| 戦艦バウンティ 1962・米 | |
![]() 製作:アーロン・ローゼンバーグ 監督:ルイス・マイルストン 脚本:チャールズ・レデラー 撮影:ロバート・サーティース 音楽:ブロニスラウ・ケイパー 出演:マーロン・ブランド トレバー・ハワード リチャード・ハリス ヒュー・グリフィス リチャード・ヘイドン タリタ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 1787年12月、イギリスのポーツマス港。 タヒチ島へ向かう巨大な戦艦バウンティ号が出港の時を待っていた。 イギリスの庭師の中から選ばれたブラウン(リチャード・ヘイドン)が乗り込んだ。 バウンティ号はタヒチに生息する“パンノキ”をジャマイカに運び、栽培するという使命を帯びているのだ。 「パンノキは本当にある。麦と同じ重要な作物だぞ」ブラウンは船員たちに知識を披露する。簡単に栽培できる滋養食の発見は当時、痛切な願いだったのだ。 バウンティ号は帆に一杯の風をはらみ出航した。 ブライ船長(トレバー・ハワード)は歴戦の航海家だが、規律に対して異常なまでの執着ぶりを現した。海軍士官のクリスチャン(マーロン・ブランド)はそんなブライが肌に合わない。 出航間も無く、船員のミルズ(リチャード・ハリス)がブライ船長を侮辱した発言をブライに聞かれ、鞭打ちの刑を言い渡された。甲板で鞭打ちされるミルズの背中の皮が剥がれ血が滲む。 数週間バウンティ号は走り続けた。ブライは到着の遅れを極度に心配し、終日海図と取り組んでいた。 アフリカの突端、喜望峰を回りこむ長い海路だ。 嵐がバウンティ号を襲う。水浸しになった貯蔵庫の床を大樽が移動し暴れまわる。クリスチャンは樽を固定させようと船の速度を落とすように命じた。船の動きが鎮まったところで樽をロープで固定していた、その時、ブライが気が付き、「何をしている、舵を回せ!」 瞬間、樽のロープが切れた。船員の一人が大樽の下敷きになり落命した。 クリスチャンはブライを敵意の篭った眼差しで見た。 ミルズたちは食料の割り当てが減らされたことに抗議し、鞭打ちの刑にされる。ブライのやり方に船員たちは次第に反発の度を濃くしていく。 「島だ!」 遥か彼方に島影が見える。ようやくタヒチ島にたどり着いた。 原住民たちの舟が大挙してバウンティ号を迎えた。 ヒチヒチ王はブライの土産品に大喜びし、「何が望みか?」と聞いた。 「今回の目的はパンノキだ」と答えると、「好きなだけもって行きなさい」 ヒチヒチ王は答えた。 島での生活は船員たちの飢えを満たした。島の女たちも男たちの欲望を満たした。ヒチヒチ王の娘、マイミチ(タリタ)はクリスチャンにぞっこんだった。 数ヵ月後、バウンティ号はパンノキの鉢を積み込み出航した。 やがてパンノキに元気がなくなり、萎れてきた。水が足りないのだ。ブライは船員の飲み水を制限した。マストの上にヒシャクをぶら下げ、水を飲みたい人間はヒシャクをマストの上まで取りに行き、水を飲んだら又戻しておかねばならないのだ。ブライは人間よりもパンノキを優先させたのだ。 体の弱った船員がマストの上にヒシャクを取りに行き、マストから落ちて死んだ。 とっさにブライに飛び掛った船員がいる。彼は捕縛された。 「明日、船底くぐりの刑だ」 ブライは叫んだ。 海軍士官のネッドはブライの暴走に危惧し、クリスチャンの部屋へやってきた。「船底くぐりの刑は死刑と同じだ。違法だ!貴方は何故黙っている」 「・・・船長を殺せとでも?」 「貴方に期待していたんだ、だが間違っていた」 船底くぐりの刑が執行される。綱で縛られた船員が海に落とされ、船底をぐるりと引かれるのだ。しかし、途中で綱に手ごたえが無くなった。船員はサメの餌食になったのだった。 クリスチャンは黙ってブライを睨んでいた。 水を制限された船員の中に海水を飲み、苦しむ者が現れた。胃の中を水で洗わないと死んでしまう。クリスチャンはヒシャクで水を与えた。それを見たブライがクリスチャンのヒシャクを蹴落としたのだ。 クリスチャンの顔色が変る。ブライを殴り倒した。 「この野郎!二度と足でやってみろ!」 海軍士官のネッドや船員の多くがそれを見た。クリスチャンの怒りが爆発した瞬間だった。 ブライは不敵に笑う。「似非紳士の化けの皮をどう剥がそうかと迷っていたが、どうやら手間がはぶけたようだな」そして全員に向かい、「クリスチャン君の暴力行為は見た通りだ、ジャマイカの軍事法廷まで彼を監禁する!」 その時、クリスチャンは軍刀を抜きブライに向かった。そしてブライの左腕を突き刺した。 「この船の指揮は私が執る!」 たちまちの内に叛乱が起きた。ミルズやネッドのようなブライに反感を持つ者がそれぞれ銃を持ち、ブライとそれに従う者たちをボートに乗せ追放したのだ。 「たとえブライのような奴でも殺しは許さん」 クリスチャンはブライを殺しかねない船員たちを押さえ、ブライに羅針盤まで持たせてやった。 「タフォアまで120マイル、羅針盤があれば大丈夫だ」 クリスチャンはブライに言った。ブライはクリスチャンに言う。「必ず捕まえる。一生かかってもな」 「忘れ物だ!」バウンティ号から多くのパンノキの鉢が海の上に投げ捨てられた。 叛乱後、バウンティ号はタヒチ島に引き返した。男たちは再び女たちと交歓したが、クリスチャンは船長室に引きこもったままだった。叛乱を起こした者は祖国イギリスへ帰れない。どこか安住の地へ全員を連れていまねばならない。このタヒチ島へはブライが無事に生きていればまず最初に探しに来るはずだ。 ヒチヒチ王の娘、マイミチが船長室へ入ってきたがクリスチャンの態度は冷たい。 一方、追放されたブライたちは無事に本国イギリスにたどり着いた。軍事法廷に出頭したブライは無罪になったが、「・・・だが、多数の良識ある高官、船員が自発的に叛乱に参加した君のやり方は過度な熱意の表れとも言えるだろう・・・」 と、裁判官は皮肉を込めて言うのだった。 バウンティ号は安住の地を求め30の島々を訪れた。途中、遠方にイギリスの戦艦を見たが息を潜めてやりすごした。 ある日、島影を発見した。海軍の海図にない島だった。そこは無人島で、ヤムイモ、パパイヤ、パンノキなどが豊富にあった。 一同はそこへ定住することを決めた。 ブライについての様々な意見が飛び交った。 クリスチャンはこのところ思索していることを語った。「確実にブライを破滅させる手はある。ロンドンに帰るんだ」 「!!何のために?」ミルズは言った。 「はっきり言っておくが、この島で心の安らぎは決して得られない」 「ブライが無罪になっていたら?」 「我々が軍事法廷にもう一度引っ張り出す。我々はただ、非人的行為の害悪を国民に再認識させれば良い」 「・・・それについては一晩、考えさせてくれますか?」 「もちろんだ」 その夜、海上に異変が起きた。バウンティ号が燃えている。 マイミチに起こされたクリスチャンは急ぎボートでバウンティ号へ向かった。 まだ間に合う!船室の六文儀を取りに降りた。火の手が回っている。六文儀を手に甲板に上がったクリスチャンの上に燃えたマストが襲った。 ボートに乗せられたクリスチャンは全身火傷で瀕死だった。 ミルズはクリスチャンに詫びた。「俺は大恩ある人を大変な目に会わせてしまった」 クリスチャンの意見を聞いたミルズたちがロンドンに帰れないようにバウンティ号に火を放ったのだった。 「俺はみんなの為に船を焼いた。信義を守るために・・・」 クリスチャンが声を絞り出す。「・・・私は死ぬのか・・・何という無駄死にを・・・」 ネッドが言った。「無駄死にじゃない、ブライを抹殺するために、必ず生きてあんたの言葉を伝える」 薬を作って駆けつけたマイミチに、「・・・君を愛していた・・・君が想うよりずっと深く・・・」 それがクリスチャンの最後の言葉だった。 バウンティ号は燃え尽き、海の中に沈んで行く。 |
| 映画館主から 1787年に実際に起き、英海軍史で有名な「戦艦バウンティ号の叛乱事件」の再映画化です。1935年の「南海征服(戦艦バウンティ号の叛乱)」はアカデミー作品賞を受賞し、クリスチャンにクラーク・ゲーブル、ブライ船長にチャールズ・ロートンが扮しています。しかし私は未見です。 本作もアカデミー作品賞にノミネートされるも「アラビアのロレンス」に軍配が上がっています。 監督は反戦映画の大傑作「西部戦線異常なし」(’30年)で知られるルイス・マイルストン。’60年にはフランク・シナトラを主演に「オーシャンと11人の仲間」という奇想天外な犯罪映画も発表しています。 「戦艦バウンティ」はルイス・マイルストン最後の作品で100億円の製作費を掛けただけあって、キャストもセットも豪華絢爛です。 特に戦艦バウンティ号は史実に基づき再現されました。その船上で演技に火花を散らすのが、海軍士官クリスチャン役のマーロン・ブランドと、憎まれ役ブライ船長のトレバー・ハワードです。共に好演です。 まるで「忠臣蔵」の若き大名、浅野内匠頭と老練な吉良上野介の確執のようなやりとりが次第に盛り上がり、ついに叛乱という事態に至ります。 さらに、リチャード・ハリスとヒュー・グリフィスという個性派男優がクリスチャンの叛乱側につく船員を演じてドラマを盛り上げます。リチャード・ハリスは「ハリー・ポッターと賢者の石」の校長役を最後に亡くなりました。 そして、一時代を築いた名優マーロン・ブランドが2004年7月1日80歳の生涯を閉じたのです。「近松座」でも彼の映画は数々紹介しています。 |
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