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「西部戦線異状なし」 |
| 西部戦線異状なし 1930・米 |
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![]() 監督:ルイス・マイルストン 原作:エリッヒ・マリア・レマルク 脚色:マックスウェル・アンダーソン デル・アンドリュース ジョージ・アボット 撮影:アーサー・エディソン 出演:ルイス・エイヤース ルイス・ウォルハイム ジョン・レイ レイモンド・グリフィス スリム・サマーヴィル ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 「諸君は祖国の命、ドイツの鉄の男だ!」 第一次世界大戦の真っ只中、ドイツのある町の学校の教室。老教師カントレックは生徒たちに愛国主義をとき、熱弁をふるっていた。
外の通りを戦地に赴く兵隊の行進が続いている。
「諸君が召集されれば、敵を撃退する英雄となろう。私は諸君に志願を強制するつもりはないが諸君は考えたことがあるはずだ。ある学校ではクラス全員が志願したと聞いている。諸君が志願するなら私もこれ以上の名誉なことはない」
進軍の雑音と教師の熱弁に生徒たちはそれぞれ思案に暮れていた。ある者は血潮を燃え立たせ、ある者は恐れている。
「戦争は諸君にとって悪しき体験とはなるまい。高潔であらんとすれば賞賛は後からついてくる。戦いは美徳でこそあれ軽蔑されるものではない。戦えばやがて犠牲も出るだろう。異国での戦いを前にしてローマ兵士たちが唱えた言葉を知っているか、『祖国のために死ぬことのなんと甘きことか』。
今は祖国が諸君を求めている!個人的な野心は捨て国のために大いなる犠牲を払うのだ!栄光の時が始まるのは今だ、名誉が呼んでいる、君は求められている!」
老教師は生徒たちに志願するか聞いてみた。
「「行きます!」 ポール(ルイス・エイヤース)が立ち上がったのをきっかけに生徒が次々と立ち上がった。渋った生徒も回りに促され立ち上がる。ポール、アルバート、ケムメリッヒ、ミュラー、ベーム、ピーターたちだった。老教師は満面の笑みで生徒たちを眺めた。
入隊したその夜、彼らの前に現れたのは町の郵便配達員であったヒンメルストスだった。彼は曹長だったのである。ポールたちは軍隊の挨拶から叩き込まれる。
曹長は新米兵士たちに苛酷な訓練を施した。俺を郵便配達と思ってるな、ここへ来たら俺は曹長だ。
曹長の命令で新米兵士達はぬかるんだ地面に腹ばいになり銃を構える。泥だらけになったポールたちは腹の虫が収まらない。
その夜、ポールたちは曹長をリンチした。一杯機嫌で町から帰る曹長を待ち伏せ、袋叩きにしたのだ。
塹壕の地下室へ入ったポールたちは満足な食事も取れなかった。先輩兵士のカチンスキー(ルイス・ウォルハイム)は、「学校にいればいいものを何で志願した」 と言った。
彼はどこからか豚を盗んできた。どこか抜け目の無い男だった。「ただじゃ食わせられんぞ、タバコ、酒、葉巻、石鹸と交換だ。金は紙きれにすぎん」
塹壕の周りに鉄条網を施設する作業もカチンスキーの指導に従った。そんな中、敵の放つ砲弾が近くで炸裂した。
塹壕の中でベームは砲音によってヒステリー状態に陥った。ケムメリッヒも狂って塹壕を飛び出し脚を撃ち砕かれる。ポールたち若者の英雄主義は無残に砕かれていくのだった。
こうして彼らは幾日かを塹壕の中で仏軍の来襲を待ち受けるのだ。やがてポールは病院でケムメリッヒの死んでいく姿を目の当たりに見ることになる。
教会付近の激戦で爆破の跡にできた穴に潜んでいたポールは飛び込んできた仏兵士を短刀で刺した。 仏兵士はしばらくは生きていたが、そのうちに動かなくなった。
「許してくれ!殺したかったわけじゃない、戦争だから仕方なかったんだ」 仏兵士は死んだまま目を半分開け笑っているように見えた。ポールは戦場に志願したことを後悔した。
仏兵士のポケットから一枚の写真が出てきた。彼の妻子が写っている。ポールは泣いて詫びる。
「殺さなきゃお前が殺されていた。それが戦争なんだ」 カチンスキーはそんなポールを慰めた。 陣地に戻ったポールたちは運河の流れで体を洗う。その時対岸にいたフランス娘たちに異性の臭いを感じた。
ポールはやがて右腹部に被弾した。傷が萎えてから休暇をもらい家に帰ることができた。
母と妹は喜んだ。又、戦地に赴かなければならないポールを母は抱きしめる。
立ち寄った学校では相変わらず老教師が生徒たちに愛国心を吹き込んでいる。教室を覗いたポールを教師は歓迎し、「一言でいい、彼らを奮い立たせてくれ。英雄的な行為や崇高な体験があるだろう?」 ポールは今や懐疑的になっており、「大した話は無い。塹壕で暮らし戦うだけさ。死ぬときがくれば死ぬだけさ」 教師は失望し、「そうじゃあるまい」
「これが事実ですよ。あなたは言いましたね。国のために死ぬのは美しいと。でも最初の砲撃で僕は思い知ったんです。死は惨めで恐ろしい。国のためでも僕はご免だ。何百万人もの死は無意味なんです。皆にあなたは死ねと言ってる。言うのは簡単だがあなたにできますか?」 老教師は何も言えず黙り込む。
「前線では生か死だけ、理想などありゃしない。僕らは負けを覚悟している。この3年というもの1日が百年にも思えた。僕らは泥を食い、土のように眠るだけだ」 ポールの言葉を聞いた生徒達も意気消沈した。
塹壕に戻ったポールはカチンスキーと再会するが、その彼も敵の急襲により死んだ。 ある日、塹壕の近くに一匹の蝶が舞い降りた。ポールは蝶を捕らえようと身を乗り出した。仏兵がそのポールを撃った一発の銃声。ポールは死んだ。 だが、その日の司令部への報告は次のようなものだった。 『西部戦線異状なし、報告すべき件なし』 |
| 映画館主から ドイツのエリッヒ・マリア・レマルクが書いた世界的大ベストセラー「西部戦線異状なし」の映画化で、現在でも映画史上最高の反戦映画としての金字塔を誇っています。 戦争の過酷さ、惨さ、非人間性をドイツの側から描いたアメリカ映画としては異色の作品です。 人の死が日常的な戦場ではたった一人の青年の死は『西部戦線異常なし』と報告されるのでした。 主役のポールにルイス・エイヤース。イケメンの彼を見て男嫌いで知られた大スターのグレタ・ガルボは彼は好きと言ったとか。 先輩兵士のカチンスキーに味わい深いルイス・ウォルハイム。 監督は本作で一挙に名匠となった35歳の新鋭ルイス・マイルストンです。史上初の反戦映画の監督としても彼の名は知られています。彼は後年、犯罪コメディ「オーシャンと11人の仲間」(’1960年、主演:フランク・シナトラ)、「戦艦バウンティ」(’1962年、主演:マーロン・ブランド)という傑作を残しています。 本作は第3回アカデミー最優秀作品賞、最優秀監督賞に輝きました。 |
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