「レオン」
レオン 1994・米
レオン

監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
撮影:ティエリー・アルボガスト
音楽:エリック・セラ

出演:ジャン・レノ
    ゲイリー・オールドマン
    ナタリー・ポートマン
    ダニー・アイエロ


ゲイリー・オールドマンが興奮剤を噛み砕く

ゲイリー・オールドマン

ゲイリー・オールドマン

レオンとマチルダ

レオンとマチルダ

レオンとマチルダ

ゲイリー・オールドマン(スタンフィールド)がレオンを狙う

レオン
物語

ニューヨークのチャイナタウンに程近いイタリアン・レストラン。
殺し屋家業のレオン(ジャン・レノ)は元締めであるトニー(ダニー・アイエロ)から仕事の依頼を受けていた。最近、トニーのボスであるモリッツォのテリトリーを荒らしている新興ギャングのボスを始末して欲しいとの依頼だった。

レオンがアパートに戻ると階段の踊り場で隣室に住む12歳の少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)が煙草を吸いながら「は〜い」と言った。
マチルダの頬に痣があった。 「どうした?」 レオンが聞くと自転車で転んだのだと言う。
マチルダの父親は再婚しており、継母の女は子連れで腹違いの姉と共にマチルダに辛く当たっているのだった。

翌火曜日、レオンは始末するターゲットが定期的に泊まるニューヨークのホテルへ向かった。
レオンは見張りの部下達を次々と始末した。連絡を受けたボスは慌てふためき警察に電話しようと受話器をとった。その時、ボスの首にレオンのナイフが当てられた。
「ここに電話するんだ」 レオンの声がボスの後ろで囁く。モリッツォの番号だった。
「もう二度とこの町に戻ってくるな」 ボスは止む無く了承しホテルを去っていった。

レオンがアパートに戻ると階段の踊り場でマチルダが又煙草を吸っている。マチルダの部屋では言い争う声が聞こえる。父親は麻薬の売人で、麻薬を卸しているボスの使いの者から麻薬の量を掠めているのではないかと詰問されているのだった。使いの者は明日の正午までに消えた麻薬を提出するよう命令して去っていった。
父親は出てくるとマチルダを平手打ちした。「煙草を吸うな。部屋の掃除をしろ!」

マチルダの姉はテレビも独り占めし、見せてくれない。弟だけがマチルダの親しい家族だった。テレビのエアロビクス番組に夢中の姉。マチルダがリモコンを奪いテレビのチャンネルを変えると姉はマチルダを何度も何度も殴ってきた。

映画を観てアパートに帰ったレオンは階段の踊り場で鼻血を出して泣いているマチルダを見た。「これを」 レオンがハンカチを差し出すとマチルダは受け取った。
「大人になっても辛いことある?」 マチルダが聞いた。「辛いさ」レオンが答える。部屋に戻ろうとするレオンに、「これから買い物に行くから、いつも買っている牛乳2パックを買ってこようか、いつも買っているでしょ?」 レオンがそうだと答えるとマチルダは嬉しそうに出かけていく。

その頃、マチルダの父親のボス、スタンフィールド(ゲイリー・オールドマン)は部下を引き連れアパートに向かった。スタンフィールドはアパートに着くと興奮剤のカプセルを噛み砕く。
「俺がベートーベンを演奏してやる」 マシンガンを手に取りマチルダの父親、母親、姉、そしてマチルダの最愛の4歳の弟までを撃ち殺した。部下が麻薬の包みを探し出した。
レオンはその様子をドアのキーホルダーをくり貫いた穴から見ていた。

マチルダが買い物から戻ってきた。レオンは焦る。マチルダが殺されてしまう。
不穏な空気を感じたマチルダは横目に自分の部屋を見ながらレオンの部屋に近づいてくる。泣き出したいのを堪える。開け放たれたドアの近くに父親が血まみれで倒れているのが見える。家族は皆殺されてしまったのだと悟る。スタンフィールドの部下が見ている。
マチルダはレオンのドアベルを鳴らした。「開けて、お願い」 
レオンは躊躇しながらもドアを開けてマチルダを受け入れた。

レオンは観葉植物の鉢を大事にしている。毎朝、窓の外に出して太陽に当ててやる。「地に根が生えていないところが俺に似てるんだ」
レオンの部屋でマチルダはレオンの本職を知る。レオンの仕事道具、銃器を見たからだ。マチルダは最愛の弟までが殺されたことに復讐を決意していた。レオンに自分を殺し屋にして欲しいと懇願した。戸惑うレオン。レオンはあきれ返り、いくつかの銃器を渡し勝手にやれと言う。
するとマチルダは銃に弾を込め窓から外に向かって乱射したのだ。
たちまち車のブレーキ音や叫び声が聞こえてきた。
「これでも私は殺し屋になれない?」 マチルダはレオンに凄むのだった。

レオンは慌ててアパートを引き払い、マチルダと共にホテルに移動した。レオンは元締めのトニーにライフルを頼み、マチルダに殺しの技術とマナー、自分のポリシーを叩き込む。
「子供と女は殺さない」 そして自分と同じようにマチルダに筋トレを課した。マチルダは文字の読めないレオンに文字を教えた。
二人の間には親子のような恋人同士のような奇妙な感情が芽生えていった。

トニーはそんな二人を見て不吉な予感を覚えていた。
ある日、マチルダはアパートの部屋に忍び込んだ。見張りの警官がいたがすり抜ける。部屋の床板を剥がすと札束がある。
すると数人の男が入ってくる。マチルダは物陰に身を隠す。男達が言い争う声。その中の男が家族を殺した犯人と確信したマチルダは男の後をタクシーで追った。
男は警察署に入っていった。男はスタンフィールドだった。麻薬取締官でありながら汚職警官だったのである。
マチルダは武器を持ち警察署に向かう。一人で仇討ちを決行するつもりだった。しかし、スタンフィールドに逆に捕まってしまう。
だが、レオンはすかさず乗り込んできてマチルダを救った。

レオンはトニーに相談した。
「もし俺に万一のことがあったら、預けてある金をマチルダに渡してくれ」 トニーは請合った。

汚職仲間を殺されて怒り狂ったスタンフィールドはトニーを痛めつけてレオンの居場所を突き止め、数百人の警官隊をレオンのホテルの周囲に張り巡らせた。
マチルダを人質にとり、警官隊がホテルの部屋に突入する。しかし、マチルダの機転でドアの合図を誤った警官隊はレオンの反撃に会い次々と倒されていく。

。「一緒にいたい、愛してるわ」とマチルダ。 「俺もだ。これが終わったら二人で暮らそう」とレオン。
レオンは泣くマチルダを壁の穴から脱出させた。お互いが愛し合っていると自覚した。
マチルダが無事に脱出したのを確かめるレオン。
銃撃戦のあと一人の警官がまだ生きているのを警官隊が助け出した。防護マスクを被ったその警官はレオンだった。
スタンフィールドはそれを見破り、警官隊を外に出させた。レオンはゆっくりとした足つきで外に歩いていく。背後からスタンフィールドが銃を構えていた。
レオンが崩れるように倒れた。スタンフィールドがレオンの上に立ちはだかる。レオンは虫の息だ。銃を向けたが殺すまでも無くレオンは死ぬだろう。
その時、レオンがスタンフィールドに何かを手渡した。
「・・・マチルダからの・・・プレゼントだ・・・」 「?」 それはダイナマイトの起爆ピンだった。レオンの腹にダイナマイトがぐるりと巻きつけられていた。「クソ!」 スタンフィールドが叫んだ瞬間、大爆発が起きた。

マチルダはトニーを訪ね殺し屋として雇って欲しいと訴えるがトニーは断った。トニーの顔は張れ上がっていた。「レオンから預かった金はここにある。必要なときにはいつでも来い」
独りぼっちになったマチルダは厚生施設に入り、レオンの大事にしていた観葉植物を庭に埋めるのだった。
映画館主から

フランス出身のリュック・ベッソン監督がハリウッドで初めて撮ったハードボイルド映画の傑作。
1990年には「ニキータ」(主演:アンヌ・パリロー)という凄まじいアクションも発表しています。

ある殺し屋が親と兄弟を殺された少女のかたき討ちを助けるというストーリーです。アクションシーンが凄まじく、意外性に富んでいます。殺し屋と少女の恋愛感情にも似た心の動きも感情移入を誘います。

主演の寡黙な殺し屋レオンに扮したのはジャン・レノ。一度見たら忘れない顔とは彼のような顔立ちをいうのではないでしょうか。
彼は本作の強烈な印象でスターダムにのし上がり、その後、「ミッション・インポッシブル」(’1996年、主演:トム・クルーズ)、「RONIN」(’1998年、主演:ロバート・デニーロ)、「ダ・ヴィンチ・コード」(’2006年、主演:トム・ハンクス)などの話題作に出演しています。

悪徳麻薬取り締まり警官に扮したゲイリー・オールドマンも忘れられない顔です。興奮剤のカプセルを噛み砕き、ラリってブッとぶ仕草は不気味でさえあります。
「JFK」(’1991年、主演:ケビン・コスナー)、「ドラキュラ」(’1992年)、なども彼の持ち味発揮というところです。

又、本作で注目を集めたのは少女マチルダ役のナタリー・ポートマンです。本作で2000人のオーディションから選ばれた彼女は、一躍脚光を浴び、1999年からの、『スター・ウォーズ』新三部作のヒロイン・アミダラ役を射止めたのです。それからも彼女の活躍は続いています。

1980年の「グロリア」(監督:ジョン・カサベテス、主演:ジーナ・ローランズ)はアメリカ版「子連れ狼」とも言える作品で、「レオン」と良く似た設定のハードボイルドの秀作でした。

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