´99.7.3
NO.91
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1.はじめに
野口氏と言ったら「うとてとこ」,「うとてとこ」と言ったら「野口氏」と言われるほど,あまりにも有名な野口芳宏先生の授業実践である。
谷川俊太郎の「ことばあそびうた」を実に明快にかつその内容美・形式美を心地よく子供たちに感じさせながら,向上的に変容させていく手法は見事
と言うほかない。さすがに授業の名人と言われる所以である。
この授業のすばらしさは,主に以下の5点にあると考える。
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①不明瞭なもの(分からないもの)から明瞭なもの(分かるもの)へ向上的変容の 自覚を保障する。 特の形式美に気づかせていく。 ることで内容理解を深めている。 |
音読指導・創作指導・鑑賞指導 の全てが意図的にちりばめられ,どの子供も充実感を持って「楽しかった。」と感じる授業なのである。
このような詩の授業は「分析批評の授業」とは別に,他にはないすばらしいものであると考えている。
本教材詩を使っての授業実践は四度目になるが,ここでは,野口氏の修正追試という形で6年生を対象にした記録を紹介する。
なお,この実践は3年生で行ったこともあるが,どの学年でも不思議に同じような子供の反応が見られ,どの学年でも追試可能である。
それだけ,原実践は質の高い授業であると言えよう。
2.授業の流れ
日付,詩の題名を板書する。
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「はい,けっこうです。」と言って数名に読ませた。
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列指名する。突然のこの問いに一瞬しーんとし,次いで「分かりません。」の声。
「よろしい。いいですよ。今に分かるようになるからね。」と告げて、詩の1行目を板書して,同様に視写させる。
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一字一句読み間違いがないか,しっかりチェックしてやる。
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やはり「分かりません。」がほとんど。その中で「何かねむたそう。」と答えた子がいた。当然大いに誉める。
「いいね。いいなぁ。とてもいい感じ方しているなぁ。」というように。
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「 これで分かったかな。」と尋ねると,まだほとんどの子が首をかしげて
いる。それでもそこはさすがに6年生。数名は気づいた子がいるようだ。
「うの数かな。」「うが4羽いるんだ。」の声。
すかさず「すごい!たまげた。その通り!」と言い,漢字に書き換えた。
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すぐに子供たちは辞書で「鵜」という鳥を調べる。分かった子供は「なるほど。」といった表情に変わっ
た。
その後確認のため,全員で声をそろえて1行目と2行目を続けて読ませた。
続いてテンポよく3行目を板書し,同じように視写させる。
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これもまた,小刻みなノート作業である。集中を途切れさせない手立てだ。
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では,どこがどう違うのですか。 |
できるだけ下位の子に指名する。「3行目の方が『と』がひとつ多く付いている。」と答えた。
「たった一字なのによく見つけた!すごいぞ。」と大
袈裟に誉める。
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列指名。「分かりません。」の声。こういうときは,あまり時間をかけないほうがいい。さっと教師の方で4行目を板書し解を示した。
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子供たちは「やっぱり!?」「なるほど。」というように頷いている。
ここで正しい読み方を確認する。1行目と3行目を比べ読みさせる。
何人かに読ませてみる。
ほとんどの子は3行目がただ単に『と』一字増えた感覚での拾い読み状態
である。そこで次のように問いかけた。
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挙手した子を指名し発表させた。
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「声に出しながら確かめて考えていいですよ。」と告げると,教室は「う」と「と」の声でいっぱいになった。
2分後,人数分布を確認した。
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自由起立発言で答えさせた。主に以下の意見があった。
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私自身は,22人の子供らと同様,「う」を強調するべきだと考える。
しかし野口氏は,これは誤りで,むしろ「と」を強く読んだ方がいいと言われる。このあたりは,再度考えてみたいところである。
とりあえず教師の考えを告げ,次に急いだ。
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と言って,板書し問う。
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このあたりになると,子供たちも乗ってきて,ぱっとひらめく子供も出て来る。ズバリ正解が出た。板書する。
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テンポよく次の文(「てとてとてとてと」)も板書し,同様に問う。
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「歩いているみたい。」「散歩かな。」などが出る。子供との問答を楽しむようにやりとりしながら,次の文を板書する。
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まるで一人で読んでいるように滑らかに,そしてリズミカルに読ませることが大切である。
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(×)○か×をノートに書いて訳も考えなさい。 |
数分後,人数を調べ少ない方から自由にその理由を発言させていった。
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三連があるんです。 |
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机間巡視して,イメージ豊かな言葉を書いている子は大いに褒め,難儀している子には二行目まではこっそり教え,後の二行は自力で作るよう励まし
て回った。
4分後,作業を打ち切り,意図的指名(頭をなでておいた数名)で発表させた。1,2行は全員同じだった。4行目だけを記すことにする。
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充分に褒めた後,ちょっとたずねてみた。
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期待していた答えは出なかったが,全員自分の感じ方でイメージしてみたと言う。そこで,この詩の持つ形式美について教師側で簡単に補足した。
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ここでチャイムが鳴って1分間の延長となってしまったが,最後に1回全員で通し読み,もう1回暗唱をして授業を終えた。
3.おわりに
本教材詩を載せておく。
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