’99.1.14

                                                                       NO.50


  
詩の授業〜「年めぐり」

                        

1.はじめに

 

 本教材「年めぐり」は、「ことばあそびうた」の一つと言える。

 実に明快でリズムがあり、子供たちにもすんなりと心に入って、容易に理解できる「しりとり歌」である。

 多少、今ではあまり耳にしなくなった言葉なども含まれているので、そのあたりの語句解説も加えながら、この詩の秘密を探っていくことにする。

 なお、この授業実践は冬休み明けの初日の出合いにおいて、授業開きとして行ったものである。対象は3年生であった。

 子供たちには、事前に以下のような年賀状を送ってある。


     
謹 賀 新 年

        

   年めぐり
                      阪田寛夫
かるた  たこあげ  げんきなこ
こけし    けやきのめ
めだか  かげふみ  みずすまし
しがつ  つみくさ   さくらもち
ちまき  きつつき   きりのげた
たうえ  えひがさ   さくらがい
いなか  かなかな    
みさき  きいちご   ごむぞうり
りんご  ごいさぎ   ぎんやんま
まつり  りんどう   どうわげき
きのみ  みのむし  しかのこえ
えいが  がいとう   

   

には、どんな言葉が入るでしょう。

 ぴったりあたった人は天才!
 始業式に教えるから考えて来てね。会う(合う)のが楽しみです。        '99元旦
010ー 秋田市
                                 三 浦  



 このようにして、3学期の初日の出合いを演出するために冬休み中にハガキを出しておく。

子供たちは、きっと考えてくるだろうという期待で担任もまた、授業開きをワクワクして待つのである。
 いわば、この年賀状を、本授業の布石とするのである。

 

2.授業の流れ

 

 プリント(教材詩)を配布し、範読する。その後の指示である。

(前日に黒板にこの詩を板書しておいてもいい。)

指示1

 全員起立。3回音読したら座りなさい。
 1回目より2回目、2回目より3回目がより最高の読み方になるよ
うに読みなさい。
 は、ホニャララと読みなさい。

 全員読み終わって着席した後、問う。

発問1

 この詩、知っているでしょう。(全員にこにこして「もちろん、知っているよ。」と答えてくれた。全員それなりに読んでくれたようである。)
 さて、この詩で分からない言葉ありますか。

 

・みさき・ごいさぎ・ちまき・がいとう・きりのげた・えひがさ・みずすまし・かなかな 

 出された言葉は以上の7つである。

 問答しながら、言葉の解説をする。

説明 

【みずすまし】「あめんぼう」という虫のことである。
【ちまき】  5月5日の端午の節句を祝って食べるおもち。
【きりのげた】「桐の下駄」と書く。「桐」は「ごまのはぐさ科の 落葉高木で、5月頃うす紫色の花を        開く」と辞書にある。
【えひがさ】 漢字で書くと「絵日傘」「絵日笠」ととれる。しか し、ここでは6月水無月の梅雨を想        定して「絵柄のある日傘」と考えたい。
【かなかな】 「ひぐらし」というセミ。
【みさき】  「岬」海や湖の中に突き出ている陸地の端。
【きいちご】 「木苺」ばら科の落葉小低木。果実はジャムやいちご酒の原料。
【ごいさぎ】 「五位鷺」さぎ科の鳥。夜鳥の仲間。
【がいとう】 「外套」防寒着。オーバーのこと。「街灯」ではない。 

 このように「分かっている」つもりであっても、教師は事前に辞書をしっかり引いて調べておくことが大事である。
「分かっているつもり」が、実は「分かっていなかった。」と気付く場合が多いからである。

発問2

 (2行目)には、どんな言葉が入るのでしょう。ノートに書きなさい。

 子供たちは考えてきていただけに、すぐ作業を終えた。発表させる。


 「しもやけ」・・・31人、「しいたけ」・・・2人
 

 この2つの言葉に分かれた。そこで、すぐ解を明かさないで、もう少し、この詩を分析させてみることにした。

指示2

 この詩には、秘密があります。気付いたこと・感じたこと・思ったことをいくつでもいいから、箇条書きでノートに書きなさい。 

 5分の時間を与えたと思う。ノート作業は個々の思考の活動である。最低5分は保障するようにしている。

 ほぼ全員が、少なくても2,3個書けたところで、作業を打ち切る。

 少ない子から順に指名なしの自由起立発言をさせた。

 次のような発表があった。

・しりとりになっている。
・「りんどう」「どうわげき」だけ「どう」を使ったしりとり。
・1行に3つの言葉がある。
・1行には、上が3文字、中が4文字、下が5文字でてきている。
・ぜんぶひらがなです。
・季節の流れになっているようだ。
・12行で、できている詩だ。
・1行目が1月、2行目が2月というようにこれは1年の月を表している。 

 「その通り!するどいところを、みなさんはよく見つけましたね。さすがです。」と大いに褒めた。

発問3   では、(7行目)には、どんな言葉が入るのでしょうか。
 列指名で1人ずつ座ったまま答えさせていった。ここは、意外に分かりやすかったようだ。ほとんどの子供が「なつやすみ」と答えた。
 「すごい!この詩の秘密もう分かっている。かしこいなあ。その通り。なつやすみです。」と言ってから3つ目を問うた。
発問4 では、最後の行のには、どんな言葉が入るのでしょう。 
 ここは、難しかったようだ。ほとんどの子供が、「がいとう」の「う」の文字に続くしりとり言葉を苦し紛れに出してくる。ここは、教師の方で「おおみそか」であることを告げた。
 そして再度、以下のように問いかけてみた。
発問5  (2行目)は、「しもやけ」か「しいたけ」か。
 
・「しもやけ」だと思います。2行にあるということは、ここは2月に関係している言葉だと考える
 からです。2月と言えば、とても寒い月だから「しもやけ」になりやすいと考えます。
・「しいたけ」に反対です。ふつう、きのこは秋の食べ物だと思います。2月になぜ「しいたけ」な
 のかおかしいです。 
 以上の意見が出されて、「しいたけ」派の2人は考えを「しもやけ」に変えた。全員「しもやけ」ということに落ち着いたわけである。

説明

 すごいなあ。この詩の秘密を、みなさんはよく見つけましたね。さすがです。
 もう2つ先生が見つけた秘密があるんです。
 1つ目。それぞれの1行が3文字、4文字、5文字の並びでそれを足すと3+4+5=12文字でできているんです。12文字で書かれた12行の詩なんですよ。
 2つ目。最後の言葉「おおみそか」の「か」は、・・・1行目の「かるたの」・・・・そう!その「か」とつながっているんです。
 だから一年が、ぐるぐるめぐって回っているんです。
 だから「年めぐり」という題名なんだよ。 

 この説明を聞くと子供たちは、「おー。」という感嘆にも似た声。

「すげぇー。」という子供。この詩のひみつに触れて気付いた驚きと満足感ともとれた。 

指示3

 最後にみんなで1回声に出して元気よく読んでみましょう。

始業式後の授業であった。あれこれ言って1時間を無駄にすごすよりきちんとした授業で始まる初日は、心無しか、どの子の表情も意欲満々はつらつとしていたように思えた。

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