| ロリータ 1962・英 | |
![]() 製作:ジェームズ・B・ハリス 監督:スタンリー・キューブリック 脚本:原作: ウラジーミル・ナボコフ 撮影:オズワルド・モリス 音楽:ネルソン・リドル 出演:ジェームズ・メイスン スー・リオン シェリー・ウィンタース ピーター・セラーズ ゲイリー・コックレル ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 霧の深い夜、ハンバート(ジェームズ・メイスン)は、放送作家クイルティ(ピーター・セラーズ)の屋敷へやって来た。クイルティの屋敷は広いが退廃的な雰囲気に満ち荒れ果てていた。 ハンバートは拳銃を取り出すと逃げ回るクイルティを撃った。 4年前。パリから渡米した文学者ハンバートは、一夏の宿を求めて田舎町ラムズディルに来た。下宿人を探していた未亡人シャーロット(シェリー・ウィンタース)の案内で部屋を見せてもらったハンバートは、庭にいた夫人の娘ロリータ(スー・リオン)をひと目見て胸が騒いだ。 「借りましょう」 ハンバートは即決した。シャーロットは7年前に夫を亡くし12歳のロリータと二人暮しだった。 3人の奇妙な生活が始まる。シャーロットはハンバートが最初に訪れた時から好きになっていた。時々、官能的に迫ってきたりする。だが、ハンバートの関心は娘のロリータの方だった。小妖精(ニンフェット)のようなロリータは我儘で母親と些細なことで諍いを起こした。 町には放送作家のクイルティという男がいて、女性たちの人気者だった。パーティに来ていたシャーロットがクイルティに挨拶を交わす。 クイルティはさりげなくシャーロットの娘ロリータと新顔のハンバートを観察した。 ロリータがサマーキャンプへ行ってしまった。ロリータが帰ってくる頃にはハンバートはもうここを出ている。ロリータに対する思いが棄てきれなかったハンバートにシャーロットが求婚した。結婚すれば又ロリータに会える。ハンバートはシャーロットと結婚した。 ある日、シャーロットがハンバートの日記を盗み見した。そこにはハンバートのロリータに対する思いが綴られていた。シャーロットは逆上し、ハンバートの言い訳も聞かずに家を飛び出した。そして、走って来た車に轢かれる。即死だった。 今や、ロリータの義父となったハンバートはサマーキャンプにロリータを迎えに行く。母親の死をなかなか切り出せないハンバートだったが、ロリータにそれを告げるとロリータは泣いた。 そして、自分を孤児院へ入れずに一緒に暮らして欲しいと懇願するのだった。ハンバートにとってそれは夢のような魅惑的な状況だった。 ビアズレーの大学の客員教授となったハンバートはその町でロリータと暮らし始めた。ハンバートは高校へ通うロリータの交友関係、特にボーイフレンドとの交際にうるさく口を出した。そんなハンバートに辟易したロリータは今度は演劇部へ入り舞台に立つと言い出した。 ハンバートは、それは男たちの誘惑の手段だと、ロリータの演劇部入りを許さない。 ある夜、高校の心理学教授ゼムフと名乗る男(ピーター・セラーズ)がアパートで待っていた。 ゼムフはハンバートに言った。「あなた方お二人の家庭環境を詳細に調査したいという調査員がおりましてな・・・」 ゼムフはハンバートがロリータの演劇部入りを認めるように揺さぶりをかけてきたのだ。ハンバートはロリータの演劇部入りを認めざるを得なかった。 初演の舞台に駆けつけたハンバートは、ロリータのピアノ教師からロリータがこのところ休んでいたと聞き、芝居がはねた後、打ち上げをするというロリータを引っ張り出した。楽屋にクイルティがいて、一部始終を見ていた。 「いつまでも貴方のいうとおりにはならないわ!」ロリータは義父に食って掛かる。 「旅に出よう、アメリカ中を回るのだ」ハンバートはロリータをなだめすかした。 ロリータを連れて旅に出たハンバートは怪しい車が尾行して来るのに気付いた。振り切ろうとしてスピードを出した車がパンクした。尾行車は後ろでしばらく止まっていたが、そのうち引き換えして行く。 ロリータが発熱した。ロリータを通りすがりの病院へ入院させたハンバートは、夜、モーテルへ掛かって来た怪電話が気にかかり、深夜病院へ行くとロリータは迎えに来た“叔父”に連れられ退院していた。ハンバートは半狂乱になり医師たちに押さえつけられた。 “叔父”?いったい叔父とは誰なのか、ハンバートには見当がつかなかった。 ロリータはそのまま行く知れずとなった。 3年も経った頃、ハンバートはロリータからの手紙を受け取った。ロリータは結婚しており、妊娠しているがお金が無くて困っているという内容だった。 ハンバートがロリータの家を訪れると、妊婦のロリータがいた。相手は労働者風の青年だ。 ハンバートは自分から消えた理由をロリータに問い詰めた。彼女の話でハンバートは全てを知る。病院から連れ出したのは放送作家のクイルティだった。ゼムフ教授も彼の変装であった。モーテルに怪電話をかけてきたのも彼だった。 ロリータはクイルティを愛しており、一緒に暮らしていたのだ。しかし、クイルティからポルノ映画に出演するよう命令されたロリータがそれを断ると、追い出され、ウェイトレスとして働いている時、今の男性と結婚したのだった。 ハンバートはもう一度一緒に暮らそうとロリータに懇願した。しかしロリータは取り合わなかった。ハンバートは泣き崩れ、1万3千ドルの小切手をロリータに手渡した。そして、後も振り返ることなく、クイルティの屋敷へ車を走らせた。 霧の深い夜だった。ハンバートがクイルティを拳銃で撃った。 ハンバートはクイルティ殺しの公判前に心筋梗塞の発作で拘置所で死んだ。 |
| 映画館主から 亡命ロシア人作家のウラジミール・ナボコフの原作、「ロリータ」は、1955年パリで出版されると一大センセーションを巻き起こしました。 教養ある中年男性がローティーンの少女に異常な性愛を抱き、遂には身を滅ぼすという内容から、登場する少女の名、「ロリータ」は幼い少女への性的な言葉として一般化しています。 スタンリー・キューブリックは「スパルタカス」の撮影中から、この原作の映画化を企画し、原作者のナボコフに脚本を依頼しました。実際の撮影ではナボコフのシナリオは相当書き直され、20パーセントほどしか使われていないそうです。 私は原作は読んでいませんが、当時の映画界の制限からロリータへの性的表現は抑えて、中年男性を冷笑的に観察する視点からのブラック・コメディを狙ったようです。 それはピーター・セラーズの起用で明らかです。彼の怪演がなければ本作は相当陳腐なものになっていたでしょう。 そのピーター・セラーズはキューブリックの次回作 「博士の異常な愛情」でブラック・ユーモアの極致ともいうべき怪演で3役をこなしています。 文学者を演じたジェームズ・メイスンは私の好きな俳優の一人です。ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」(’59年・米)でのスパイ団の首領なんか最高でした。 少女役のロリータを演じたスー・リオンは、7500人の候補者の中から選ばれた新人で当時15歳。思春期の臭い立つような色香を感じさせ。我儘な少女を好演しています。その後も女優を続けているようですがこれといった作品に恵まれていないようです。 参考文献:「イメージフォーラム キューブリック」 ダゲレオ出版 |
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