Sさん、皆さん、こんにちは。
霧隠です。

Sさん、詳細なご説明ありがとうございます。
まったくもってその通り。
一の郭とニの郭をずらして書いてしまいました。

・・・やっぱり記憶だけを元に報告するのは危険ですね。
縄張り図はやはり偉大です。

さて、今回は足柄関にまつわるお話です。
一つは、武田氏、佐竹氏のご先祖様である源義光公のお話。
もう一つは古代史のヒーロー、倭武尊(やまとたけるのみこと)です。

まずは、義光公のお話です。

「義光様、なぜ私を連れて行ってくださらないのですか!」
「時秋、ならぬといったらならぬ。そなたはここで京に戻るのだ」
「なぜでございます。私は義光様とご一緒に奥州に参りたいのです!」
「わからぬ奴だな。私がこれから向かう奥州は、命がいつなくなるか
 分からない戦場の場。そなたを死なせてしまっては、私の笙の師匠
 である、お主の父君に申し訳がたたぬではないか。」
「父は関係ありません。私は義光様と死ぬまでご一緒したいのです」
「・・・そなたの忠義の心、この義光感じ入るばかりである」
「では!」
「ならぬ」
「なぜでござります!」

義光公、ふところから笙を取り出す。

「その笙は!?」
「そうそなたの父君であり我が笙の師、豊原時元殿からいただいた笙で
 ある」
「・・・」

義光公、近くの大石に座り、笙を一曲かなでる。
あまりの美しき笙の音に時秋しばし聞き惚れる。

「・・・」
「そなたは我の代わりに父君から伝授されたこの笙の秘伝をぜひとも後
 世に伝えて欲しい。」
「・・・」
「我は兄、八幡太郎義家が孤軍奮闘している奥州にこれから参る。我は
 源氏の一族。武に生きる人間である。そなたはこの笙の道のためこの
 足柄の関から京に戻ってくれぬか。」
「・・・」
「このようなすばらしき技が失われるのはあまりにも惜しい。そなたに
 今より父君から授かった笙の奥義を伝授いたす。先を急がなくてはな
 らないから、何度も吹けぬ。今から吹くから覚えるように」
「・・・分かりました。」

義光公、先ほどの石に座りながら笙をかなでる。
豊原時秋、涙を流しながらも義光公をじっとみつめ、その奥義を伝授さ
れ、京に戻り笙の道を後世に伝える・・・

という光景が目を閉じたら浮かんでくるエピソードでした。
歴史的には源氏の嫡流、八幡太郎義家公が後三年の役と呼ばれる合戦を
奥州でするが、朝廷ではこれを私闘と判断、官軍の派遣を断ります。
困った義家公は孤軍奮闘します。
困り果てた兄、義家公をほっとくことができず、新羅三郎義光公は官を
辞し、兄のいる奥州にむかう・・・
ということは知っていましたが、このような笙の伝授は知りませんでし
た。
こういうエピソードもまた楽しき旅の思い出になります。

続きましては、古事記のヒーロー「倭武尊」のお話です。
倭武尊といえば、熊襲退治や草薙の剣のエピソードや白鳥伝説など、神
話の世界のヒーローです。
その彼も関東平定後にこの京と関東を結ぶ足柄の関を通っております。
話は彼の一言で始まります。

「我が妻よ・・・我が妻よ・・・我が妻よ・・・」
倭武尊は今はなき妻のことを思い三嘆した。

妻の名は弟橘姫という。
倭武尊が天皇の命で関東征伐をしている最中に、船で海を渡っていると
きに、海の神の怒りに触れ、海が荒狂い、最早これまでと観念している
中での一瞬のできごとだった。

「海の神よ、私の命と引き換えに我が夫、倭武尊様のお命を救い給え」
そう言ったあと、夫である倭武尊の方を振り返りほほえみを浮かべなが
ら海に身を投げた。

その後、先ほどまでの嵐がうそのように海は静まりかえり、倭武尊は無
事港に到着することができた。
弟橘姫は身を持って夫を救ったのだ。
妻の死を悲しむいとまもなく、関東征伐にあけくれ、無事関東征伐を終
え、今京への帰国の途にあり、関東と京とを結ぶこの足柄の関にたどり
ついた。

戦いは終わり、京に帰るだけになった倭武尊の胸に去来したのは・・・

実際に日本の古典「古事記」にこの悲しき物語は書かれていて、知って
いましたが、こうしてその現場に来ると感慨もひとしおです。

伝説の話ではありますが、身代わりになった妻を思う英雄は、非常に身
近に感じます。
このようなエピソードを共感できるのも旅の醍醐味だと思います。

ちなみにこの「我が妻よ」という言葉は「吾妻(あがつま→あづま)」
として、残り今も関東にはこの「吾妻」という地名はたくさん残ってい
ますし、パソコンで「あづま」と変換すると分かるように「東」つまり
足柄の関から東側を「あづま」と呼ぶようになったと記憶しています。
東の国の名が倭武尊と関係があるのも楽しいエピソードです。

様々なエピソードに彩られたこの足柄古道。
足柄城だけでなく、ちょっと足を伸ばして足柄古道を楽しまれてもいい
かもしれません。

長々と書いてしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうござ
いました。

それでは〜

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