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「アイズ・ワイド・シャット」 |
| アイズ・ワイド・シャット 1999・米 |
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![]() 製作:監督: スタンリー・キューブリック 原作:アルトゥール・シュニッツラー 脚本:スタンリー・キューブリック フレデリック・ラファエル 撮影:ラリー・スミス 音楽:ジョスリン・プーク 出演:トム・クルーズ ニコール・キッドマン シドニー・ポラック マリー・リチャードソン トッド・フィールド ヴィネッサ・ショウ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 私はニューヨークの開業医ビル(トム・クルーズ)だ。妻アリス(ニコール・キッドマン)との間にまだ幼い娘がいる。 私たち夫婦は最近少し倦怠期を迎えていた。 私の患者の一人で友人のジーグラー(シドニー・ポラック)夫妻にクリスマス・パーティに招かれたのでアリスと共に出かけた。 パーティは豪華なものだった。私はそこで旧友のピアニスト、ニック(トッド・フィールド)に再会した。 私は以前の患者で魅惑的な女性達に誘惑され、アリスはハンガリー人の紳士に誘惑され官能的なダンスを踊っていた。 私が女性達と話しているとジーグラーの使いが呼びに来た。別室に行くとジーグラーの脇に若い女マンディが全裸で倒れている。ジーグラーによるとドラッグを吸引したという。 私の処置でマンディは息を吹き返した。ジーグラーに感謝されたがこのことは誰にも内緒にしてくれと釘を刺された。 自宅に戻った私たちはマリファナを吸いながら抱き合った。パーティでの二人のお互いの出来事を話しているうちにちょっとした口論になった。私が「男は浮気をするものだが女は本質的にそういうことは考えない」というのをアリスが一笑に付したのだ。 かって行った旅先でたまたま見かけた海軍士官に激しい欲情を抱いたと言うのだ。 「彼が私を求めたら私はビルも娘も全てを捨てて彼の元へ行っていた」 とアリスは言った。私は妻の言葉に衝撃を受けた。 患者のネイサンソンが死んだという知らせを受け私は車で向かったが、その間中私は妻と海軍士官との艶めかしい情事の場面が頭から離れなかった。妄想と嫉妬に狂わんばかりだった。 ネイサンソン宅では娘のマリオンが父の死を見取っていた。マリオンは数学教授と結婚して引っ越す予定だと言う。私がマリオンを祝福すると彼女はいきなり私に抱きつきキスをした。「結婚はしたくない。あなたのそばにいたい」 私は父の死で動転しているだけだと諭していると婚約者の数学教授が現れたので悔やみの言葉を述べて辞去した。 私は引き続き妄想に取り付かれ夜の街を徘徊していた。若い女性が声をかけてくる。娼婦だった。名はドミノ。彼女のアパートへ誘われるままについていく。金額を交渉しいざ事を始めようとしたとき携帯電話が鳴った。 妻アリスがいつ帰るかという。「やはり帰るよ」私は言った。ドミノは察したらしく金はいらないと言ったが最初の約束の金を払いアパートを出た。 再び街をさ迷う。たまたま見かけたバーでニックが演奏しているのを知り中へ入る。ニックのピアノ演奏はまもなく終了し、私を見つけてやってきた。 「この後、もう一つ仕事があるんだ」 いつもどこか違う場所で催されるパーティでの演奏なのだという。目隠しをされているが、ある時ゆるんだ隙間からとても奇妙なものと奇妙な女達を見たという。 私は何故か興味を持った。その時、ニックの携帯電話が鳴った。 電話を受けたニックは何やらメモを取った。『FIDELIO(フィデリオ)』。それは次のニックの仕事と関係するらしいと私は気づいた。私はニックに説明を求めた。ニックは渋った。 「そのパーティに参加したい。自分で勝手に行く。決して迷惑はかけない」 私は言った。「FIDELIOはパーティへのパスワードだが中に入るには黒装束と仮面が必要だ。こんな時間にそんなものは調達できないだろう」 ニックは場所だけは教えてくれた。 私は以前の患者が経営しているレインボウ貸衣装店に向かった。夜遅くで店は閉まっている。だが新しい経営者が出てきた。私は身分を明かし特別料金を払う約束をして黒装束と仮面を借りた。 店の奥で店主の娘と日本人の男二人が情事に耽っていた。店主は怒り日本人を閉じ込め娘を追い出した。娘は去り際、私に思わせぶりに囁きかけ肉体を誇示した。
家に帰る。衣装を物置に隠す。アリスはうなされて眠っていた。私に気づきアリスは見ていた夢を語った。 「恐ろしい夢を見ていたわ。どこかの街で自分とあの海軍士官がセックスをしている。その周りでも何百人の人間がセックスをしており、私も何人もの男に抱かれている、そしてそれを見ていたビルを私があざ笑っている」 というものだった。アリスは泣きながら語った。 翌朝私はニックのホテルに向かった。だがニックはいなかった。ゲイのフロントに事情を聞くと彼は今朝早く胡乱な人物と連れ立って出て行ったという。ニックには殴られたような跡があったらしい。 続けて私は貸衣装店に向かった。仮面を紛失したらしいことに気づき代金を弁償した。 昨日の娘と日本人も出てきた。「また必要があれば何でも用意しよう。衣装に限らず・・・」と店主は娘を抱き寄せながら言うのだった。 再び妄想に襲われた私は仕事はそこそこにパーティのあった邸宅を訪れた。しかし、門は堅く閉ざされており出てきた執事は黙って一通の封書を差し出した。『これは二度目の警告だ。これ以上詮索するな』 こう書かれてあった。 娼婦ドミノのアパートを訪ねた私は同居人から彼女が今日出て行ったこと、彼女が今日HIVに感染していることが分かったことを聞いた。 街で誰かに付けられていると悟った私は喫茶店に逃げ込んだ。そこで見た新聞に 『ミスコンの前女王ドラッグの過剰摂取で倒れる』という記事を見た。 私はある予感を抱き搬送された病院に向かった。ミスコンの女王は既に死亡していた。私は遺体安置所で彼女の遺体と面会した。やはり彼女はジーグラーの家で私が処置したマンディで、昨夜の乱交パーティで私の窮地を救った謎の女だった。 その時携帯電話が鳴った。ジーグラーだった。私が彼の家へ着くとジーグラーはビリヤードに興じていた。 「実はあのパーティに私もいたんだ」 ジーグラーは語り始めた。彼はあの乱交パーティの参加者だった。あのパーティは著名人が多く集まるとても危険な集会だった。パーティの後、私を尾行したのもニックを連れ出したのもジーグラーの仕業だった。 そして『ハウスのパスワード』なるものは存在せず、私がタクシーでやってきたこと、貸衣装店のレシートがあったことで私の素性が露見したのだという。更にあの謎の女性は娼婦なのだという。 あの会場での危機は全て茶番で私を脅すためにやったことだと言うのだ。 「あの女性を殺したのか」 私はジーグラーを問い詰めた。 「あの身代わりの茶番とは関係ない。彼女は普段から中毒だった。時間の問題だったんだ」とジーグラー。 こうして今や全てが明らかになった。しかし私には割り切れないしこりが残った。 見も心も憔悴して帰宅した私は眠るアリスの隣の私のベッドに紛失したと思った仮面が置いてあるのを見て驚愕した。 これは!私は訳が分からずその場に泣き崩れた。 驚いて起きたアリスに私は言った。「全て話すよ」 私はアリスと娘を連れてクリスマスプレゼントを買いに出た。賑やかなデパートの中を走り回る娘。いつしか私たちは夫婦二人だけの会話に没頭していた。色々あったけれど生きて帰ってきたことに感謝すべきと語るアリス。 そして夫婦の絆を確かめ合うために今すぐしなければならない大事なことがあるという。 「それは何だい?」 アリスはすかさず答えた。「ファック」 |
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| 映画館主から スタンリー・キューブリック監督の遺作となった問題作。 SF、史劇、戦争、ホラー、犯罪と様々なジャンルで問題作を発表してきた鬼才が最後に取り上げたテーマは『性』の問題でした。 その度に映画の内容で我々に謎をなげかけてきたキューブリックですが、「アイズ・ワイド・シャット」も不可解な謎に満ちた映画といえます。 倦怠期を迎えた夫婦に起きた不可解な出来事。夫に襲い掛かる嫉妬と妄想。ストーリーの力点は謎のパーティの場面です。 深夜の乱交セックス仮面パーティ。ミステリアスな空気に包まれた喩えようのないおぞましいシーン。 ラストで妻のベッドの横に失った筈の仮面が何故あったのか。私には理解に苦しみます。 主演は当時実際の夫婦であったトム・クルーズとニコール・キッドマン。性の倦怠期に悩む夫婦を演じていますが本作の2年後に離婚しています。 監督のスタンリー・キューブリックはこの作品が公開される前に急死しました。主演の二人は大スター、キューブリックの遺作ということもあり映画は大ヒットしました。 セックスシーンが生々しいことでアメリカではNC−17、日本でもR−18(成人映画)指定になっています。 監督についてはスタンリー・キューブリックをご参照ください。 |
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