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「赤い殺意」 |
| 赤い殺意 1964・日活 |
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![]() 監督:今村昌平 原作:藤原審爾 脚本:長谷部慶治 今村昌平 撮影:姫田真佐久 音楽:黛 敏郎 出演:春川ますみ 西村 晃 赤木蘭子 加藤 嘉 北村和夫 北林谷栄 露口 茂 楠 郁子 小沢昭一 殿山泰司 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 仙台の東北大学の図書館に勤める高橋吏一(西村晃)の出張で妻の貞子(春川ますみ)が駅に見送りに行く。
それとなくその様子を物陰から窺がっている男がいる。
その夜、貞子は突然、異変に襲われた。包丁を手にした強盗(露口茂)が家に押し入ってきたのだ。
昼間、駅で貞子を見ていた男だ。男は貞子をスタンドのコードで縛り上げ金目のものを奪うと、今度は貞子を強姦した。
貞子は抵抗しながらも男の力の前には勝てなかった。
『死ななければならない・・・』 貞子は漠然と考えていながら半ば気を失っていたのだ。
男は明け方、再度貞子を犯して去っていった。
貞子はふらふらと土手下を通る鉄路に出て死のうとしてみたが息子の勝への愛情は絶ちがたかった。
翌日出張から帰った夫に何度も打ち明けようと思ったが、何も気づかない吏一の態度に貞子は言葉を呑み込むのだった。
吏一は東北大学の図書館の事務員義子(楠郁子)と5年にわたる不倫の関係にあったが、家では吝嗇で小心な男である。
再び男が貞子の前に現れたのは二日後のことだ。
乱暴な振る舞いの後、男は言った。「もうじき死ぬんだ・・・あんたに優しくしてもらいたいんだ」 それは哀願のような響きをもって貞子に迫った。良く見れば男はなかなかの二枚目だ。
その夜、吏一に抱かれながら、貞子は家庭の平和を乱したくないと苦悶していた。
数日後、今度はデパートの特売場で男に声をかけられる。たまたまそれを図書館の義子が見ていた。義子は牛乳瓶の底のような眼がねをかけたど近眼の女だった。
二月の初め貞子は妊娠に気づいた。あの強盗の子だろうか?貞子に不安がよぎる。
吏一の父清三(加藤嘉)の葬儀に行った貞子は、自分が妾腹だという理由で入籍されず子供の勝が清三の子になっているのを知って愕然とする。
数日後、屋根の上に何やら物音がする。男が貞子への合図で屋根に石を投げているのだ。
吏一が気づいた。吏一は最近、貞子が近所の学生英二と浮気しているのではないかと疑っていたので、嫉妬にかられ隣家に怒鳴り込んだ。
夫に問い詰められた貞子は男に会いに行った。男は平岡というトランペット吹きで心臓を病んでいた。場末のストリップ劇場でトランペットを吹いている。
寂しげな平岡を見て、貞子はラブホテルへ付いて行くのだった。
貞子は決心する。このままずるずると関係を続けていって良い訳がない。
男を殺すしかない。農薬をジュースに混ぜて殺す計画を立てる。
吏一の東京出張中、貞子は平岡と連れ立って列車に乗った。義子が尾行してきた。
途中、雪のために列車が立ち往生した。
二人は列車を降り雪の中を歩いていく。ふらつく男を貞子が介添えする。義子はそんな様子を撮りながらカメラを片手に追った。
吹雪の中、平岡はふらつきながら歩いていく。貞子も遅れて歩く。
義子は距離をとりながら尾行する。山に差し掛かり、トンネルに入る。
平岡に農薬入りのジュースを飲まそうとしたが貞子は突然、それを叩き落した。
貞子に人殺しは無理だった。
その時、平岡が苦しみだした。心臓の発作だった。トンネルの中で平岡が悶絶しながら死んだ。貞子は男に哀れを感じた。
町に戻った貞子を義子が相変わらず尾行していた。
道路の真ん中に出た義子は走ってきたトラックに轢かれた。
カメラは破損した。
吏一は義子の死を知り慄然とした。遺品のカメラにはフィルムが入っている。
現像したフィルムには貞子と思われる後ろ姿が映っている。知らない男と共に。
吏一の追求にも貞子はあくまで白を切るのだった。
何事も無かったかのように貞子の日常生活が戻ってきた。
この生活を守らねば・・・貞子は女としての自覚と責任が芽生えてくるのだった。
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| 映画館主から 日本の土着風土と性を追求した数々の名作を発表した今村昌平監督の衝撃作。
露口茂扮する強盗と蹂躙され犯される人妻、春川ますみ。
ダンサー出身の春川ますみの体当たり演技が印象的でした。
肉感的な人妻は強盗の気弱な男心をくすぐり、駆け落ちしようと執拗に迫られ終いには男を殺すしかないと思いつめます。
しかし、運命の悪戯か男は心臓の発作で死に、又、二人を尾行している夫の不倫相手もトラックに跳ね飛ばされ死んでしまう。貞子にはまた平和な生活が戻るというお話です。
ドロドロした人間関係、エロス、バイオレンス、喜劇、サスペンスと、様々な要素が詰まったエンターテインメントです。 今村昌平は日活時代の盟友でもある川島雄三監督の「幕末太陽傳」(’1957年、主演:フランキー堺)や浦山桐郎監督の「キューポラのある街」(’1962年、主演:吉永小百合)の脚本も書いています。 後年、「楢山節考」(’1983年)と「うなぎ」(’1997年)で日本人として初めてカンヌ国際映画祭で2度のグランプリに輝く快挙を成し遂げました。 |
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