´99.5.20
NO.53
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わが子の授業参加の様子、担任の授業の仕方は、保護者にとって最大の関心事である。今も昔もそれは、変わることがない。
この授業参観にどのような授業を行えば、子供たちの生き生きした学習活動が展開され、保護者もまた、満足して教室を後にしてくれるかは、教師の腕の奮いどころである。
しかしながら、腕は未熟ではあっても楽しい授業はできるのである。
ここでは、指導力が乏しくとも(私自身のこと)、誰にでもできて、しかも楽しい学習になる授業・言葉の力をつける授業を紹介してみたい。
授業の展開に当たっては、適切な教材、発問・指示等の指導技術的な事柄ももちろん大事であるが、私は上に述べたような授業参観になるためには、以下の3点も必須の事項と考えている。
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以下、拙い授業実践例を3つほど紹介する。
1 詩「ないないづくし」谷川俊太郎 作
〜むしくいうた
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プリントを印刷して置けば時間短縮もできるが、視写するその姿やスピードを親の方々に知ってもらうことも大事な観点である。
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早く書き終わった子には、何度も唇読みをするように指示しておく。
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おうちの人の方に向いて読みます。読んだ人から座りなさい。始め。 |
こういうバリエーションで動きに変化をつけることで、親もまたわが子の音読の姿や力を見ることができる。
全員座ったことを確認して、問う。
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い。 |
緊張感や語彙不足で、なかなか書けない子もいる。そういう子には、「『予想』をさかさに読んでごらん。「うそよ」でしょ。『よそうは、うそよ』だからあてずっぽうでもいいから埋めてごらん。」
などと言って励ます。
全員が書き入れた頃、発表させる。列指名でも意図的指名でもいいだろう。
「かく」「かど」「ちょくせん」など出てくる。ここで大事なのは、全て受容し「いいねぇ。」と言って誉めることである。クイズではなく言葉遊びを楽しむのである。
「谷川さんは・・・・。」と言って、黒板の□に書き入れる。
「かど と書いています。」
当たった子は「やったぁ。」と歓声をあげる。みている親もにこにこしている。
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書きなさい。 |
円周率が分からない場合は、円周を直径で割ったもので、約三倍で、3.1415・・・・とずっと続くものと教えるとよい。
入る言葉は、「きり」である。ユニークな発表があれば大いに誉めるとよい。
このようにして、発問を続け全部を埋めさせるのである。
時折、保護者に挙手させてあててみると楽しい。
時間があれば、次に暗唱に入る。
それも一つずつステップを踏むとよい。
最初に、「ない」だけを消して読ませる。
2回目、□まで、全部下の方を消して読ませる。
3回目、4回目と少しずつ横に消して読ませる。子供は意欲満々で取
り組むのである。
そんな子供の姿を見て、いつしか親もわが子を忘れるほど黒板に目がくぎづけになっていく。
全員で暗唱できたら全員で(親も子供も)拍手をし、授業を明るく閉じる。
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2 詩「おならうた」「うんとこしょ」「そっとうた」谷川俊太郎
作
子供には、教材を印刷したプリントを配布する。
別紙の教材プリントを参照願いたい。以下、授業の流れを記す。
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いきなり、こんなことを、しかも家の人のいる前で「先生は何言ってんだ?」という表情の子供たち。低学年の子供なら妙にはしゃぎ、高学年の子供は妙な静けさが教室の空気を包む。しかし、「今日の勉強は、何か違うぞ。」といった雰囲気で始まる。
にこにこしてプリントを配る。
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どんな音でもいいです。同じ言葉でもいいから読みなさい。読んだ人から座りなさい。 |
読む声は、高学年になるほど照れと抵抗があって小さい。
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クラスには1人か2人は物おじしない子供がいるものである。
「ぶ!」などのつぶやきが聞こえる。ここで、ものすごくその子をほめるのである。「そうです。『ぶ』なんです!よく分かったね。すばらしい勘をしているねぇ。」などと。この大袈裟な誉め言葉でクラス全体が活気づいてくる。
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机間巡視をしながら助言をし、なるべく全部□を埋めるように励ます。
ほぼ、書き終えたのを見計らってからの指示。
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初めから指名して一人に読ませるよりは、まず自分で読んでみて少々声を出させておく方が、次の発表に抵抗感も薄らぐ。
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意図的指名でもよし。列指名でもよし。自由発表でもよし。クラスの実態に応じて3人程度に発表してもらう。
一通り誉めた後、「谷川さん(作者)は、こんな音を出していますよ。」と言って入る言葉を教える。ここまでは、言わばウォーミングアップである。
「さあこんな感じで次に挑戦してみよう。」と言って題名を読ませる。
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「重い物を運ぶとき。」などの声が上がる。
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全員座った後、すぐ次の指示。
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3分程度の時間を与えた。その後、発表させる。
結構、感性豊かな言葉も飛び出したりしておもしろいものである。
当然のことながら、たくさん誉めてから正解を告げる。
最後の詩「そっとうた」だけは模造紙に事前に書いておいた。
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はホニャララと言って1回読みなさい。 |
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やってごらん。時間は3分。始め。 |
全部書いていなくてもいい。書けたところがひとつでも有ればよしとして、発表させる。
すてきな言葉を書いた子供は大いに称賛する。 正解を告げた後、全員で一斉読みをさせる。その後、白カードで言葉をふさいで消していく
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続いて「うさぎ」「たんぽぽ」「こだまが」「ひみつを」を消す。
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「みなさん、すごいですね。でも、もう消すのは無理かな。」などと挑発する。そして「わたげ」「たにまに」「みみに」も消す。
こうして、最後には全部消す。「えーっ。」などと声が上がるが、このころには子供らの挑戦意欲も密かに最高潮。
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言うんだよ。大きい声で読まないで、やさしく、そっと読んでみようね。 |
そっと読んで授業を終える。
集中力がぐっと高まり、余韻の残る中で子供と親の方々の表情も実に優しげであった。
以上の詩の授業実践は、いわゆる「むしくいうた」とよばれる作品の一部を隠して考えさせると言ったものである。これらのほかにも低学年向けの教材もたくさんある。「くんぽんわん」なども実に楽しい「むしくいうた」にできると思われる。時には、こんな詩の授業があってもいい。参照されたい。
(教材詩)
| そっとうた 谷川俊太郎 そうっと そっと うさぎのせなかに (ゆきふる)ように そうっと そっと たんぽぽわたげが (そらとぶ)ように そうっと そっと こだまがたにまに (きえさる)ように そうっと そっと ひみつをみみに (ささやく)ように |
うんとこしょ うんとこしょ どっこいしょ ぞうが (ありんこ) もちあげる うんとこしょ どっこいしょ みずが (あめんぼ) もちあげる うんとこしょ どっこいしょ くうきが (ふうせん) もちあげる うんとこしょ どっこいしょ うたが (こころ)を もちあげる |
おならうた いもくって (ぶ) くりくって(ぼ) すかして(へ) ごめんよ(ば) おふろで(ぽ) こっそり(す) あわてて(ぷ) ふたりで(ぴょ) |