【キリのコメント5】

 黄泉の国まで妻に会いに行こうとしたイザナキは、黄泉の国の入り口で、妻か
 ら決して姿を見ないように…という約束をさせられます。

 しかし、いつまでたっても姿を現せない妻の身を案じ、黄泉の国に入って妻を
 捜すイザナキが見たものは…口にはうじがわき、八つの雷を身にまとった恐る
 べき変わり果てた妻の姿。
 
 口にうじ虫がいるのは、とってもグロテスクですが、雷を身にまとっているの
 ははたしてどうでしょう?

 でも、雷ということは、全身“バチバチ”いっている訳ですから、ものすごく
 危ないですね。

 妻の約束を破ってそのいまわしい姿を見てしまったイザナキは驚いて一刻も早
 く黄泉の国から逃げようとします。

 当然、約束を破られ、恥ずかしい姿を見られたイザナミは烈火のごとく怒りま
 す。
 そして、そばにいた醜女に後を追わせます。

 逃げるイザナキ。
 追う醜女。
 
 イザナキは身に着けているものを投げて、ブドウや竹の子を出し、それを食べ
 させている間に逃げ続けます。

 最後には、桃を投げつけて黄泉の国から脱出しますが、昔から桃には聖なる効
 果があったそうです。

 さて、黄泉の国から脱出したイザナキは、黄泉の国とこの世を大きな岩でふさ
 いでしまいます。

 その岩の向こう側から妻、イザナミの声がします。
 ここで行われる問答は単なる夫婦ケンカを超越したおそろしい呪いの言葉にな
 ります。

 恥をかかされたにしては、“一日千人の人間をくぎり殺す!”というのは恐ろし
 すぎます。
 神々のケンカのとばっちりにしてはシャレになりませんね。

 その妻の呪いの言葉に対して、“一日千五百人の人を生む”というイザナキ。
 これならば純粋に人間たちは増え続けます。

 こうして、人間の生死が決定付けられる…というお話ですが、物騒な夫婦ゲン
 カです。
 このイザナキ、イザナミの夫婦ケンカ(といっても、妻はすでに死んでおりま
 すが)が、日本最初の夫婦ケンカになるのでしょうね。

 それにしてもノッケからものものしい内容です。
 古事記の世界はこうしたナマナマしいお話がたくさんございますから、驚かな
 いでくださいね。

 ちなみにですが、死者の国に行った際に、その国の食べ物を食べると、もう元
 の国に戻れない…という話は、ギリシア神話にもあります。
 ちょっとニュアンスが異なりますが、冥界の王、ハデスに誘拐されたペルセポ
 ネの物語です。

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