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【週刊『国宝』】 第32号 2005年12月19日発行
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「餓鬼草子」
【分類】
紙本着色
【製作年代】
平安時代
【どこにある?】
東京国立博物館蔵(12/25まで本館2Fにて展示中)
【感想】
12月25日まで東京国立博物館では「日本美術の流れ」というタイトルで本館
の2Fで数々の美術の展示がされています。
その中で、ひときわ目を引く展示物があります。
美術品と呼ぶには人によっては目も背けたくなるおぞましい一品です。
餓鬼草子。
餓鬼とは何か?
仏教でいうところの六道の一つで、「地獄界」「餓鬼界」「畜生界」「修羅界」
「人間界」「天界」に分けられます。
その中の餓鬼は、生前に欲望のままに悪い行いをした報いによって、常に飢え
や渇きの苦しみに悩まされる死者の霊のことです。
さらに、飢えや渇きに苦しみ続ける餓鬼ののどは人間のものよりも細くなって
おり、食べたくても飲みたくてもたくさん食べられないそうです。
この不気味な餓鬼の姿が生々しく描かれたこの餓鬼草子。
絵巻物なので、右側から左に向かって絵が続きます。
最初は貴族の家の中を描いてあります。
ここはまだまだのどかで、平安時代ののどやなさが描かれています。
その隣の部屋には餓鬼が家の中に入ってきています。
女性が赤子を産んだすぐの場面でしょうか?
その赤子を見ている餓鬼の姿が不気味です。
場面は京都の市街を描いているのでしょうか?
貧しい人々の中に多くの餓鬼が徘徊しています。
身をはいつくばらせて食べ物を探しているようにも見えます。
ここからが目をそむけたくなる光景が描かれています。
気持ちが悪いものは見たくない人は見ないほうがいいかもしれません。
(本当に気持ち悪いです)
まず、人々の死体が描かれています。
骸骨もゴロゴロ。
棺おけにも死体が…
その死体のそばに餓鬼たちがうろうろしたり、骸骨をもてあそんだりしていま
す。
今度は餓鬼達の食事の風景です。
…どうみても肥溜めのように見えますが…
(食事中もしくは、食事の前の方は食事を終えた後にご覧ください)
これです。
この絵がもっともおぞましいです。
餓鬼たちが生きたまま鷹でしょうか、に肌を食い千切られています。
そのリアルな描写はネットの画像なんて及びもつかないほど実際の絵巻には迫
力があり、おぞましさもひときわです。
身の毛もよだつとはこのことをいうのでしょう。
えぐり取られた腹から血がしたたりおちている様は身震いするほどです。
最後の二枚は地獄で鬼たちにいたぶられている餓鬼の姿が描かれています。
悪行の因果で地獄に落ちたのでしょうか。
おびえた表情がまたリアルに描かれています。
以上が餓鬼草子になります。
今年最後のメルマガがこんな陰惨な絵の紹介で終えられるのは心苦しいですが、
この絵巻も来週までしか展示されていないので、敢えてご紹介させていただき
ました。
それにしても見るもおぞましい絵巻ですが、平安時代の人々の考えが分かる貴
重な絵巻でもありますので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。