- Memory of
the world
- 1 名前:ぽぽ
投稿日:2001/12/14(金) 02:39:28
- タイトルのようなものをご存知でしょうか。これもユネスコの遺産
の一つで、世界的・歴史的に重要な記録及び文書の登録らしいです。
知名度が低いようでイギリス・フランス・日本の登録は一つもあり
ません。
http://www.unesco.org/webworld/mdm/register/index.html
例えばドイツでは、ベ−ト−ベンの第九の楽譜とか、グ−テンベルク
聖書、トルコのヒッタイト語の楔文字粘土版、オ−ストリアのウィ−ン
会議録など興味深いものがたくさんあります。
隣の韓国もいくつか登録があります。日本だったらどれを登録するん
でしょうか。
- 3 名前:柳沢
投稿日:2001/12/15(土) 02:34:47
- 隣に市史を編纂する部署があり、現在昭和30年代の行政文書や記録などが著しく少ないということで、今後その自治体やその住民の生活を証言するような、文書、記録、写真を遺そうという動きが全国的に静かにすすんでいる、という話を5年ほど前に聞いたことがあります。
たとえば、実際には登録されていませんが、ロシアのノヴゴロド共和国の15世紀代までの白樺文書などは、ノヴゴロドの政治的経済的状況、具体的には物価、市民生活にいたるまでを詳細に記録しており、どこまで登録するか問題はあるにしても「世界の歴史的記録遺産」(とあえて訳す)にふさわしいと考えます。日本においては、ヒッタイトの楔形文字粘土板などが対象になっていることから、埼玉県行田市にある国宝の稲荷山古墳の鉄剣などが十分登録対象になりうると考えられます。中国では、殷代の甲骨文、周代の金石文、宋代の記録(事細かに開封、臨
安(現杭州)のどこにどういう店があって、市民生活はどんなだったか具体的に描いている)ので、個人的にはふさわしいと思っていますが、ぽぽさんがご指摘されているHPでは、具体的な基準までは、書いていないのでなんともいえません。
中世自由都市の枠組みでくくれるのかもしれませんが、民会までもっていたノヴゴロドの政体の記録は、啓蒙思想以前の民主制、共和制を物語る貴重な資料であり、殷周代の文書資料はほぼ考古遺物にかぎられているため、その時代の一端を示す貴重な資料といえます。宋代については、正史に載らない庶民のくらしがわかる貴重な資料といえます。日本の中近世では、リアルでかつ日本史上貴重な資料があるのかが思い浮かびませんので、どなたかご教示いただけたら幸いです。
- 4 名前:浦に〜と
投稿日:2001/12/16(日) 22:11:50
- このようなリストがあるとは知りませんでした。日本から登録(指定?)するならば、史実を題材とした豪華な絵巻物や、日本三大古碑みないなものじゃないかな、と思いつきました。柳沢さんの挙げられているような、考古学的なものは思いもしませんでした。
しかしこのリストは、どのようにして認定されるのか、気になりますね。
- 5 名前:柳沢
投稿日:2001/12/18(火) 00:12:43
- ついにこのHPが更新されました。サマルカンドが登録されて
胸のつかえが取れました。
さて、実は、日本三大古碑を恥ずかしながら知れません。多
賀城碑や太安万侶の墓碑などが該当するのでしょうか?調べ
てみるつもりですがすぐおわかりのようでしたらご教示くだ
さい。
浦に〜とさんの目の付け所には、いつも感心させられます。
自分としては、郷里の踊念仏からひいきするわけではありま
せんがたとえば「一遍上人絵伝」は、その資格十分であると
考えます。一遍上人の念仏勧進の遊行の足跡をたどってその
生涯について描いたものですが、日本の中世を考える上で貴
重な絵画資料であると定評のあるものです。一遍の行く先々
の人々の生活の様子などがいきいきと描かれていることから
芸能史、民俗学、国文学、医療史といったさまざまな分野の
研究者による論文集が編まれているほか、当時の市の風景が
描かれていいる絵巻は数が少なく交易などの経済史的分野で
も注目されているものです。
私の親しい友人で、中世考古学の分野で一目おかれている人
がいますが、食膳具の種類とその使われ方から、貴賎の差、つ
まり、使う食膳具や食事の仕方で登場人物に階層性がみられる、
人物が登場する場面では、たとえば子供が登場する場面など、
絵師と鑑賞者との間に共通する認識があって、中世のものの考
え方を反映しているなどといった論文を書いていました。また、
「一遍上人絵伝」に限らず絵巻は、絵師が絵巻を作成する年代
の考え方に動かされる面もありますが、絵巻に出てくる食膳具
と発掘成果が調和していることが多いことが最近の研究成果で
判明しつつあります。日本の中世の様子やものの考え方が絵巻
物から読み取れるならば、「歴史的記録遺産」にふさわしいと
思われます。ただ、中世の研究者の共通認識であっても、登録
の基準が判らない限り、あくまでも私見にすぎなくなってしま
うので、どのようにして認定されるのか気になるところです。
また、「万葉集」や「詩経」「楚辞」などの古代歌謡の記録な
どはどう扱うのでしょうか?そう考えると非常に興味深い分野
でもあります。「無形文化遺産」と「歴史的な記録」の中間分
野でしょうか、それともこういった古代歌謡が世界にどれだけ
記録としてのこっているのでしょうか。李朝の年代記が登録さ
れているようですが、日本の年代記はどうなのでしょうか?
私は、操作の少ない「古事記」のほうが、「日本書紀」資格あ
り、と考えるのですが・・・
- 6 名前:柳沢
投稿日:2001/12/18(火) 00:21:21
- 前レスですが、「日本書紀」より資格あり、と書くつもりでした。すみません。
- 7 名前:柳沢
投稿日:2001/12/27(木) 02:09:11
- memory of world registerの登録基準を発見しました!。
http://www.unescobkk.org/cominfo/tex_mow.htmlに載っていました!
「影響」「時代」「場所」「人々」「世界史上又は文化的な課題やテーマ」「スタイル」「社会的文化的価値」の項目のうちひとつでも際立つものがあれば登録対象となるとのことです。
「影響」;一国の文化の境界を越えて、又は世界史上大きな影響を及ぼした世界的に重要な記録遺産
「時代」;世界史上特定かつ重要な時代の記録でその当時の世界を理解するうえで際立った(欠くことのできない)役割を果たす世界的に重要な記録遺産
「場所」;世界史における大きな発展に決定的な貢献をなした場所又は地域について重要な情報を含む世界的に重要な記録遺産
「人々」;世界史上又は文化において、際立った貢献をなした人物や人々の業績や生涯について、とりわけつながりが深い世界的に重要な記録的遺産
「世界史上又は文化的な課題やテーマ」;世界史上又は文化的に重要な(事件、)課題、テーマについて、際立って(克明に)物語っている(=証拠立てている)世界的に重要な記録的遺産
「スタイル」;世界的な記録遺産で、際立ってすぐれた形態、スタイル(、文体)をもった重要な例になるもの
「社会的文化的価値」;一国の文化の境界を越えて文化的、社会的、精神的に際立った価値を有する世界的に重要な記録遺産
とのことです。(和訳がいまいちなので紹介させていただいたWebサイトを直接ごらんになることをおすすめします。)
第2基準もありますがもう眠くなってきたのでかんべんさせていただきます。
- 8 名前:浦に〜と
投稿日:2001/12/27(木) 08:27:35
- 柳沢さん>
基準の英訳、ありがとうございます。(私は英語が苦手なので、原文はあまり見る気がしません・・・)。この基準、なかなか興味深いです。でも曖昧さは世界遺産と似たようなもんですね。この手の基準というものは、絶対的で客観的なものを設けるのも難しいのでしょうけど。
ところでこの「memory of the world register」は、どのように指定(登録?)されるのでしょうか?
なんか、隔年で指定されるみたいなことも書かれていますが・・・。
日本三大古碑は、宮城県の多賀城碑、栃木県の那須国碑、群馬県の多胡碑です。
多胡碑は田舎にも近いので、行きたいと思い続けてますが、なかなか行く機会がありません。