている物を借用してもよろしいのでしょうか。
- 7 名前: よっちゃん
投稿日: 2001/5/14(月) 00:32:55
- 収斂さん>
解説どうもありがとうございます。
サグラダ・ファミリアは、まだまだ完成にはほど遠いということは、
実際に現地に行ってみてよ〜くわかりました!
完成予想模型をお土産として買ってきて、毎日眺めてます。
確かにこの分なら、あと200〜300年かかるというのも納得です。
あんまり、こんな情報を載せるサイトも珍しいかな?と思って
当サイトに、その模型の写真もアップしてみました!
じょびさん>
スペインの世界遺産は確かに多すぎのような気がしますね〜
今回私が行った、
「バルセロナのグエル公園、グエル邸とカサ・ミラ」と、
「バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウの病院」は、
同じ遺産としてまとめてもいいんじゃないか?と思いました。
遺産名そのままに、3つと2つの物件が登録対象ですが、
登録基準も(文化遺産1.2.4.)、全ての物件が建てられた年代も一致しています。
違いと言えば、それらを建てた建築家ということです。
前者はアントニオ・ガウディ、後者はドメネク・イ・モンタネールの作です。
イタリア・ルネサンスに匹敵する、スペインのモデルニスモ(芸術復興運動:
19世紀末〜20世紀初頭)期に活躍した2人なので、
歴史的、地理的に見ても1つの世界遺産で通用すると思うのですが...。
将来、サグラダ・ファミリアが世界遺産登録されるようなことになれば、
どうなるんでしょう?ガウディ作の建築物として、前者に追加登録かな?
浦に〜とさん>
当サイトのタラゴナの写真は、どうぞお使いください〜
別サイズや、他の写真もありますよ...
ところで、こちらの裏世界遺産マップを改めて見てみたら、
バルセロナ近郊にたくさんありましたね....
もっと、いろいろ行ってくればよかったな〜
- 8 名前: じょび
投稿日: 2001/5/14(月) 01:45:21
- バルセロナの遺産を一緒にしてもいい、ですよねえ。で、ソウルの2つのサイトも一緒にしていいですよ。京都は15箇所で一つのサイトなんだから、って話題がそれてしまいましたか。
パリやローマもあんなに一つにまとめてしまって。
- 9 名前: 収斂
投稿日: 2001/5/14(月) 02:55:18
- じょびさん>
李朝の宮殿と、霊廟といっても、ソウルの世界遺産はあまりに近いし、二つとも同じ李朝文化の遺産として一まとまりに出来ると思います。実は私は昔から韓国の文化財にも関心があるのですが、ソウルにはそれほど有名な仏教寺院がないように思えます。いい寺院は人里離れた山中に多いのです。ソウルは歴史の古い街ですが、今のソウルはどうも殺風景な感じが否めません。
それと今、ソウルでは景福宮の復元工事が国策として行われており、韓国の人間国宝級の建築家・工芸家が参加しています。これも復元されたら世界遺産登録をするのではないかと予想していますが、既に昌徳宮が登録されているので、その時はどうするのでしょうかねぇ?
- 10 名前: 浦に〜と
投稿日: 2001/5/18(金) 11:05:28
- よっちゃんさん>
早速タラゴナの画像を使用させて頂いております。
ありがとうございました。
じょびさん>
世界遺産の保有数の多さや偏り、そして「なんでコレが登録されているの?」というような疑問は、世界遺産について見れば誰もが感じることだと思います。そういうことについても話し合っていけば、世界遺産の姿がより見えてくると思いますが、場合によっては国や文化財・自然を軽視することにつながりかねないので、あまり大きな声で言うことも難しいと思います。
ですから、文化財が優れているとか保存に値するとか、そういったことではなくて、世界遺産条約の趣旨にあう登録か否かということで見ていきたいと思います。
スペインやイタリアに世界遺産があまりにも多いことに関して、政府が世界遺産登録に熱心なのかどうかというのは非常に興味があることですが、どうにも調べようがありません。ただスペインは、「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」「サンティアゴ・デ・コンポステーラ(旧市街)」「ブルゴス大聖堂」をわざわざ別件登録しているので、数にこだわっているのかな、とも思えます。
この巡礼路に関しては、将来フランス側とまとめて一件とするように言われています。カナリア諸島の「ガラホナイ国立公園」も、植生が共通しているポルトガルの「マデイラ島の月桂樹林」と一緒にするよう、委員会から言われています。
また「サン・クリストバル・デ・ラ・ラグナ」や「イビサ(文化面)」なども、登録理由にはそれらしい事が書いてあります。
「ラス・メドゥラス」もそうなんですが、この遺産は登録に当たって反対意見も出ていました。なぜかというと、ラス・メドゥラスは環境破壊の賜物であるからだそうです。私はこの遺産がどういったものなのか殆ど知らないので、これに関する詳しいことは何も分かりません。
イタリアもルネサンスの都市を多数登録してますし、古代ローマ時代の遺跡も多いです。ああいったものはそれぞれ見比べると興味深く、本当に良く保存されています。でも、次々に世界遺産にするのは世界遺産の趣旨とは違うような気もしますね。
この話題がもっと発展するようでしたら、別にスレッドを設けた方がいいかもしれません。
- 11 名前: じょび
投稿日: 2001/5/18(金) 20:12:22
- 浦に〜とさん。
自分はあまり知識がなく、疑問に思う専門ですが、そんなスレッドがあれば、また質問したいですね。
サンティアゴ・デ・コンポステーラやラス・メドゥラスなどの件、勉強になりました。
ローマ遺跡も、各国が「自国の最も保存状態のいい遺跡」を登録しているような気がします。
- 12 名前: じょび
投稿日: 2001/5/24(木) 04:15:29
- 「バルセロナ」から、話はちょっと横道にそれてしまいましたが、昨年、シャンボール城が、まわりの「ロワール渓谷」の遺産にふくまれたように、委員会の方で、遺産を整理しよう、なんて動きがあるのでしょうか?
サンディエゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路は、その候補ですよね。
なら、ロンドンやソウル、北京などの遺産も結合されるのかなあ?
リスボンの「ジェロニモス修道院とベレンの塔」やメキシコの「シティ歴史地区とソチミルコ」なんかは、近いから1つにしたように見えますが。
- 13 名前: 浦に〜と
投稿日: 2001/5/28(月) 16:46:05
- 遺産を整理しようという動きは特に無いと思います。「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」が登録された時に、「アミアン大聖堂」ほか既登録の6遺産を吸収しませんでしたから。
ソウルの場合は私も、なぜ同一登録されていないのか不思議に思っています。遺産同士近すぎますし、同じ時代のものですから、一括登録すべきだと思います。
北京の場合も、「頤和園」「明・清朝の皇宮」「天壇」は一緒にしたほうが良いのではないか、と思っていました。するとある方から、その三つを一括登録するなら、同じ北京市にある「万里の長城」や、もっと言えば「承徳の避暑山荘と外八廟」も統一できるかも知れない、と言われました(^^;;;。確かにそうかも知れません。別件登録におかしいと思う部分があっても、一応、今のままが良いのかもしれませんね。
リスボンの遺産は、ポルトガルは最初ジェロニモス修道院だけで推薦し、世界遺産の会合にて、ベレンの塔も追加するように言われました。
なお、オーストラリアの「マッコーリー島」とニュージーランドの「亜南極諸島」、インドの「スンダルバンス国立公園」とバングラデシュの「シュンダバンズ」では、それぞれ同一登録を求められているようです。これらについては、整理しようというのではなく、類似物件は一括登録したほうが管理しやすいのだと思います。
- 14 名前: じょび
投稿日: 2001/5/30(水) 01:39:09
- 以前、浦に〜とさんが「ローマ遺跡のサイトが多い」と書いていましたが、「大聖堂」というのも多いですよね。
キリスト教に比べ、仏教やイスラム教の遺跡が単体で登録されていないのが残念です。
- 15 名前: 欧州男(おすお)
投稿日: 2001/7/5(木) 00:18:40
- 突然じょびさんところから飛んできました。決して怪しいものではありません。(笑)
キリスト教に比べてイスラム教や仏教遺跡が単体で登録されない云々ということですが、多分にこれは構造上の問題もあるかと思います。
なんせイスラム教の場合は旧市街(メディナ)の存在が(特にアラブ諸国では)どうしても関わってきますし。
キリスト教の場合は「大聖堂」という核を中心とした町造りなのでは?なんて解釈をしてますが。
- 16 名前: じょび
投稿日: 2001/7/5(木) 03:54:50
- なるほど。でも、日本でも長野のような門前町もありますよ。とはいえ、町の広がりかたが違うのかな?
どなたか詳しい方、いません?
上記のような指摘を受けると、3大宗教と言いながら、キリスト教、イスラム教のほうが「町」の発展には寄与したのかな?
イスラム都市やキリスト教都市に比べ、「仏教都市」という世界遺産も少ないですね。