- 九州旅行の感想と、長崎の被爆遺構について
- 1 名前: 浦に〜と
投稿日: 2001/6/13(水) 22:09:15
- 先日九州に行って来ました。色々見てきましたので、世界遺産の登録運動や感想を書きます。
- 2 名前: 浦に〜と
投稿日: 2001/6/13(水) 22:14:50
- 【国東半島の磨崖仏・石仏群】
今も世界遺産の登録運動を行なっているのか分かりませんでした。
国東半島の磨崖仏としては元宮だけ見てきました。元宮磨崖仏は熊野磨崖仏に次いで、国東半島の磨崖仏の二番手くらいだと思いますが、あまりにもあっさりとしすぎていると感じました。本当に小さなものです。熊野の方は見ていないので何とも言えませんけど、国東半島の文化的な特異性を強調しても世界遺産登録は難しいのではないでしょうか。
以前、一年近く前に収斂さんがこのBBSに投書した通り、大野川流域と臼杵の石仏・磨崖仏を合わせても、あまりにも小規模だと思います。日本の中では特異な半島であっても、世界的な尺度で捉えた場合には無理だと思います。
【熊本と大分の石橋】
これらは有名な橋を巡ったわけでもなく、車窓からいくつかの橋を眺めただけです。聞いたところによると、通潤橋は最近観光客が増加しているそうです。肥後の石工は技術的に優れているそうですが、私にはどのように優れていて、日本全体や世界の石橋と比較した場合にどう見られるのか全く分かりません。
ですからあまり安易に言えないのですが、国東半島の磨崖仏や石仏よりも世界遺産の可能性はやや高いのではないかと思いました。通潤橋も世界遺産化をアピールしているようですし。収斂さん、どうでしょうか?
【大浦天主堂】
長崎の教会の世界遺産化運動にあたって、その核になると思われる国宝の教会ですね。ここは思っていたよりも小さいものでした。また修復中のため外観を見ることは出来ませんでした。
内部は本当にすばらしく、木造であることが好感を抱きました。世界遺産に登録できるかはちょっと分かりませんでしたが、建築的な部分だけでは、確かに難しいと感じました。ただ一棟の教会を見ただけなので、長崎県内の数件をまとめた場合にどうなるかは分かりません。しかし収斂さんの仰る通り、歴史的な意義を強調する必要は絶対にありますね。
長崎県では五島列島に多くの教会があるそうで、そういったものも是非訪れてみたいです。
【被爆マリア像】
浦上天主堂で話を聞いたら、世界遺産登録の署名運動が進行中だそうです。
でもこれは不動産では無いので登録は出来ませんね。
(続く)
- 3 名前: 浦に〜と
投稿日: 2001/6/13(水) 22:18:33
- 【長崎の被爆遺構】
被爆マリア像に関連して、長崎市内の被爆遺構をいくつかみてきました。やはり片足鳥居が特に印象的でした。この遺構は原爆ドームほど知られていませんが、原爆の威力を強く訴えかける姿をしており、もっと知られて良いものだと思いました。
そして「広島平和記念碑(原爆ドーム)」への追加という形でも、世界遺産登録するべき物だと思いました。考えてみれば、広島だけが“人類の作り出した最も強力な破壊兵器の脅威を示すと同時に、世界の恒久平和を願うモニュメントである”として世界遺産に登録されているのもおかしいです。長崎も絶対に忘れてはいけない存在です。
今回長崎に行って、思った以上に当時のものが残っていて驚きました。被爆マリア像の登録運動が拡大されれば、市内に点在する被爆遺構をまとめて世界遺産にしよう、という動きに発展するかもしれません。また広島にも、原爆ドーム以外の遺構を追加しようといった動きが広がるかもしれません。
長崎の被爆遺構の世界遺産登録について考えるうち、片足鳥居、大浦天主堂被爆遺構、旧長崎刑務所浦上刑務支所遺構(平和公園内)などを登録したら、20世紀の戦争の遺構の世界遺産登録に拍車がかかるかもしれない、と思うようになりました。あれらは原爆の遺構として重要ではあるけれども、原爆ドームに比べれば殆ど何も残っていないに等しいか、あるいはあまりにも小さすぎる物件です。それらをまとめて世界遺産にしたら、諸国からの戦跡の登録が一気に増えるのではないか、とも思いました。
私は戦跡の世界遺産化を否定しているわけではありません。殆ど遺構の残っていない物や、当時の物が全く残っておらずに碑だけとか、完全復元したものの登録が増えてしまうのではないか、という点を危惧しているのです。その上戦跡は世界遺産としての普遍的価値の見定めが難しいものです。
だから、最もよく残された原爆ドームだけを登録しておいた方が、世界遺産としてみた場合には良いのかもしれない、とも思えてきました。
【東山手重要伝統的建造物群保存地区】
ここは私の伝建地区としてのイメージとはまるで違う町並みでした。古い洋館と石畳道、石塀、レンガ塀などが残存するというものであり、ほんの少しの道のわずかな区間が美観を保っていました。
【南山手重要伝統的建造物群保存地区】
こちらは伝建地区の指定面積の3分の1がグラバー園になっているのですね。大浦天主堂やグラバー園へと続く道には、土産物屋がずらりと並んでいました。それぞれ洋風の趣向を凝らした建物でした。しかしあまりにもアピールのし過ぎというか、派手な建物ばかりが並んでいて、かえって見苦しいものでした。
伝建地区に指定されているグラバー園の南側は、東山手と同様、古い建物がずらりと並んで整った町並みというものでもなかったです。あまり良い印象は抱きませんでした。それよりもグラバー園の高台から見た港の風景が印象強く残りました。
【その他の長崎市】
東山手・南山手はテレビや本で何度も見てきたもので、しかも景観の整った部分が狭く、あまり感動しませんでした。それよりも山の上の住宅地(稲佐山の山腹)が面白かったです。私は東京の下町に暮らしているので、坂のある町に対する憧憬が非常に強いのです。それで、くねくね曲がる坂道や民家の間を縫う、人一人がやっと通れるくらいの狭い石段の数々に圧倒されました。
出島は建物の復元が完了したのでしょうか。あとは周囲に堀を作れば完成ですね(^^;;
(本当に出島の完全復元は実現するのでしょうか?)
以上、主観的な感想で失礼致しました。
- 4 名前: 収斂
投稿日: 2001/6/17(日) 22:00:39
- <長崎の文化財について>
浦に〜とさん>
返事が遅れてすいません。今週金曜日にゼミがあったもので、大変だったのです(散々にやられました)。しかもそのゼミで私のプログラムにバグと思われる異常が見つかり、もしそうなら今までやった200個近い計算の内2/3くらいが駄目になってしまいそうで、顔面蒼白だったのですが、どうやら最近やった20個くらいが被害を受けただけで済みそうで、ひとまずホッとしている状態です。いつかはこういうこともあるのではないかと思っていたのですが。でも4台のワークステーションで1ヶ月くらいの損失です。
というわけで、詳しいことは、今手元に資料がないので、あらためて私の意見を書きます。ちょっと待っていてください。
長崎っていいですよね。でもまだ美観が悪い気もします。出島の復元はまだまだかかりそうです。完全に陸地から切り離すそうですから。世界遺産としては、私は何も原爆にこだわらなくていいと考えています。ほかにも長崎にはいい文化財がありますから。キリスト教会だけでなく、華僑の人が造った寺院やなんかや、キリシタン対策で江戸幕府が建設した寺社仏閣もそうです。総合的に見て長崎はいいですね。