’98.3.9

                                                    NO.159


詩の授業〜ふゆのあさ
 

                          

○ はじめに

 以下の詩を使って、3年生を対象に授業した。 原実践はTOSS鳥海の佐々木豊氏である。

 音読の指導には恰好の教材である。内容も平易で分かりやすく、子供たちに、身近にある日常の一こまを想起させる。

ふゆのあさ

                            秋原秀夫

おきる じかんですよ

すあさんの こえが

ゆめの すきまに

しのびこむ

 

さあ おきるのよ

かあさんの こえが

ふとんの なかまで

はいってくる

 

すぐに おきなさい!

かあさんの こえが

つめたい かぜと いっしょに

とびこんでくる

○ 授業の実際

 教材詩を印刷したプリントを配付する。

 その後、即、日付、題名、作者名を板書する。

 まずは、範読から入るべき所ではあるが、あえて一斉読みからスタートした。


指示1 全員で一回声を揃えて読みます。座ったままでいいです。さん、はい。
 

 上手に読めたことを褒めた後、列指名で一人ずつ立って読ませた。8人に読ませた。

 さすがに、この時期になると、音読の仕方も様になってくる。どの子も上手である。


指示2 今、8人のお友達から読んでもらいました。上手だったなぁと思った人の名前をノートに一人だけ書いて、その訳も書きなさい。
 

 2分のノート作業の後、机間巡視し、意図的指名予告(頭を触っていった)した子供を起立させた。


指示3 頭を触られた人立ちなさい。
    誰のどういうところがよかったのか、発表してください。
 

 


・Aさんです。読み方が落ち着いていて、速さがちょうどよかったからです。
・Kくんがいい。お母さんの声を大きく読んでいたからです。
・Sさんがいいと思いました。「すぐにおきなさい!」のところが、本当のお母さんみたいに感じたからです。
・Mさんがよかったと思います。Mさんの読み方は、声の高さが詩の中のお母さんの表情が出てくるようだったからです。
 

 4人に発表させた。意図的に指名したのは、一人の子に「ほめことば」が集中しないようにするためである。

 「ありがとう。他の人も大変上手でしたよ。では、聞きます。」と言って、次の問いかけをした。


発問1 この詩は、何連でできていますか。何連とノートに書きなさい。
 

 数秒で三分の二の子供が書き終える。10秒後、尋ねる。

 「三連。」と子供たち。「その通り。三連です。」と板書する。


指示4 三連と「三」は漢字で書かねば×です。間違った人は直しておきなさい。
 

 


発問2 それぞれの連に、同じ言葉が使われている部分があります。何でしょう。
    ノートにそのままそっくり書き抜きなさい。できたらノートを持ってらっしゃい。一回切り
    です。
 

 ノートチェックする。○か×かだけである。素速く付ける。

 正解は「かあさんの こえが」である。

 ○をもらった子は16人であった。31人学級の約半数である。「この程度は全員できる。」と考えない方がいい。
 正確に書き抜くということが全員できるクラスは相当力があるクラスと思っていい。

 いかに些細なことであっても、ノートチェックの際には妥協してはならない。
 「そっくりそのまま」というのは、まさに「そっくりそのまま」なのである。
 そういう教師の目や姿勢が、子供の力を着実に付けていくのである。

 
指示5 ○もらった人立ちなさい。声を揃えて、それを言ってごらんなさい。さん、はい。
 

 間違った子には直させる。よけいな説明などせずに、次に進む。


発問3 第一連の「かあさんのこえ」に指を置きなさい。どんな声が書かれていますか。
 

 隣同士確かめさせ、一人を指名し、その部分を読ませた。

 「おきるじかんですよ」である。


発問4 その声が「ゆめのすきまに しのびこむ」ってあるよね。
    「しのびこむ」(板書)という言い表し方は、「はいってくる」というのと同じですか。同じと    思う人は○、違うと思う人は×をノートに書いてごらん。
 

 素速く子供たちは、辞書を引き始める。子供たちの使っている辞書には、「しのびこむ」が書かれていないようだ。

 ○か×か尋ねると、全員が×と答えた。数名を指名して理由を尋ねた。


・「しのびこむ」というのは、そっとみんなに知られないように入ってくるという感じで、「はいってくる」というのは、みんなが知っていて、ふつう通りに入ってくるって感じだから。
・「はいってくる」は、みんな分かっているってことで、「しのびこむ」は、誰にも分からない感じだから。
・「しのびこむ」は、こっそり入るということです。
・「入る」は、外から中へということです。
 

 


指示6 「しのびこむ」は、今言ってくれたように、ただ入るということとは違います。
    ちょっとやってもらいましょう。○○さん。教室に「はいって」きてください。
 

 実際に数名にやってもらう。


指示7 では、次に「しのびこんで」きてください。
 

 そっと、こっそりと、泥棒のように扉の音もさせずに、ひっそりと「しのびこんで」きた子供に、歓声と拍手喝采である。


説明1 上手いですね。同じことしているのに、入り方が違う。感じ方が違うのです。
     夢の中にこっそり、そっとやさしくしのびこんでくるお母さんの声なんです。
 

 全員納得した表情である。


発問5 第三連に指を置きなさい。
    「かあさんのこえが つめたいかぜといっしょに とびこんでくる」というのは、何かされ    
たのかな?その様子をノートに書いてごらん。
 

 2分後、全員に発表させた。


指示8 全員起立。一人ずつ言った人から座りなさい。
 

 以下の発言があった。


・窓を開けられた。
・ふとんをはぎ取られた。
・ふとんを無理矢理はがされた。
・ふとんを取られた。
・ふとんを引っ張られた。
・ふとんを寄せられた。
・ふとんの隙間から風が入ってきた。
・ふとんを取られて、窓も開けられた。
・窓を開けられて、怒られた。
・夢の中に入ってきた?
 

 


説明2 なるほどね。そうかもしれませんね。「寄せられた」「取られた」「はぎとられた」は、      同
じようで違います。いい言葉知ってますね。いろんな言葉を知っているということ、     そしてそれを使えるということは、すばらしいことです。
 

 


指示9 もう一度確かめます。母さんの言った言葉に指を置きなさい。3つあります。
     隣同士確かめなさい。よかったら、それら3つに「 」を付けなさい。
 

 作業後、全員で確かめた後、次のように問うた。

 
発問6 さて、それら3つのかあさんのせりふですが、どう読めばいいのでしょう。
 

 ちょっと間をおいてから、次の作業指示を出した。


指示10 これから先生が、この詩を読んでみます。先生の読み方がいいなぁと思った人は       ○、だめだなぁと思ったら×をノートに書きなさい。
 

 次のように読んだ。


(一連)「おきるじかんですよ」・・・・大きな声
(二連)「さあ おきるのよ」・・・・・普通の声
(三連)「すぐにおきなさい」・・・・・小さい声
 

 範読後、子供たちに尋ねる。


指示11 先生の読み方よかったなぁ○だと思った人手を挙げなさい。
 

 誰もいない。


指示12 では、×だと思う人?
 

 数名除いて、全員挙手。


発問7 どうして?
 

 「だってね。最後の方に『!』付いているから、小さい声でなく、大きな声で読まなくちゃいけないです。」と一人の子供が座ったまま言う。
 全員「そうだよ。」と言う。


発問8 じゃあ、ここだけ大きな声で読めばいいのね?
 

 言いたい子に、座ったまま答えさせた。


・第一連の「おきるじかんですよ」は、最後に「しのびこむ」と書いているから、低い声でそっと言った方がいい。
・付け足して、二連が「はいってくる」だから、「しのびこむ」よりもちょっと普通っていうか、そういう一連よりも声を大きく読めばいい。
 

 

 

 
説明3 なるほどなぁ。そうすると、「おきるじかんですよ」は、そっと、「さあおきるのよ」は中      ぐ
らい、「すぐにおきなさい!」は大きく読めばいいという訳ですね。
      お母ちゃんの声がパワーアップしていくんだ。そうか。わかりました。
 

 


指示13 では、そこのところにもう一度気を付けながら、各自二、三回練習してごらん。
 

 各自、自由に練習させた。

 その後、読みたい子供数名に読ませてみた。

 どの子も実に上手に読めていた。一人読むたびに拍手が自然に起こる。

 「すぐに おきなさい!」の部分は、どの子も迫力があって、聞き応えがあった。

 全員で、最後にもう一度、全文音読を一回させた。

 最後のおまけで聞いた。

 

質問  冬の朝、こんな感じかなっていう人は、手を挙げてごらん。
 

 約半数以上はばかることなく「はぁーい。」と手を挙げた。

「自分で起きてこれるように、がんばんなさいね。」と言って、にっこり微笑みながら授業を終えた。

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