第46話 信長、急ぎ上京
「申し上げます! 4日、六条館が三好三人衆に襲われました!」
「何! 誠か?」
正月6日、六条館が襲われてからわずか2日。
岐阜では珍しい大雪の降る日に飛脚が到着した。
「すぐに京へ向かうぞ!」
一騎駆けでもこの大雪の中を発つつもりの信長はすぐに馬に飛び乗ったが、馬
借どもが争いを始め、すぐに出発できなかった。
「何をしておる!」
「は、はい、馬借の者どもが過重の荷を馬に背負わせることになるといって一
向に承知しないのです」
「分かった」
そういうと信長は馬から下り、自ら荷物を一つ一つ点検し、
「いずれも同じ重さだ。急ぎ出発の用意をしろ!」
「かしこまりました!」
この不始末は、奉行のえこひいきで、荷に不公平があるのではないかと思い、
直接調べたのだった。
「行くぞ!」
しかし、外は予想外の大雪で、夫役の人夫、またそれ以下の者たちで凍死した
ものが数人出るほどの寒さだった。
それでも、通常3日かかる道のりを2日で駆け通し京都に入ったとき、信長の
伴をしていたのはわずか10騎足らず。
しかし、無事六条館に入ることができた。
「ふむ、よくぞ守り通したな」
信長は、六条館の守備の堅固な様子を見て満足した。
「池田清貧を呼べ」
「かしこまりました」
このたびの合戦で池田清貧の手柄の一部始終を聞いた信長は、さっそく清貧を
招いた。
「そのほうのこたびの手柄、見事であった。これをつかわす」
「ははっ、ありがたき幸せ」
こうして、池田清貧は天下に面目をほどこした。
<参考文献>
ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
角川ソフィア文庫:信長公記(奥野高広、岩沢愿彦 校注)