2001/08/19 【電子回路編TOPに戻る】
今回は、アルファプロジェクトから発売されているSH2マイコンボードAP-SH2F-1Aをご紹介します。SH2は日立SuperHシリーズの32ビットRISC方式ワンチップマイコンで、16ビットのH8/3048Fに比べて高速多機能な、最近はやりのマイコンです。
SuperHシリーズ自体にもSH1からSH4まで多彩なラインナップがありますが、今回のマイコンボードAP-SH2F-1Aは比較的使いやすく多機能なSH2のラインナップから、SH2-7051Fのワンチップマイコンを搭載したタイプです。SH2で最もオーソドックスなのはSH2-7045Fのようで、トランジスタ技術2001/6月号の特集でもSH2-7045Fについて解説されていますが、基本的な部分に変わりはありません。
5−1.SH2-7051Fワンチップマイコンの概要
以下にSH2-7051Fの機能概要をご紹介します。書き出すとキリがないようなので、日立のホームページに記載されている機能概要から更に要約してみます。
| 項 目 | 仕 様 |
| CPU |
内部32ビット構成 RISCタイプの命令セット(5段パイプライン) C言語志向の命令セット 命令実行時間 基本命令は1命令/1ステート(20MHz時:50ns/命令) アドレス空間 アーキテクチャ上は4GB |
|
割り込みコントローラ (INTC) |
外部割込み端子x9(NMI,IRQ0〜7) 内部割込み要因x66要因 16レベルの優先順位設定が可能 |
| ユーザーブレーク
コントローラ (UBC) |
CPUやDMACが、ある設定した条件のバスサイクルを生成すると、割り込みを発生。 オンチップデバッガの構築が容易 |
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クロック発信器 (CPG/PLL) |
クロック発信器内蔵(最大動作周波数20MHz) 内部PLLにより、外部入力クロックの逓倍(x1,x2,x4)が可能 外部入力クロックの周波数は4〜10MHz |
|
バスステート コントローラ (BSC) |
外部のメモリアクセスをサポート SRAM/ROMをダイレクト接続可能 外部アドレス空間を4エリアに分割し、各々にバス動作を設定可能 外部最小アクセスサイクル 2サイクル |
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ダイレクト メモリアクセス (DMAC) |
DMACx4チャンネル 外部端子、内蔵SCI、内蔵A/D、内蔵ATUからのDMA要求可能
|
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アドバンスト タイマーユニット (ATU) |
2段構成のプリスケーラを内蔵 フリーランニングカウンタ10本、ダウンカウンタ8本の計18本カウンタ 最大34本のパルス入出力処理が可能 最大7チャンネルのPWM出力可能 |
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アドバンスト パルスコントローラ (APC) |
最大8本のパルス出力可能 |
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ウォッチドックタイマ (WDT) |
WDT x1チャンネル ウォッチドックタイマ/インターバルタイマの切り替えが可能 カウンタオーバーフロー時、内部リセット、外部信号、割り込み発生 |
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シリアル インターフェイス (SCI) |
SCI x3チャンネル 調歩同期/クロック同期を選択可能 全二重通信が可能 専用のボーレートジェネレータ内蔵 マルチプロセッサ間通信機能 |
|
A/D変換器
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A/D x16チャンネル 分解能10ビット 外部トリガとATUのコンペアマッチによる起動も可能 |
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コンペアマッチタイマ (CMT) |
CMT x2チャンネル 4種類のカウンタ入力クロックを選択可能 コンペアマッチ割り込みを各チャンネル独立に要求可能 |
| I/Oポート |
入出力ポート102本 入力ポート16本 の計118本 I/Oポートは、他の機能の端子と兼用 |
|
内蔵メモリ |
フラッシュメモリ 256KB RAM 10KB |
5−2.他のCPUとの比較
以下に主要な部分について、H8-3048F、SH2-7045Fとの仕様を比較します。細かな機能などについては簡単に比較できない所もありますので、あくまで参考程度です。
| 項 目 | H8-3048F | SH2-7045F | SH2-7051F | 単位 |
| 動作周波数 | 16 | 33.3 | 20 | MHz |
| ROM/RAM | 128/4 | 256/4 | 256/10 | Kbyte |
| 外部バス | 8/16 | 8/16 | 8/16 | BIT |
| DRAM用リフレッシュコントローラ | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | - |
| タイマユニット | ITU 5 | MTU 5 | ATU 11 | チャンネル |
| CMTコンペアマッチタイマ | 0 | 2 | 2 | チャンネル |
| DMACダイレクトメモリアクセス | 4 | 4 | 4 | チャンネル |
| SCIシリアルインターフェイス | 2 | 2 | 3 | チャンネル |
| 10BIT A/Dコンバータ | 8 | 8 | 16 | チャンネル |
| WDT ウォッチドックタイマ | 1 | 1 | 1 | チャンネル |
| I/Oポート | 78 | 106 | 118 | 本 |
| パッケージのピン数 | 100 | 144 | 168 | ピン |
7051Fは、7045Fに対して機能面で上回っていますが、動作周波数が低いのが欠点です。7051Fの魅力はA/Dコンバータが16チャンネルある点と、タイマーユニットのチャンネル数が多い点が挙げられます。ただし、PWM出力は最大でも7チャンネルしか出力できないのが残念です。SCIが3チャンネルあり、I/Oも本数が多いというのも、ちょっと良い点です。
こうして単純に比較してみると、H8-3048Fというのも結構健闘しているなあ、という感じがします。
5−3.AP-SH2F-1Aマイコンボードの外観
| 部品面 | 半田面 | ||
![]() |
![]() |
寸法 100mm x 80mm
(コネクタ突起を除く) |
部品面のやや中央に、でん!と腰を据える正方形のLSIが、SH2-7051Fワンチップマイコンです。その右に縦に2個並ぶのが外付けS-RAMで、標準で256Kbyte実装されています。SH2の下にあるICソケットは外部ROMの増設用で、512Kbyteまで実装できます。部品面左端にあるのがDIPスイッチで、右端にあるのがシリアルポート用コネクタです。
AKI-H8マイコンボード (70mm x 50mm)に比べると、ふた周りくらい大きな印象を受けますが、外部RAMの搭載や232Cドライバなど、使用上必要となる機能が追加されていますし、十分小さいことには変わりありません。回路上は基本的に全てのI/O類を外部コネクタに出すだけのシンプルな構成です。
なお、外部にI/O類を取り出すためのコネクタは付属されていないので、用途に合わせて自分で追加します。アルファプロジェクトさんの推奨は、以下のコネクタです。
CN1,2 HIF3H-60DA-2.54DSA / HIF3H-60PB-2.54DSA (ヒロセ 60ピン)
CN3 HIF3H-20DA-2.54DSA / HIF3H-20PB-2.54DSA (ヒロセ 20ピン)
ちなみに電源コネクタはハーネス済みで付属されています。
5−4.AP-SH2F-1Aマイコンボードの回路
回路的にはSH2-7051Fを中心として、外付けROM/RAMとそのチップセレクト用周辺ロジック、RS-232Cドライバ回路、CPU動作モードの設定とA/Dコンバータ基準電圧の接続を行なうためのディップスイッチが追加されている程度で、あとは基本的にI/O端子を外部に取り出すだけのシンプルな構成です。
SH2は、H8のようにフラッシュROM書き込みのためのDC12V電源などが必要ないため、完全にDC5V単一電源だけで動作します。なので、フラッシュROM書き込みのための特別な回路は必要ありません。CPU動作モード端子と、フラッシュ書き込み許可(FWE)端子の設定だけでOKです。
ここをクリックすると、AP-SH2F-1Aマイコンボードの回路図(PDFファイル)がダウンロードできます。アルファプロジェクトさんの許可を得ていないので、もしかしたら怒られるかもしれませんが、とりあえず載せちゃいます。アルファプロジェクトさんすみません。
5−5.AP-SH2F-1Aマイコンボードのピンファンクション
AP-SH2F-1Aには、以下のようなコネクタ用のパターンが付いており、I/O関連を外部に取り出すことができます。
CN1
|
No. |
ピンファンクション |
No. |
ピンファンクション |
| 1 | CLK | 2 | GND |
| 3 | D15/PD15 | 4 | D14/PD14 |
| 5 | D13/PD13 | 6 | D12/PD12 |
| 7 | D11/PD11 | 8 | D10/PD10 |
| 9 | D9/PD9 | 10 | D8/PD8 |
| 11 | VCC | 12 | VCC |
| 13 | D7/PD7 | 14 | D6/PD6 |
| 15 | D5/PD5 | 16 | D4/PD4 |
| 17 | D3/PD3 | 18 | D2/PD2 |
| 19 | D1/PD1 | 20 | D0/PD0 |
| 21 | GND | 22 | GND |
| 23 | A15/PA15 | 24 | A14/PA14 |
| 25 | A13/PA13 | 26 | A12/PA12 |
| 27 | A11/PA11 | 28 | A10/PA10 |
| 29 | A9/PA9 | 30 | A8/PA8 |
| 31 | A7/PA7 | 32 | A6/PA6 |
| 33 | A5/PA5 | 34 | A4/PA4 |
| 35 | A3/PA3 | 36 | A2/PA2 |
| 37 | A1/PA1 | 38 | A0/PA0 |
| 39 | RESET | 40 | HSTBY |
| 41 | A21/PB11/POD | 42 | A20/PB10 |
| 43 | A19/PB9 | 44 | A18/PB8 |
| 45 | A17/PB7 | 46 | A16/PB6 |
| 47 | NMI | 48 | PF11/BREQ/PULS7 |
| 49 | PF10/BACK/PULS6 | 50 | PF9/CS3/IRQ7/PULS5 |
| 51 | PF8/SCK/PULS4 | 52 | PF7/DREQ0/PULS3 |
| 53 | PF6/DACK0/PULS2 | 54 | PF5/DREQ1/PULS1 |
| 55 | PF4/DACK1/PULS0 | 56 | PF3/IRQ3 |
| 57 | PF2/IRQ2 | 58 | PF1/IRQ1 |
| 59 | PF0/IRQ0 | 60 | BATT |
CN2
|
No. |
ピンファンクション |
No. |
ピンファンクション |
| 1 | WDTOVF | 2 | PE14/TIOC3 |
| 3 | PE13/TIOB3 | 4 | PE12/TIOA3 |
| 5 | PE11/TID0 | 6 | PE10/TIC0 |
| 7 | PE9/TIB0 | 8 | PE8/TIA0 |
| 9 | VCC | 10 | VCC |
| 11 | PE7/TIOB2 | 12 | PE6/TIOA2 |
| 13 | PE5/TIOF1 | 14 | PE4/TIOE1 |
| 15 | PE3/TIOD1 | 16 | PE2/TIOC1 |
| 17 | PE1/TIOB1 | 18 | PE0/TIOA1 |
| 19 | GND | 20 | GND |
| 21 | PC14/TOH10 | 22 | PC13/TOG10 |
| 23 | PC12/TOF10/DRAK1 | 24 | PC11/TOE10/DRAK0 |
| 25 | PC10/TOD10 | 26 | PC9/TOC10 |
| 27 | PC8/YOB10 | 28 | PC7/TOA10 |
| 29 | PC6/CS2/IRQ6/ADEND | 30 | PC5/CS1 |
| 31 | PC4/CS0 | 32 | PC3/RD |
| 33 | PC2/WAIT | 34 | PC1/WRH |
| 35 | PC0/WRL | 36 | GND |
| 37 | PB5/TCLKB | 38 | PB4/TCKA |
| 39 | PB3/TO9 | 40 | PB2/TO8 |
| 41 | PB1/TO7 | 42 | PB0/TO6 |
| 43 | GND | 44 | PG15/IRQ5/TIOB5 |
| 45 | PG14/IRQ4/TIOA5 | 46 | PG13/TIOD4 |
| 47 | PG12/TIOC4 | 48 | PG11/TIOB4 |
| 49 | PG10/TIOA4 | 50 | PG9/TIOD3 |
| 51 | PG8/RXD2 | 52 | GND |
| 53 | PG7/TXD2 | 54 | PG6/RXD1 |
| 55 | PG5/TXD1 | 56 | PG4/SCK1 |
| 57 | PG3/RXD0 | 58 | PG2/TXD0 |
| 59 | PG1/SCK0 | 60 | PG0/ADTRG/IRQOUT |
CN3
|
No. |
ピンファンクション |
No. |
ピンファンクション |
| 1 | PH15/AN15 | 2 | PH14/AN14 |
| 3 | PH13/AN13 | 4 | PH12/AN12 |
| 5 | PH11/AN11 | 6 | PH10/AN10 |
| 7 | PH9/AN9 | 8 | PH8/AN8 |
| 9 | AVREF | 10 | AVSS |
| 11 | PH7/AN7 | 12 | PH6/AN6 |
| 13 | PH5/AN5 | 14 | PH4/AN4 |
| 15 | PH3/AN3 | 16 | PH2/AN2 |
| 17 | PH1/AN1 | 18 | PH0/AN0 |
| 19 | AVCC | 20 | AVSS |
CN4 Dsub9ピン
|
No. |
ピンファンクション |
| 1 | N.C |
| 2 | RXD |
| 3 | TXD |
| 4 | N.C |
| 5 | GND |
| 6 | N.C |
| 7 | RTS |
| 8 | CTS |
| 9 | N.C |
SH2のハードウエアやアーキテクチャについては、日立ホームページかトランジスタ技術2001/6月号の特集を参照して下さい。力弥もこれから使いはじめるところなので、H8に比べてどの辺が、どの程度優れているのか、といった点についてはまだ具体的にお話できませんが、それなりの期待感はあります。もっとも、H8ですら使い切っていないのでなんともいえませんが...。
ソフトウエア開発環境については、後ほどソフトウエア編にてご紹介することにします。