’99.2.25
NO.118
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○ はじめに
以下の詩を教材にして授業した。
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対象学年は、3年生である。
全てひらがな書きで、かつ平易な文脈であるので、一度読めばどの子も容易に理解できる詩である。
この詩を教材に分析批評を試みた。
○ 授業の実際
黙って教材を印刷したものを配ってから言う。
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う。読んだら座ります。では、始めなさい。 |
全員座ったのを確認してから、列指名で数名に読ませる。ここでは、6名に読ませた。
3年生らしく、生き生きとした張りのある声である。
ふつうのレベルであれば、「これでよし」としてもいいが、ここは、読みへのこだわりを持って「ここをこう読めばもっとよくなる」ということを正していく。
前進的向上的読みとでも言おうか。
音読している者だけが緊張感を持って読むのではなく、聞き手もまた積極的に、その良さや改善点を指摘できるということが大事である。
そこで次のような指示をまず与える。
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るよ」っていうところあったら、お話してください。 |
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まずは、自由発言にて相互評価をさせた。
よい読み手を育てるには、よい聞き手を育てることが大事であると考えている。
言われたどの子も納得していたが、ここで、教師の方でも指摘してやった。
時間をかけず的確に素速くである。
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んで、あとは休みません。 す。 |
もう一度読ませる。
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を目指しなさい。では、どうぞ。 |
全員着席後、先程と別の列で一人ずつ読ませてみる。
1回目よりも、どの子も格段に上手になっている。
野口先生の言われる向上的変容を子供たちに自覚させていく指導が、正しい読みを促し、成果をもたらすのである。
読み終えた後、大いに褒める。ここでの賞賛が大事である。ほんの一言でいい。
「よく読めました。」「とても上手になりました。」という教師の一言が、さらに向上的変容を連続的に保障していく礎となっていくのである。
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きでノートに書きなさい。 |
3分後、一つでも書けたことをほめてから、指名なし発言させた。
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たくさん発見できたことを大いに褒めた。その後、もう一度一連だけを範読して問うた。
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その数をノートに書きなさい。 |
列指名で座ったまま聞いていく。「五つ。」
「その通り。赤鉛筆で○しなさい。五つありますね。」
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「てつぼう。」と子供たち。
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2分後尋ねた。一人を指名。
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ほとんどの子供が「同じです。」と答えた。他にないか尋ねた。
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「なるほど。おもしろくなってきたね。」と言って次の問いかけをした。
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まっているのかどれでしょう。 |
全員立場を決めたのを確認して、挙手にて人数を調べた。
以下の通りである。
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A「きみ」 ・・・・・・17人 |
AとBに絞り、ではどうしてそのように考えたのか自由に発言させた。
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以上の意見が出されたが、ここでとぎれたので次のことを問うてみた。
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「鉄棒が嫌いな人」と答えた子供がいた。
「なるほど、ほかに。」と尋ねたが、なかなか答えられないでいる。
ここは深入りするのを避け「わかりました。では、これはとりあえず?(はてな)にしておこう。」と言って、さらにAかBか意見を促した。
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A文には、「きみをまっています」とはっきり書いています。 |
以上の意見が続いた。ここで教師の方で整理した。
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「一連と五連。」と子供たち。
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「てつぼうはまっています。」と子供たち。
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「さかあがりするのを」「しりあがりするのを」「あしかけあがりするのを」と子供たち。
残り1分となった。
「そうですね。『を』って何を表しているんでしょうね。さて、時間もなくなってきたのですが、もう一つ聞きたいことがあります。」と言ってから問うた。
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えまわりするのを」「うしろまわりするのを」「だいしゃりんするのを」まっていますと書いてありますが、これらのことは「きみ」ができることなのでしょうか。できないことなのでしょうか。どっちでしょう。 |
座りながら口々に子供たちは言い合う。
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・できないんだから、やってほしいんだと思う。 |
「どっちだろう。終わります。」と笑顔で言って、授業を終えた。
○ おわりに
この詩を使った実践で、目を引く授業記録がある。
野口芳宏氏の実践である。’94.9.19〜20に高知市立第六小学校の二年生を対象に行われたものである。
氏の授業は、言うなれば、
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参考までに、その授業構成並びに主な発問・指示群を紹介しておく。
①指名読みさせる。
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間違った読みを即座に指摘し、修正点を示す。
③もう一度読ませる。
④「よおし。よく読めた。」と褒める。
⑤数人に読ませる。
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子供の読みの実態を瞬時に把握し、間違った箇所や読み方をズバリと指摘している。
しかも氏は、「どこをどうすればよいか。」を間髪入れず子供に伝え、改善していく。
野口氏の授業の特徴は、教師の観察力(氏の言われる「聞き耳アンテナ」)で読みへのこだわりを子供自身に働きかけ、向上的変容を保障していくところにある。
そして、よくできたときの「上手になったなぁ。」「姿勢がいい。」「声が澄んでいる。」といった向上的変容を自覚させる“褒めの一言”をいつも忘れない。
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ちょっとした揺さぶりの後、「詩を書いた人が、わざとひらがなで書いたんだよ。」と束ねている。
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「一つずつ数えながら言ってごらん。」(目でとらえさせる)
「そこのところ読んでごらん。」(読んでとらえさせる)
「みんなで数えてみよう。」(確かめさせる)
前進的かつきめ細やかな指導により、詩の連を目に見える形で意識させている。
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⑫ 「次の問題はすごく難しいよ。ほとんどの人ができないよ。」と挑発した後、
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と問うている。
⑬ 「クイズじゃないんだ。中身をしっかり読むんだ。」と主体的でかつ的確な読みへのこだわりを引き出す。
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野口先生の解は、こうである。
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⑯ 最後は、子供に詩を読ませ授業を終えている。