’98.11.8

                                                                          NO.48

    詩の授業〜「おちば」

                        

1.はじめに

 

  授業前の教材詩の分析を簡単に述べる。


①「おちばを・・・」で始まる四連詩。それぞれの連は三行で構成されており、 

「ことりにして」「ふとんにして」「さらにして」 「しおりにして」は類比されている。
 また、「とばしたのは」「ねるのは」「したのは」も類比的表現である。
②使われている言葉も難解ではなく、簡易な言葉であるため分かり易く、内
も容易に把握できる。
③1連から3連までの主語が3行目にあり、倒置法の体言止めである。
④「おちば」から季節は秋。「そらへとばしたのは」「はるまでねるのは」「ままご
としたのは」から、そろそろ冬支度を迎える秋の終わり頃とイメージされる。
⑤話者は「ぼく」である。
⑥この詩の命の連は、第四連。原詩「秋をしまいます」の秋を空欄にして、「何
をしまうのか?」に着目させると、この詩の主想に近づく手立てに成り得ると考えた。

⑦第四連「おちばをしおりにして ぼくは ほんのあいだに秋をしまいます」には、「ぼく」の過ぎ去る秋を惜しむような情感すら感じられる。
 

 以上の点を発問に絡ませながら、授業の展開を試みた。原実践は、城ヶ崎滋雄氏である。

 対象は3年生である。

 

2.授業の流れと考察

 

 日付・題名・作者名を板書した後、プリント(教材詩)を配布し、すぐ範読する。その後の指示。


指示1
全員起立。3回音読したら座りなさい。□は、「なになに」と読みなさい。
 

 


発問1
ノートに①と書いて、その下に書きます。
この詩でお話している人。話し手はだれですか。書いたらノートを持ってきなさい。

 

「おちば」「三越左千夫」「ぼく」など書かれている。すばやくチェック。「ぼく」以外は×である。


指示2
○をもらった人は立ちましょう。書いたのを大きい声で読みなさい。
(「ぼく。」)まちがった人、そばに赤ペンで書いておく。
「ぼく」はどこに出ているの?(「第4連の2行目。」)
そうです。「ぼく」がお話している詩なのです。

 

 話し手を確かめた後は、次の問いかけにも全員の一致を見る。


発問2
②と書きます。その下に書きます。「ぼく」は何人きょうだいですか。何人と書きなさい。
 

 子供らは「3人きょうだいのおにいちゃん」だと言う。
「3連に『ふたりのいもうと』と書いてあるから」合わせて3人だと言うのである。

 その通りである。というか、この詩に書いてあることを根拠にすればそう考えられる。


発問3
③を書きましょう。この詩の季節はいつでしょう。訳になるキーワードも見つけてね。
 

 

 挙手させると、全員「秋」と意見の一致を見る。

 「どの言葉から分かりますか?カギになる、証拠の言葉を教えて下さい。」と尋ねると、


・おちば・どんぐり・きたかぜ
 

が出された。そこで、もっと「秋」について突っ込んで見ることにした。


発問4
では、秋の始めですか?さかりですか?それとも終わりですか?
3つのうちどれかを書きなさい。必ず書きなさい。
わけも考えとくんだぞ。

 

 小刻みなノート作業をさせる。ここでは7分与えた。

 机間巡視しながら、書けない子には「かんでもいいから、1つえらびなさい。」と助言。
 早く書いた子には「じゃあ、何故これは違うの?そのわけを考えていてね。」と助言した。

 作業後、挙手させて人数分布をとる。


「はじめ」・・0人、「さかり」・・15人、「おわり」・・18人
 

 まず「はじめ」ではないと考える理由を聞くことにした。次の意見が出された。

 「ぼくは〜だ。」という答え方より、「ぼくは〜ではない。」という答え方の方が、実は子供たちにとって抵抗感をもつものである。
 こういう話し方も、授業の中で折りに触れて、教えていく必要があると考えている。


・秋の始めなら、葉はほとんど落ちていないから、「はじめ」は違う。
・ふとんをしくほど落ち葉はないから違う。
・どんぐりがまだ実っていないと思うからです。
・ぼくも「はじめ」ではないと思うんだけど、秋の始めにどんぐりがある場合もあるから、それは理由にはならないと思う。

 

 


指示3
「さかり」だと考える人、手を挙げなさい。
 

 


指示4
その中で、「おわり」では絶対ないという考えの人は、もう一方の手を挙げなさい。
 

 この指示をすると、誰もいない。強制的に聞くことにした。

 「おわり」ではないという訳を意図的指名で言わせる。


・「おわり」ではないという絶対の証拠を見つけられませんでした。
 

 「なるほど。わかりました。」と教師。


指示5
では、「おわり」と考える人、もう一度手を挙げなさい。
「おわり」という証拠がある人は、もう一方の手を挙げなさい。

 

 まず片手を挙げている子に起立させ、発言を促す。
 両手を挙げている子が言ってくれるだろうという、おもねりの気持ちを打破するのである。

 時として、このように強制的に発言を促すのである。

 全員参加の授業は、ある意味で緊迫感を常に感じさせていなくてはならない。


・なんとなく、そう思ったからです。
・証拠は見つけれませんでした。

 

と答えた。これでもいい。発言することに価値があるからである。

 傍観していては、いけないのだという気持ちにさせればそれでよい。

 

 次に両手を挙げている子に発言させる。


・「はるまでねるのはやまのどんぐり」と書いていて、寝るということは、実になるだけでなく、落ちたということを表しているからです。
・「はるまでねる」ということは、もうちょっとで冬になるという意味なので、秋の終わりと考えます。
・落ち葉が落ちるのは、「おわり」の方が多い。
・ふとんにするほど落ちているのだから、「さかり」より「おわり」だと思います。

 

 以上の意見が出されたが、全員を納得させる説得力に欠け、やや沈黙の間があった。
 そこで次のように尋ねた。


発問5
じゃあ、まず、このことは置いておきましょう。
詩の中の第4連に□がありますね。ここに入る言葉は何でしょうね。ノートに考えて書いてごらんなさい。

 

 作業後、席に座らせたまま自由に言わせた。


・落ち葉・思い出・どんぐり・写真・秋
 

 「う〜ん、どれもいいね。」と認めた後に解を示す。


説明
作者はここに「秋」と書いています。
 

 解を告げた後、もう一度問う。


発問6
秋の「さかり」でしょうか。秋の「おわり」でしょうか。
 

 「おわりじゃないかなぁ。」というつぶやきが、あちこちで聞こえてきたところで残念ながら時間切れになってしまった。

 討論の技術の指導が未熟で、意見を各々言い合う形で、終わってしまい、浅い“しゃべりあい”になってしまったのは否めない。

         

 最後に□に「秋」を入れて1回音読して授業を終えた。

 

 後で考えたことであるが、次の発問の方がふさわしかったかも知れないと思った。
 機会があったら、再度試してみたい。


発問
秋は終わっていますか? それともまだ終わっていませんか?
 

 


(※教材詩)

  おちば
            三越 左千夫
 おちばを ことりにして
 そらへ とばしたのは
 いたずら きたかぜ

 おちばを ふとんにして
 はるまで ねるのは
 やまの どんぐり

  おちばを さらにして
 ままごと したのは
 ふたりの いもうと

  おちばを しおりにして
 ぼくは ほんの あいだに
 □を しまいます

 

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