- LYON歴史地区:質問
- 1 名前:KI
投稿日:2001/9/28(金) 04:29:38
- こんにちわ。
リヨン歴史地区のNominationについて学校に出すレポートを
書くためにしらべてます。
このサイトとっても参考になりました。
今日Unescoに行って、
リヨン市が1997年にUnescoに提出したファイルと、
それに対するIcomosのEvaluationを見たところ。
指定された地域の周りにぐるっと緩衝地帯をつけなさいという指導を
ICOMOSがしていて、結局当初予定されていなかった緩衝地帯が
周囲に設定されることになりました。
質問1.
「緩衝地帯の重要性が高まってきている…」というようなことが
イコモス国内委員会の会報に書いてあったのですが、
こうしたPoliticの変化はいつ頃から出てきたんでしょうか。
2.
フランスでは、文化財指定された物件の周囲半径500メートル
の範囲まで緩衝地帯として改築不可となります。
日本でもこんな保護がされているんでしょうか?
3.
緩衝地帯というのは、いつも設定されるものなんですか?
よろしくお願いします…
ではでは
- 2 名前:浦に〜と
投稿日:2001/10/1(月) 11:56:52
- KIさん>
はじめまして。KIさんが行かれたユネスコは、パリにある本部ですか?
ユネスコ本部は日本ユネスコ協会連盟と違って、ちゃんと質問すれば答えてくれます。ですから、評価書を読んで気になったことがある、と言えば疑問は解消すると思います。直接赴かなくても、例えばE-mailや手紙でも、ちゃんと応答してくれるでしょう。
というわけで、KIさんのご質問はあまりに専門的で難しいのですが、私に分かる範囲で答えさせて頂きます。
質問1
これは私には分かりません。数年毎に改訂される「条約履行のガイドライン」を丹念に読み比べていくか、あるいは直接ユネスコに質問した方が早いと思います。
質問2
現状を見る限り、日本ではそういった賢明な策は取られていないでしょうね。改築はおろか、特別名勝・特別史跡のすぐ隣で超高層ビルを建てるような国ですから。文化財保護法を見ても、周辺保護に関する記述は見当たりませんでした。
詳しいことは、文化庁に問い合わせた方が良いでしょう。
質問3
現在のところ、緩衝地帯は全ての遺産(自然遺産・文化遺産を問わない)で設定されているようです。しかし条約履行のガイドライン第17項の記述内容によると、「保護に必要である場合には緩衝地帯を設定する必要がある」というような言い回しでして、設定を義務付けているのか分かりにくいのです。(以下、原文)
Whenever necessary for the proper conservation of a
cultural or natural property nominated, an adequate
"buffer zone" around a property should be
provided and should be afforded the necessary protection.
A buffer zone can be defined as an area surrounding the
property which has restrictions placed on its use to give
an added layer of protection; the area constituting the
buffer zone should be determined in each case through
technical studies. Details on the size, characteristics
and authorized uses of a buffer zone, as well as a map
indicating its precise boundaries, should be provided in
the nomination file relating to the property in question.
また、「リヨン歴史地区」の登録に当たっては、フィンランドからクレームがついていました。フィンランドの見解として、「重要な建築遺産を保持しているのは間違いないが、組織的に一貫性のある都市構造を欠く」とし、顕著で普遍的重要性を有していることに疑問を投げかけていたのです。結局リヨンは世界遺産に登録されたのですが、顕著で普遍的な重要性と一言で言っても、いろいろな見方が出来、登録の吟味も難しいことが伺えます。
- 3 名前:KI
投稿日:2001/10/4(木) 04:27:38
- 浦に〜とさん、
お返事どうもありがとうございます。
フィンランドからクレームがあったんですか!
しかも「一貫性のある都市構造」ってリヨン歴史地区の目玉として
書いてあった条件だし。
フィンランドとか、他の国の反応の情報って、
どこを調べたらわかるんですか?
もうレポートは(期限が数日しかなかった)出してしまいましたが、
興味があります。
緩衝地帯は、どうやら90年代くらいから問題になってきているみたいです。
たとえば、ネパールのカトマンドゥーで保護地域周辺に違法建築が乱立して
大変困ったとか、
ドイツのポツダム・ベルリンの宮殿と公園において、眺望を
いちぢるしく乱すような都市計画がされたりとか(結局白紙に戻されたが)。
実は現在パリのユネスコ本部付近に住んでいるので、直接行って調べました。
職員みんなが3ヶ国語くらい達者にしゃべるので、ちょっと感動。
- 4 名前:浦に〜と
投稿日:2001/10/7(日) 17:27:49
- ユネスコ・世界遺産センターのウェブサイトの中に、これまでの会議記録をまとめたコーナーがあります。そこに、毎年の世界遺産委員会やビューロー会議の審議内容が細かく記載されていて、遺産によっては他国の代表者の意見も載っています。
「カトマンズ盆地」と「ポツダムとベルリンの公園群や宮殿群」は、共に景観の悪さから、危機にさらされている世界遺産リストへの記載も論じられた物件ですね。でも、ポツダムの新建築が白紙に戻されて良かったです。カトマンズの方はどうなったのか分かりませんが、あそこは景観だけでなくて建物の老朽化もあるようで、何とか保存してもらいたいものです。
- 5 名前:浦に〜と
投稿日:2001/10/8(月) 13:46:38
- ↑の2番目の書き込みで、緩衝地帯は全遺産で設定されているようだと書きましたが、これは未確認情報であり、誤っているかもしれません。どうもすみません。