- ガボン共和国のオクロ鉱山について
- 1 名前: 収斂
投稿日: 2001/6/17(日) 22:16:23
- 先日、オーストラリアに行った時、核燃料サイクル機構(旧動燃)のY先生と親しくなりました。その先生は、以前、「もんじゅ」がナトリウム漏れ事故を起こした後、その原因となった温度計破壊のメカニズムについて、流力振動現象を数値解析的に解明した先生で、まだ若い先生です。(これについては日本原子力学会誌Vol.
39, No.10, pp842 ~ 853, 1997 を参照してください)
その先生がおもしろい話を聞かせてくれました。皆様はガボン共和国にあるオクロ鉱山をご存知でしょうか。実はここは最近になって、かって天然の核融合炉があった場所ではないか、と考えられている場所です。そのことについて報告します。
天然ウランは地球上どこでも同位体元素の割合は一定で、自発核分裂するウラン235は、ほぼ0.72%で、ほとんどが燃えにくいウラン238です。原子力発電所ではこのウラン235を3%くらいまで高濃度に濃縮して使用しています。ちなみに核兵器ではウラン235は90%以上ですが。
ところがガボン共和国のオクロ鉱山のウランは、ウラン235の含有率が極めて低かったのです。しかもランタン、セリウム、ネオジムなどの希土類、モリブデン、ヨウ素などの物質も大量に確認されました。これらはウランの核分裂が起こった後に生成できる物質です。
ウラン235の半減期は7億年、ウラン238は45億年です。つまり地球誕生のころはウラン235が大量に存在していたが、場所によっては自然に核分裂が進行し、現在のように少なくなってしまったのではないか、というのです。この仮説は1956年にアーカンソー大学の日系物理学者P
クロダ博士が唱えた仮説で、当時はほとんど信じられなかった説でしたが、このオクロ鉱山の発見で、どうやらこの説は事実であると証明されました。つまり今から17億年前に、オクロ鉱山一帯には大量のウラン鉱脈があり、その周りに減速材となる水がありました。ウランやプルトニウムは一個所に一定量以上集めると内部で中性子が飛び出し、核分裂が始まります。核分裂は数百万年も続きました。実に興味深い発見です。
このオクロ鉱山の意義はまだあまり知られていないのですが、私は世界遺産になるだけの価値はあると思います。よってこの掲示板に書き込みました。
なお、この詳報は、原子力文化という雑誌の平成13年6月号にあります。よかったらどうぞ。
- 2 名前: 収斂
投稿日: 2001/6/17(日) 22:44:29
- 字が違ってました。すいません「減速材」じゃなく「減速剤」です。慌ててました。
いつもいつも誤字が多くてすいません。
ついでに補足します。地球誕生当時、ウラン235の含有率は20%以上でした。これは現在、高速増殖炉で使われる濃縮率とほぼ同じです。
- 3 名前: キタキツネ
投稿日: 2001/6/18(月) 01:08:15
- 大変怖い話ですね。オクロ鉱山は,確かフランスの原子力開発公社へ原料供給を行っていた鉱山だと理解しています。ガボンの旧宗主国はフランスですが鉱山の開発指導もフランス人が行っていたのだと思いますが,野放しの核分裂が行われていたというこでしょうか?原住民の人達の核汚染が心配されますが無知,或は,気付かなかったということなのでしょうね。ガボンは1986年に世界遺産条約を批准している様ですが,まだ,暫定リストも出ていない様な状況だと聞いています。オクロ鉱山の意義は,産業遺産としての視点なのでしょうか,或は,負の遺産的な歴史の経緯もあるのでしょうか?
- 4 名前: 収斂
投稿日: 2001/6/21(木) 02:38:26
- オクロ鉱山について
私はその後この地域の被害をちょっとだけですが調べましたが、別に問題・異常はないみたいです。そもそも17億年前ですから。
私はこれは自然遺産基準の1.のみが該当すると思います。