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 【週刊『国宝』】 第14号 
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 「恵可断臂図(えかだんぴず)」 

 【制作年代】

 1496年

 【製作者】

 雪舟

 【どこにある?】

 「京都国立博物館」 

 【感想】

 「どうか、弟子入りをお認めください」

 「ならん」

 「そこを伏してお願い申し上げます」

 「くどい。わしは今、面壁座禅の最中だ。邪魔をしないでいただきたい」

 場所は中国少林寺。
 禅宗の初祖、達磨(だるま)が修行の一環として面壁座禅を洞窟に入って実施
 していた。

 その達磨禅師に対して、恵可という僧が参禅を請うたが、達磨は認めなかった。

 「どうか、私を禅師の弟子にしてください」

 「まだいうか。その話は断ったはずだ」

 「私がどれだけ真剣か、これをご覧ください」

 「一体何だというのだ…」

 振り返った達磨がみたものは、自らの左手を切断した恵可だった。

 「お前、その手をどうした」

 「私の覚悟のほどをご理解いただくために、自ら切り落としました。どうか、
  私を弟子にしてください」

 「あい、分かった」

 こうして、達磨の弟子入りが認められるという有名な禅の一場面を77歳の雪
 舟が描いた墨絵です。

 入門のために自らの左手を切断し、その手を持ったまま達磨に入門の許可を願
 いいれるという異様な光景がリアルに描かれています。

 そのとき達磨がしていた修行が面壁座禅。
 じっと壁を見ること9年間。
 禅の奥義を悟ったといわれています。

 じっと壁を見る達磨。
 手の痛みなど顔に出さず、静かに許しを待つ恵可。

 その緊迫した雰囲気はものすごい圧迫感があり、思わず息苦しさも感じるほど
 です。

 それだけ雪舟の技量がすぐれていることが分かります。
 山水画が有名な雪舟ですが、禅宗の僧としての一面を見せるこの絵画。
 京都国立博物館の中で一二を争う一品だと思います。

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