´99.2.1 NO.51
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1.はじめに
現行の指導要領では、「短歌と俳句」は、6学年の教材として指導されることになっている。
私自身としては、漢字の学習(特に読み方)でも、またこの俳句などでも学年の壁を越えて、どんどん学べるものは授業化していいと考えている。
もちろん、発達段階に配慮して、授業の組み立てや指導事項を限定して指導されなければならないが、国語科という教科の特性からすれば言葉の力を培うためには、さまざまな文体や作品に触れることは意義あることだと考える。
そこで、あえて3年生を対象に、中村汀女の俳句を一つの短い詩文と考え、須藤芳文氏の先行実践(第2期教育技術の法則化13P9)を発達段階におろして修正追試を試みた。
以下、テープ起こしからその記録を記す。
2.授業の流れ
次の俳句を板書する。
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指示1 先生が、黒板に書く文を一字一句間違わないように、ていねいに視写しなさい。 |
全員視写したあと、「全員起立。」
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指示2 |
「どうでした?読めない漢字ある?」とたずねると、「風邪」「留守」を意外に読める子が5〜6人いた。すごいとほめた。
しかしながら、「いひくれし」を「いいくれし」とは、さすがに読んでいない。
そこで「いひくれし」とは、「いいくれし」と読み、昔言葉で『言ってくれた』という意味であることを教えた。
そして、1つ1つの言葉にルビをふり、読み方を正していった。
そして、再度座ったまま1回音読させ、その後次のように問うた。
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発問1 |
大部分の子が悩んでいたので、以前授業した冠句や5・7・5調の文を想起させた。
すると、「あっ!これ俳句だ。」という声。同時に、ほとんどの子供の目が輝き始めた。感づいたようだ。
意図的指名をして、黒板に区切りの線を引かせた。以下のように全員で確かめた。
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「すばらしい。これは俳句なんですね。」と告げた後、次のように問うた。
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発問2 |
机間巡視をし、「キーワードがあるかもしれないよ。」と、つぶやき助言でヒントを与えながら作業の様子を見て回った。
3分後、全員が書けたのを見計らって、挙手で人数分布を見る。
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訳を尋ねると、「風邪の子」とあるから、風邪を一番ひきやすのは冬だから。という意見が大多数を占めた。
「夏」「秋」の子にも聞いたが、どうも自分の生活体験の想起からなんとなくそう思ったと言う。
ここで「風邪」から季節は「冬」であることを確認する。
言わば、これが季語となる。(「季語については、ここでは深入りを避けた。)
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発問3 |
すばやくノートチェックをする。
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「風邪の子」は、どの子も発見できた。しかし、もう一人発見できない。
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発問4 |
2〜3人、「お母さん」「お父さん」「親」と書いてきた子がいた。
「すごい。分かった人がいるとは、驚きだ。」などとおおげさに誉めた。
その後、教師の解を告げる。
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説明1 |
この説明で子供たち「なるほど。」という表情。
そこで、次の発問を投げかける。
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発問5 |
挙手させてみると、
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という結果になった。ここに読み取りの不完全さがある。×の8人に訳を尋ねてみる。
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てくれた」と言う人が別にいるのではないか |
これらの意見に「なるほど。」と思ったのか、再度挙手をさせると次のようになった。
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ここで時間をかけることを避け、教師の方で話し手は「お母さん」であることを告げた。
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発問6 |
全員書いたのを見計らって、列指名で座ったまま全員にテンポよく答えさせた。
大体以下の4つに分かれた。
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指示3 |
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するよ。」と言うなら、そんなにひどい風邪じゃないし、ちょっとくらいなら出掛けても心配ないからです。 |
意見が行き詰まる。しかしながらAは全員一致で取り下げられた。
「なるほど。そうかも知れないね。何歳なんだろうね。」という程度で深入りは避けることにした。
ここでは、この解は明確には出せないからである。
時間も押し迫ってきたので次に進む。
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発問7 |
座ったまま自由に口々に言わせた。
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などが出された。
自分の日常体験を想起したものではあるが、ここでは「子を思う母親の気持ち」に少しでも近づければよいと考え、すべてを受容した。
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発問 8 |
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訳を指名なし発言で尋ねる。
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時間が来てしまった。
教師の解釈を最後に示して授業を終えた。
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説明2 |
3.おわりに
3年生を対象に、この教材並びに俳句という文芸を題材に授業化したこと、そして、その授業構築が適切であったかどうかは全くもって自信がない。
俳句の授業は奥が深く難しい。
俳句は、日本で生まれた世界で一番短い詩である。
短い言葉の中に秘められた作者・話し手の思いや感動、情感が一字一句ににじみ込ませて作られているものだからだ。
拙い実践に、課題は山積みしている。