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                                                                                                  NO.2

詩の授業〜「赤とんぼ」

                      

1.はじめに

 2学期が始まり、まもなくすると、教科書も「上」から「下」に変わる。
 国語の教科書には(ほとんど)、とびらに詩が載っている。

 多くの場合、視写したり、音読したり、暗唱したりする学習活動をさせ、次の単元(教材)へと急ぐことが多かれ少なかれあることだろうと思われる。

 新しい心持ちで、新しい教科書を開く最初のページにあるこの詩をできることなら安易に扱いたくない。

 ここでこそ、是非とも詩の持つ言葉の美しさや語調などの魅力を感じさせたいところである。
 そして、詩を思う存分鑑賞させ、一字一句の言葉にこだわる国語学習の学び方を知る機会としたいものである。

 

2.授業のポイント

①本教材詩は、光村図書2年下のとびらに登場する。

「まど・みちお」作、「赤とんぼ」という題名である。教科書には、題名・作者名は書かれていない。

 まず、この点を探らせることを指導の糸口とする。

②1連のみの6行詩である。だからこそ、この6行に凝縮された作者の心情や情景が、一字一句に込められていると考える。

 詩の中で使われている言葉1つ1つにこだわらせる主発問を投げかけることにより、子供は、書かれてある言葉を根拠に分析・検討しなければならなくなる。

③3年生の子供を対象に授業実践した記録だが、どの学年でも追試可能と思われる。(本時は秋川茂氏の追試である。「第10期教育技術の法則化P15参照)

④実際の指導に当っては、音読を重視する。

 とりわけ低学年では、まず「音読ありき」と考える。語調や言葉の響きを感じる音読を丁寧に扱いたい。
「、」「。」「・・・・。」は、重要な部分である。

(教材詩)

つくつくほうしが
なくころになると、
あの ゆうびんのマークが、
きっと 知らせにきます。
金色の空から
もう あきですよ・・・・・・って。

3.授業の流れ

                    

 いきなり、画用紙に書いた「〒」(ゆうびんマーク)を見せる。

 子供たちは、口々に「あっ、ゆうびんのマークだ。」「ポストのしるしだよ。」と言う。
「そうだね。よく知っているね。」と返してから指示する。


指示1
静かに目を閉じなさい。
 

 


発問1
今、先生が見せた郵便マーク、何か他のものの形に見えませんか?
何か別のものに似ているなあと思い浮かんだ人・・・・静かに手を挙げてごらん。

 

「座ったままで自由に言ってみてください。」と指示して、挙手している子供に自由に言わせる。


・カタカナのテ・鳥・飛行機・かなづち 等
 

 以上のものが出された。           


指示2
教科書のとびら、一番始めのページを開きなさい。
 

 本学級では、3年生のため詩を印刷したプリントを配付した。


指示3
全員起立。音読します。1回目はその場で、2回目は後ろのほうに身体を向けて、3回目は座って唇読み(唇だけ動かして目読すること)をしなさい。自分のペースで読むのです。始め。
 

 全員が座ったのを確認して、


指示4
○○さんの列の人、全員立ちなさい。一人ずつ読みなさい。読んだら座ります。(列指名)
 

 読んだ後、一人ずつ点数を付けていく。68点、76点、85点・・というように・・・。
 子供たちは「どうして?すらすら読んでいるのに。」というけげんな顔つきである。

「、」「。」「・・・。」に気を付けて読んでいるかが大きなポイントになる。
 それができていれば、とりあえず90点という評価基準をとる。
 満点は、即ち完璧読みである。発声・発音・強弱等において理想とする読みである。


説明1
こう読むのです。(範読する。)
 

聞き終えると「わかった!」とつぶやく子供も出てくる。


指示5
最高の読みをめざして、1分間、自由に声に出して練習しなさい。
 

1分後、練習を中断させ再度列指名で読ませる。


指示6
□□さんの列の人、全員立ちなさい。一人ずつ読みなさい。読んだら座ります。(列指名2回目)
 

 やはり、ここでも1回目と同様、点数を一人ずつ、すばやく付けていく。
 先程より、良い読みをする子供も出てくる。

「100点!」と言われた子供が出ると、自然に拍手が湧き起こる。

「こう読むのだ。」という気付きがあったからこそである。
 理想の読みを自覚したからこその変容である。これが野口氏の言われる「向上的変容」である


発問2
読むとき、気を付けなければいけないことは何でしょう。
 

 ・つっかえないで読む・大きい声で読む・「、」や「。」で休む・「・・・・。」のところを間をとるなどが出てくる。

 どんな意見も大いに認めてほめた後、詩には「、」「。」など少ない作品が多いこと、だからこそ、そこを意識して読まなくてはいけないことを告げる。


指示7
ノートに「?」の記号を書きなさい。
 

 


発問3
この詩の題名は、ずばり何でしょう。
 

 


指示8
「?」の下に短い言葉でノートに書いて、先生に持ってきなさい。
 

 ノートを一人ずつチェックする。あっていたら○、はずれていたら×おしかったら△をつける。
「すごい!」「おしい!」「ちがうんだよなあ〜。」など一言与えながら・・・・。
 1人一回切りとする。 全員のチェックを素速く済ませる。


指示9
赤ペン持ちなさい。○もらった人立ってください。書いた言葉を一斉に大きい声で読みなさい。さん、はい! (あかとんぼ)
残念ながらはずれちゃった人、赤鉛筆で書き直しておきなさい。

 

 


(板書) 赤とんぼ
                           まど・みちお

 

 


説明2
作者は「まど・みちお」という人です。
 

 


指示10発問4
二つ目の「?」を書きなさい。この詩の中に「赤とんぼ」のことを、作者は別な書き方で表している言葉があります。何でしょう。
その言葉をノートに詩の中から抜き出して、「?」の下に書きなさい。

 

「書いた人は、持ってきなさい。一人1回しか持ってこられませんよ。」と先ほどと同じように赤ペンチェックをする。

 正解は「ゆうびんのマーク」である。それ以外は全て×とする。


説明3
まど・みちおさんには、赤とんぼがゆうびんのマークのように見えたんだね。
 

 「さて、次のはむずかしいぞ。」といって同様に「?」を書かせて発問する。


発問5
この詩の季節は何ですか?春ですか?夏ですか?秋ですか?冬ですか?
 

 


指示11
季節の名前を「?」の下に書きなさい。そして、わけも考えましょう。
時間は5分です。始め。

 

 5分後、1人を指名し、「○○さん。みんなは、どの季節の名前を多く書いていると思いますか?」と尋ねてみる。

 このように尋ねるのは、友達の考えが何か期待感を持たせるとともに、付和雷同やおもねりの心を許さないひとつの布石である。
 野口先生がよく使われる手法である。


指示12
さあて。何を書いただろうね。手を挙げるんだよ。
春と書いた人・・・。夏と書いた人・・・・。秋と書いた人・・・・。冬と書いた人・・・・。

 

 それぞれ挙手させて人数を確認する。(本時では、ネームカードを黒板に貼らせた。)


板書) 冬   秋   夏   春
      0   22   10   0

 

T「春と冬ではないんですね。」C「うん。」これで春と冬はつぶされた。
討論にふさわしい「AorB形式」になった。予想通りの展開である。


発問6
夏と秋、どちらなんでしょう。
意見のある人は遠慮せず、どんどん自由に立って発言しなさい。
夏派と秋派の対決です。さあ、どうぞ!

 

 


〈秋である〉
・詩の題名が「赤とんぼ」です。赤とんぼは、秋の虫です。
・「金色の空」ってあるから、何となく秋みたい。
・「秋」って書いてあるから。
・「もう秋ですよ」って書いてある。秋でないなら「もうすぐ」って書くと思う。
〈秋ではない〉
・赤とんぼは、夏でもとんでいます。
・「つくつくほうし」ってセミだから、夏だ。
・夏でも太陽がギラギラして「金色の空」に見える。

 

 以上の意見が出された。

 意見が出つくして、話し合い(討論)が沈滞したら、だらだらやらず取りやめる。
 再び、夏か秋かをノートに書かせて人数確認し、黄チョークで板書した。
 夏派が5人増えた。


(板書)夏・・・15人、秋・・・17人
 

 時間も押し迫ってきたので、教師の解を示した。


説明4
先生の考えを言います。この詩の季節は夏です。
しかも夏の終わり頃です。証拠を言います。

①「つくつくほうしがなくころになると」の「なると」は、これからのことであり、まだなっていない。
②「きっと知らせに来ます」は、きっと来るけど「来ます」は「来ました」ではなく、まだ来ていない。
③「もう秋ですよ・・・って。」の「って」は「〜だろうよ」という意味であり、秋になったことを表していない。
④「あのゆうびんのマーク」の「あの」は、去年見たことを思い出している言い方であり、今年はまだ来ていない。

 
以上から「秋とは言えない」のです。
 

 子供たちは「なるほど」というような顔で静かに聞いていた。

 最後に以下のことを言って、授業を終えた。


国語というのは、文の中に必ず証拠があるのです
言葉が証拠になるのです。1つ1つの言葉や字にするどい目を向けるようになれるといいですね。

 

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