´98.10
NO.64
|
短文の授業〜俳句② |
1.はじめに
短文(俳句)で、分析批評の授業を試みる。
向山氏の授業実践の中でも有名な実践の一つと数えられる追試である。
ここでは、「言葉の検討を促す発問」がカギになる。
「分析批評」の授業は、言葉を根拠にした論争ある授業なのである。
以前、6年生を対象にこの教材を扱い授業したことがあるが、今回は、3年生を対象に授業化してみることにした。3年生でも可能なのだろうか?教材は、以下の夏目漱石作の俳句である。
|
|
2.授業の流れ
|
|
この指示の後、下位の子供のレベルに合わせたスピードで、教材の俳句と作者名を板書する。俳句については、以前一度授業したことがあるが、念のため5・7・5に分かち書きする。全員「書きました。」の報告の後、音読に入る。
|
|
全員読み終えた後、質問する。
|
|
「それがし」「かかし」「候」「雀殿」が挙がった。
さすがに3年生。ほとんどの語句が分からないのである。
「分からないんだね。よかったなあ。それでこそ、この勉強が楽しくなるよ。」と言って、それぞれの語句の意味や読み方について以下のように簡単に説明した。
|
|
子供たちはこの説明でようやく大意を掴めたようで、ほっとした表情になった。
|
|
さすがに先程よりも、スムーズにかつ音量も大きく読むことができた。
|
|
ノート作業後、列指名で聞いていく。
「かかし」「わたくし」がほとんどであった。正解を告げた。
|
|
話し手をしっかり押さえた後、イメージを掴ませる学習へとつなげて行く。
|
|
|
|
子供たちは、自然に口々にイメージしたものをつぶやき発言する。出てきたものを列記する。
|
|
|
|
時間は3分与えた。机間巡視すると、「かかし」は大方同じような絵であるが、雀の数と位置が各々微妙に違っている。
全員、イメージを絵にすることができた後、指名予告しておいた子数名に黒板に板書させた。
およそ、次のような(A)〜(H)の8つの絵が出された。以下の絵である。

「おもしろいね。同じ俳句で勉強しているのに、いろんな絵が出て来るんですね。これだから、おもしろくてやめられないよ。」と教師のつぶやきの後に問う。
|
|
自分のかいた絵をもとに自由発言させる。
|
|
おおよそ、この2つの意見に絞られた。「なるほど。」と頷いて、ここでは深入りは避けた。
|
|
「1つだけでなくてもいいですか。」という声があったので、おかしいと思ったらいくつでもいいこと、しかしその理由は考えて書くことを告げた。ノート作業後、指名なし発言させた。
|
|
主な意見は以上である。
いわゆる思い思いの発言であって、絵の検討という点では浅く弱い。また、とりわけ根拠となる物もないので、全ての意見をとりあえずは認めることにした。
|
|
本時の主発問である。思考作業の時間には、5分取った。
5分後、まず挙手で人数分布を調べる。
|
|
少ない人数の意見から聞いていくことにした。
|
|
それぞれの立場から考えを聞いてみたが、イメージによる解釈に片寄りがみられ、文の中の言葉を根拠とした読み取りや言葉へのこだわりができていない。
さすがに、語彙不足と言語感覚の乏しさという点では、3年生は未熟であるという感は拭えない。また、教師側の普段の言葉にこだわる国語の授業が不十分であることを実感させられた次第である。
討論はできなかったが、イメージを元に案山子に同化している子供たちの姿は、一応評価できた。さて、授業時間も残り1分足らずとなった。
|
|
ここでチャイムが鳴った。時間切れである。授業を終えた。
3.おわりに
補足だが、夏目漱石が生きた時代は、ちょうど武士の社会が終わりを告げた明治時代である。この時代、新しい時代が訪れたのにもかかわらず、刀を脇差にして、まだ、侍の格好でのし歩いていた者もいたらしい。
ならば漱石は、その時代の主役から下りた武士たちをこの作品で冷笑していたのかもしれぬ。