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´00.2.2
NO.99
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楽しい作文の指導Ⅴ |
○はじめに
これまで標題のもとに,作文力の付ける指導を幾度か試行してきた。
その際,作文力を身につけさせる視点として次の2点を挙げた。 (①②とも野口芳宏先生が提唱したキーワード)
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①については,平たく言えば「楽しく書く」と言うことであり,②は「たくさん書く」と言うことである。そのための題材設定や取り組ませ方(場の設定と言っていい)がポイントになるわけである。
ところで私は,これに「 考えながら 相手に伝わる論理的な作文を書く」ということを加えたい。
仮に「考作」 としておきたい。
すなわちこれからの作文指導は,
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であるべきだと思うのである。
新指導要領(国語)においては,既に知ってのとおり「伝え合う力」が新たなキーワードとして,これからの「生きる力」を育てる一角を担うものとして注目されている。
「伝え合う力」とは,言わばコミュニケーション能力のことである。
しかし,これを単に「話す・聞く」と言った音声言語技術としてのみ捕らえるのは,安直的解釈である。「書く力」もまた,相手を意識したコミュニケーション能力として機能して行かねばならない。
手紙文・報告文・意見文・解説文などが重視されているのもその表れなのである。
したがって,これからの作文教育は,相手に如何に自分の意図や考えを筋道だてて分かりやすく伝えるかという論理的な文章を書く力を育てることが重要であると言える。
楽しくたくさん書けることはもちろん,考えて相手を意識した文を書けることが今求められているのである。
このような視点に立って実践した作文指導4題を紹介してみたい。
前回のレポートでも紹介したが,たった数秒の出来事を文章化する作業である。そのためには,目,耳,鼻など五感をフルに稼働させ,その一瞬を取りこぼしなく捕らえなければならない。
このような作文指導(学習)を日常化させておくと,子供は敏感に行動や様子を観察する眼が養われ,これまでの「○○さんは,〜した。」という出来事型作文ではなく,一瞬一瞬を静止画にしコマ送りで多くの文を綴る作文が書けるようになってくる。
私は,これを「 静止画コマ送り作文
」と名付けている。
たとえば,こんなふうにである。
場の設定
教師(三村)が,黒板の前でギターケースからゆっくりおもむろに ギターを取り出す。ケースをそばにほおり,ギターの弦を弾き,にっこりする。
時間にして,30秒程度の様子である。
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子供には,原稿用紙を事前にわたしている。ノートより原稿用紙の方がよい。時間内で何字書けたのか分かるからである。
時間になったら途中であっても止めさせる。完成していなくてもよい。その時間内にどれだけ長く多く書くことができたか,用紙の上に書けた行数をメモさせる。
何名かを指名し,「○行書けました。」と前置きさせてから読ませるようにする。
このとき,手短にしかもポイントを押さえて評価することが大事である。しかも,一つでも褒めることを忘れてはならない。
(子どもの作品ここでは省略)
このように,適当な評価を子供に分かりやすく伝え指導して行くことで,どこをどうしたらいいか子供たちは具体的に分かっていくのである。
ややもすると,表記の仕方や誤字脱字のみチェックされるという作文指導を受けていると作文嫌いになる子供たちも,ほんの数秒の出来事もこんなに細かに描写し何行も書ける新たな自分に発見できるのである。
運動会の作文など,「今日は」から始まって「楽しかったです。」で終わるような出来事報告の羅列式作文から脱却し,一番書きたいところ,一番緊張感や満足感などを感じた瞬間をスナップ的に意識して書けるようになってくる。
また,場面を限定するだけでなく,書く制限時間も設定することで,熱中し集中して鉛筆を走らせる音だけが教室に響くようになるのである。
なお、この「文を長く書かせる指導法」は、あまりにも有名な向山洋一先生の実践であるが、どの学年で行ってもこれまでと違う質の高い作文が教室から生まれてくる。
新聞に掲載されているものような四コマ漫画を使う。できれば、内容が単純で子どもにも容易に理解できるものや主人公がはっきりしているものがいいだろう。
吹き出しは空欄にして印刷して配る。
これは四コマの主人公の気持ちを想像して,吹き出しに自由に書き込み,自分なりのストーリーを作成するというものである。そして,それをもとに,簡単なひとつのお話を作ってみるというものである。
まず,上記のプリントを配布し,四コマ漫画の吹き出しに自由に書き込ませる。
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ん。この絵や流れに合うように自由に書き込んでみなさい。 |
書き終えた後,数名に発表させる。自由なのでにこにこ笑って全てを受け入れればよい。大方,同じようなものになる。
なにより,漫画が題材なので,子供たちは喜んで作業に取り組む。なおかつ,短い言葉を書き入れればそれですむので,子供の抵抗感も少なく容易にできる。
ほんの4つの吹き出しでも,その子なりの微妙なせりふの違いが出て興味深かった。
さて,その後,自分の四コマをもとにこの漫画のストーリーを文として綴らせる。
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日曜日のことです。」とします。では始めなさい。 |
書き出しの文を限定する。指導の初期の段階では,この指示は比較的効果がある。
限定することで「アサッテ君は,〜。」というマンネリ化したツマラナイ書き出しを排することと,誰もが一様に書き始め,同じ土俵で集中して作業に取り組みやすくするためである。
ストーリーが分かっているので,子供たちは比較的5分から7分くらいで仕上げた。
早くできた子には,消しゴムを使わせないで誤字脱字の点検・表現の修正(簡単な校正)をさせた。
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達3人に読んでもらいなさい。 て,そのコメントをメモしなさい。 |
ここで,すぐ発表させずにクラスで相互評価させる訳である。
お互いに良いところや直したらいいことなどを指摘し合えることは,作文力を磨く上でとても大切なことである。
また,これによって,主観的立場で書いた文が読み手にとっても分かりやすい読みごたえのある文であるか,客観的に自分の作文を見直す好機会にもなりえると考えた訳である。
作文によるコミュニケーション能力を育てる素地作りとして,子供ら個々に意識化が図られることを期待した。
3枚のシールを貼って(時間があれば,より多くの友達と相互交流させたかった)席に着かせた。
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このような指示を与えてから,作文を読ませることで聞く側もそのような観点を持って耳を傾けることができる。
どの子も「なるほど。」といった表情で聞き入っていた。
(子どもの作品は省略)
なお、この実践は、照井孝司氏の作成されたファックス教材を活用し授業として行ったものである。したがって氏の修正追試という形になる。
(「教材開発」NO.41P82より)
城ヶ崎滋雄氏実践の修正追試である。
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唐突なテーマである。子供たちも「えっー。」と困惑気味。
ニコニコ笑いながら言う。
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にしてもらいます。 |
さっそく質問が出された。
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これについて次のように答える。
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帯電話で電話をくれました。 い。 |
これに付け加えて,書く時の留意点を告げた。
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子供にとっては,初めての試みであり,また普段歩き慣れている道を
どのように教えるべきか頭を悩ます難題であろう。
しかし,たとえ上手に書き表すことができなくても,相手のことを考え,分かりやすく伝えようとする書き方は少なからず意識されるであろう。
自分の家に何とかたどり着いてもらうという作文のゴールも明確なので,子供たちは一所懸命に考え何とか書き抜かねばならない。
予想通り,四苦八苦しながらも,原稿用紙と格闘する姿が見られた。
15分〜20分でクラスの1/3が,30分くらいで2/3,40分で何とか全員が書き終えた。
作文は,お互いに読み合い相互評価したり,書き改めたりすることも考えていたが,時間不足で断念。
自分で書いたものを自分で読み返し校正し,数名に発表させるに留まった。
子供たちからは「あー,むずかしかった。」「口で説明するのも難しいのに。」という呟きもあった。
人とコミュニケーションをとる機会も少なくなってきている子供たちにとって,自己の表現力を駆使して相手に伝えるということが如何に容易でないことか,そして,自分にその力が不足しているということを自覚させ,実感として捕らえさせるよい機会になったと考えている。
このようなテーマを日常的に何度も設定し,書かせたり話したりと表現する場を多く設定していくことで,今後,相手を意識したコミュニケーション能力や表現力も徐々に育って行く可能性をこの実践から感じた。
(子どもの作品省略)
これも、伴一孝氏始め、先行実践が数多くあるので,よく知られたものである。
まずグループの形になり,机を向かい合わせにさせる。
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い。 |
本学級では,1グループ6〜7人である。
準備ができたところで説明をする。
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人が2分30秒書いたら,バトンタッチして次の1人が2分30秒書 きます。そうやって,全員,前の人の書いた文の内容につながる ように作文を完成させます。多いところは7人いますので,6人グ ループのところは誰かもう一度書いてください。 |
説明後,質問を受け付ける。
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次のように答える。
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かにきて,先生の机からもう1枚取って行きなさい です。 に書きなさい。(本学級では,そうしている。) |
質問がなくなったところで,いよいよスタートする。
机間巡視しながら「あと1分。」「残り30秒です。」と時間を教えていく。
子供たちの集中度は見事なものである。
どうしても黙っていられず,ささやき声も少々聞こえるが,そこは大目に見ておく。
ポイントは,最初と最後である。最初の書き出しでプレッシャーを感じている子供は1行〜2行程度しか書けない。それでもいい。一文でもいい。他の子が継ぎ足してカバーしてくれる良さがこのリレー作文にはある。
最後は,オチが決め手だ。それを意識して書かねばならない。しかし,それを意識し過ぎると,自由な気持ちで伸び伸びと書けなくなる。
言わば,立派な完成品を仕上げるために書くわけではないので,気楽に取り組むよう事前に告げておくことも必要かと思う。
それでも,最後の1分間の追い込みはどのグループも見ごたえがあった。
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が読みながら,その区切りのところに鉛筆で印をつけなさい。 |
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発表は爆笑が続き,どの子からも「楽しかった。」「もう一回やりたい。」という声があがった。
教師の方でA,AA,AAAの評価をする。良いところを見つけだし,とにかく褒めるようにする。
これは,まさに「楽作」である。
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以上のことを実感できるネタである。
マンネリ化にならないように,学期に1回,あるいは隙間の時間にでもできるおすすめの作文学習と言えよう。