「ローズマリーの赤ちゃん」
ローズマリーの赤ちゃん
          1968・米
ローズマリーの赤ちゃん

製作:ドナ・ホロウェイ
監督:脚本:
    ロマン・ポランスキー
原作:アイラ・レビン
撮影:ウィリアム・A・フレイカー
音楽:クリストファー・コメダ

出演:ミア・ファロー
    ジョン・カサベテス
    モーリス・エバンス
    ルース・ゴードン


ミニー夫人(ルース・ゴードン)

逃げるローズマリー

身重のローズマリーは悪魔の手で・・・


物語

新婚のローズマリー(ミア・ファロー)と夫の俳優ガイ(ジョン・カサベテス)がニューヨーク・マンハッタンのアパートを借りることにした。古いアパートだが部屋が広く、家賃も格安だった。

ローズマリーの古い知人で育ての親でもあるハッチ(モーリス・エバンス)は、このアパートは昔から奇怪な噂があるという。
トレンチ姉妹は、人間の肉を食っていたというし、マカートという霊媒師は、悪魔を呼び寄せるという話で、それを信じた人たちによって半殺しの目に会ったという。
1959年、新聞に包んだ赤子の死体が地下室から発見されたこともあった。

ローズマリーがガイと壁紙を張り替え、家具を揃えると部屋が見違えるように明るくなった。
地下室のランドリーで洗濯をしている時、知り合ったのが、7階のカスタベット夫妻の養女テレサだ。ローズマリーの隣室だった。テレサは麻薬に溺れていたのを夫妻に拾われ養女になったのだという。テレサの首にはタニスという薬草が入った丸い金属のお守りがぶら下がっていた。

ローズマリーとガイが外出から帰るとアパートの前に人だかりができていた。アパートの窓から人が飛び降り自殺したのだ。血で染まったテレサだった。
カスタベット夫妻が帰ってきた。テレサに自殺する心当たりは全く無いという。

隣人のローマン・カスタベット(シドニー・ブラックマー)とミニー夫人(ルース・ゴードン)が挨拶に訪れた。ミニー夫人はローズマリーに丸い金属のお守りをプレゼントする。あのテレサが使っていたものだ。嫌な臭いがする。

ガイは売れない俳優だが、カスタベット夫妻と交際するようになってから、運が回ってきた。ボームガードという俳優が急に失明し、その役がガイに回ってきたのだ。
ミニー夫人は親切だが頻繁にやってきては世話を焼く。ローズマリーは辟易していたが、ガイは隣に行っては世間話をしているらしい。

ある日、ミニー夫人が作って来たデザートを食べたローズマリーは、気分が悪くなり、横たわった。その夜、ローズマリーは奇怪な幻覚にさ迷い、ガイが現れ、毛むくじゃらの悪魔に犯される夢を見た。目覚めると体中に引っかき傷があった。

産婦人科でローズマリーは妊娠を知らされた。それを聞いたガイは喜び、カスタベット夫妻に知らせた。すぐに夫妻はやって来た。
「おめでとう、私達も待ってたんだ」4人は乾杯した。カスタベットは知り合いで腕の良いサバスティン医師を紹介した。

その日から、ミニー夫人はせっせとタニス草を煎じた薬を作り、ローズマリーに飲ませた。
たまたま訪れたハッチにカスタベットを紹介する。カスタベットがいなくなると、ローズマリーは愚痴をこぼす。「ガイは二人の言いなりなの。まるで、息子みたい」 「君は?」 「時々、親切すぎて気味が悪いわ」 
ハッチは帰り際、手袋の片方が紛失したのを知った。

夜、ハッチから電話。「話があるから、明日11時、タイムビルの前で会おう」
翌日、ローズマリーがタイムビルの前で待っていると、ハッチはやって来ない。ハッチは急病で入院していた。

ローズマリーの友人をパーティーに招いた。「痩せたね」「顔色が悪いね」「先生を変えてみたら」 皆、口々に言う。
このところ、ローズマリーはお腹が痛むのだ。
そんな時、ハッチの死の知らせが届いた。

ハッチの弔いに行ったローズマリーにハッチの遺品が残されていた。「悪魔のしもべたち」という一冊の本だった。
その本を読むローズマリー。タニス草に関しての記述・・・別名、悪魔の胡椒・・・!?
本に写真があった。カスタベットに似ている。その息子スティーブン・マカートなる人物は1886年に誕生したとある。カスタベットの年齢だ。その部分にハッチのメモがあった。“アナグラム”・・・・・なんのことか?
そして、文字カードでアナグラムを試すローズマリーに戦慄が走った。
“スティーブン・マカート”は、“ローマン・カスタベット”になる!!

ガイはローズマリーの話を笑い飛ばし、本を焼却してしまう。ローズマリーは本屋で悪魔関連の本を買い求めた。
“悪魔は念じた相手を失明させることができる” “場合によっては、死に至らせることも、その場合、相手の持ち物を利用する”

ローズマリーは失明した俳優ボームガードに見舞いの電話をかける。ボームガードはガイとネクタイの交換をしていた。そのネクタイをガイが“悪魔”に渡したのか。ハッチもあの時、手袋の片方を紛失していた。すべては悪魔のなせる技なのか。

大きくなったお腹をかかえ、産婦人科のサバスティンの診察を受けに医院を訪れたローズマリーは、サバスティンもタニス草のお守りをしていることを知り、慌てた。サバスティンも仲間だ!
前に一度診察を受けたヒル先生の医院へ行った。ヒルに悪魔の恐怖を訴えるローズマリー。
ローズマリーはヒルの医院へ入院する手筈になったが、病室へやって来たのはサバスティンと夫だった。
「すぐ来なさい。悪魔の話などすると、精神病院行きだ」

サバスティンと夫に連れられアパートへ帰ったローズマリーは、エレベーターから駈けて逃げる。部屋へ入ったローズマリーは、友人に電話をかけようとしたが、隣室からサバスティンと夫が入ってきた。捕まえられ、注射を・・・
その時、産気づいた、「産まれる!!」

「男の子だった」 目覚めたローズマリーにサバスティンが説明した。「死産だった。入院してれば手も打てたんだが、逆子だったんだ」
「嘘よ、貴方達が盗んだのよ」 「君のたわごとはヒステリー性の妄想だ」

ベッドに横たわるローズマリーの耳に隣の部屋から赤ん坊の泣き声が聞こえる。やおら起き上がったローズマリー、キッチンからナイフを抜き取った。・・・やっぱり生きている、私の赤ちゃんだわ。
クローゼットから隣室へ、・・・怪しげな絵が掛かる部屋。皆の目がローズマリーを見た。夫もいる。ベビーベッドがあった。おそるおそる近づき、ローズマリーは中を見た。

「!!何をしたの、この子の目に何を!」 ローズマリーはのけぞった。
「悪魔が父親だ。地獄から現れ、人間の女に子供を産ませたのだ」ローマン・カスタベットが言った。「世界中の女の中から貴方が選ばれたの。悪魔の世継ぎのエドリアンの母親としてね」ミニー夫人だった。

ショックのあまり、長いすに臥せるローズマリー。カスタベットが近づき囁く。「神は死んだ。悪魔は蘇えった。・・・手伝わんか、母として、エドリアンを育てる、それだけでいい」
ガイが言った。「俳優としての栄光が報酬だった。・・・死産だったと思えば・・・」 ローズマリーはガイに唾を吐きかけた。

しかし、泣く赤ん坊の揺り篭に近づき、優しく揺するローズマリーの顔は母親の眼差しになっているのだった。
映画館主から

最新作、「戦場のピアニスト」が好評のロマン・ポランスキー監督のハリウッドデビュー作品です。
このオカルト作品のヒットにより、映画界はオカルトブームとなり、「エクソシスト」をはじめとする多数の作品が生まれました。

ポランスキーは、抑制の効いた演出で、現代の大都会に潜む“悪魔”が市民の生活に忍び寄る恐怖をじわりじわりと描いています。
派手なアクションもなし、血が出るわけでもありませんが、ローズマリーが悪魔の子を宿したということが最大の恐怖なのです。ドラマではローズマリーは出産し、その子と対面します。しかし、赤ちゃんは画面に現れません。
「この子の目に何をしたの!」 と、ローズマリーが叫ぶことから、赤ちゃんは、恰好は人間だけれども目に異常性があるのでしょう。
そして、ローズマリーが赤ちゃんを我が子として認めるようなラストになっています。

ポランスキーの映画の終わらせ方は多分に思わせぶりです。あなたの身近にも悪魔的な存在がありますよ、という、メッセージなのでしょう。
「吸血鬼」(’67年・米/英)のラストとも似ています。

主演のミア・ファローは、その繊細でエキセントリックな容姿があいまって当たり役でした。当時、彼女は30歳も上のフランク・シナトラの奥さんでしたが、家庭に入らないファローはシナトラに離婚され、以後、音楽家やウディ・アレンとの結婚、離婚があって実子、養子を合わせ13人の子持ちなのだとか。まさかその中に悪魔の赤ちゃんはいないでしょうが。

夫ガイ役のジョン・カサベテスは、個性派俳優ですが、「グロリア」(’80年)などの渋い映画監督でもあります。

ポランスキーに関しては、「ロマン・ポランスキーの世界」をご参照ください。

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