一文の授業〜「トンネルをぬけると・・・」 |
国語の授業ですから、できるだけそれらしくありたいと思います。 国語の授業らしくありたいと思います。 国語の授業らしくありたいというのは、あくまで文字や言葉にこだわるということです。 「国語の授業が楽しくなる」(明治図書)より |
トンネルをぬけるとそこは雪国だった。 |
トンネルをぬけるとそこは雪国だった。 |
指示1 ノートにこの文をきれいに写しなさい。 |
指示2 起立して三回音読しなさい。どうぞ。 |
発問1 ノートに①と書きなさい。主語は何ですか。主語を①の下に書きなさい。 |
指示3 主語は「そこは」です。合っていた人、赤鉛筆で丸しなさい。間違った人、分からなかった人は書き直しなさい。 |
発問2 ノートに②と書きなさい。述語はどれでしょう。同じように②の下に書きなさい。 |
指示4 その通り。述語は「雪国だった。」です。丸しなさい。 |
説明1 「そこは」「雪国だった。」という訳ですね。「雪国」というのは、雪が多く降る地方、土地のことを言うのですね。秋田だとか青森、北海道なんかがそうです。 |
発問3 さて、この文をもし区切って読むとしたら、どこに区切りを入れて読みますか。自分が視写した文に区切りの横線を入れて、読む練習をしてみなさい。 線は一つでなくてもかまいません。はい、どうぞ。 |
指示5 先生に頭を触られた人立ってごらん。 どこで区切りますか。区切ったところを大げさなくらいあけて文を読んでください。 |
Aトンネルを/ぬけると/そこは/雪国だった・・・・・1人 Bトンネルをぬけると/そこは/雪国だった・・・・・13人 Cトンネルをぬけるとそこは/雪国だった・・・・・・15人 Dトンネルを/ぬけるとそこは/雪国だった・・・・・・2人 |
説明2 A〜Dどれも「、」がついていいと思われますが、ここの中にある一つだけ日本人が古くから好む区切り方があります。その区切り方は、「あるもの」と同じなんです。(ここはやっぱり3年生。何のことなのか分からないと言った表情。きょとんとしている。)みなさんは、俳句って知っていますか。(「知ってる。」と数名。) 俳句って5・7・5で分けるんです。とても日本人には心地よい親しみやすい分かれ方、読み方なんですよ。 A〜Dどの分け方でしょうね。 |
発問4 ひとつ聞きたいことがあります。ノートに③と書きなさい。この文にトンネルが出ています。このトンネルは、長いですか?それとも短いですか? どちらかをノートに書いて、わけも一所懸命考えなさい。証拠も見つけたら大したもんです。天才です。 |
長い・・・・・30人、短い・・・・・・1人 |
「わけは、まだ分かりません。なんとなくです。」 |
・トンネルに入る前は、雪国ではないと言うことですから、短いんだったら、そんなにすぐに景色は変わるはずはないと思ったからです。 ・短かったら、トンネルをぬけてすぐ雪国になるはずないから長いと思いました。 ・「トンネルをぬけると」と書いているから、短いなら「ぬけると」でなく「通ると」と書いていると思ったからです。 ・「そこは」という言葉があるからです。トンネルに入る前は、雪国でなかったと思うからです。 |
説明3 難しいね。先生は、このトンネルは「長い」と考えます。「長い」「短い」と簡単に答えが出せるようなものではないかもしれませんが、入口から入ってすぐ出口から出るようなそんな短いトンネルとは考えにくいのです。 証拠は、たった一文字「は」です。 「そこは」の「は」です。「は」にはいろんな意味があります。あとで辞書で調べてみてください。 もう一つ、「だった」というのも証拠としてあげてもいいでしょう。 「だ」ではないのです。「だった」です。 「そこは」・・・「その別のところは」、「だった」・・・「気がついたらそうだった」 どうでしょう。時間の流れを感じます。ちょっとした時間の長さを感じます。 |
発問5 話し手は、どこにいるのでしょう。 まず、先生と同じようにノートに絵を描きましょう。(簡単な線路とトンネルの図) トンネルの中か、入口か出口か?電車は自分で好きなところに描きなさい。 いいですか。もう一度言いますよ。 「トンネルをぬけるとそこは雪国だった」とお話ししている人、話し手はどこにいるのかと言うことです。絵の中に大きな目玉を書き入れなさい。ただし、話し手は、電車に乗っているものとします。 |
A目玉が出口から出ているか出口に近いもの・・・・・22人 Bトンネルの中・・・・・5人 C入口近く・・・・・3人 |
A「ぬけると」と書いているので「ぬけると」ということは、もうトンネルを出ていることだからです。 B「ぬけると」ではなく「出たら」と書いていないからです。 C「ぬけると」ということは、ぬける前のことだから、これからトンネルに入るよってことだと思ったからです。 |
指示6 同じ意見、違う意見があったら、ご自由にどうぞ。 討論に入っていってもいいです。 |
・「ぬけると」は「〜したら」ということだからAです。 ・「ぬけると」ということは、まだ通りぬけていないということではないですか。 ・それでは、なんで「ぬける」という言葉を使っているんですか。 ・だから「ぬいた」「ぬけた」と書いていないから「ぬける」だけだと通り過ぎたとは言えないと思ったからです。 ・もし、ぬけたのなら「ぬけたら」と書いていればいいし、「ぬけると」と書かないはずだと思うのでBだと思います。 ・トンネルを通りぬけないと雪国だと言うことは分からないからAです。 ・長いトンネルなんだから、入ったばかりの所では雪国なんて分かるわけないんだからCはおかしい。 ・トンネルを通り過ぎなければ雪国だと分からないというのには賛成です。 ・反対。見えなくても、完全に出ていなくても、出口の近くであれば雪国の感じだってするんじゃないんですか。 ・Cはトンネルに入ったばかりだし、Bはトンネルの中ですから真っ暗ですよ。 ・Bだって、雪は白いからまぶしさが見えてくると思います。 ・長いトンネルだから見えません。 ・真ん中にいると、ぬけていません。だからその考えは違います。 |
説明3 みなさんの意見では、話し手は「出口のところにいる」「出口から離れたところにいる」この二つに大きく分かれているようです。 さて、どちらなのでしょう。 |
A派(出口に近いところ)・・・・28人、B(出口から離れたところ)・・・・3人 |
説明4 どちらでしょう。注目する言葉は、先生はこれだと考えます。(「と」を黄色チョークで囲む)それと「だった」です。(同様に「だった」を黄色チョークで囲む) 「と」には、「〜すれば」「〜すると」という意味もあれば、「〜したけっか」「〜したそのあとに」という意味もあります。どちらを取るかで全く違います。 辞書に書いてあります。 もう一つ、だめ押しとして、「だった」とあります。 ハッキリ言っている。 これは「わかった」「そうだった」と気付いたというわけです。 だとしたら正しいのは、自ずと分かるだろうと思います。 授業を終わります。 |