第53話 信長狙撃計画

 「信長が京より岐阜に戻るとのことです」

 「そうか…、ふむ、すぐに兵を鯰江城に送れ!」

 「はっ!」

 「そして、市原の郷近辺で一揆を起こさせるのだ」

 「畏まりました」

 「これで、信長も岐阜へは帰れまいて」

 5月19日、浅井長政は信長を岐阜に帰れないように行く手を阻もうとした。

 「申し上げます! 浅井長政の手の者が鯰江城に詰めているとのことでござい
  ます」

 「さらに、市原の郷で一揆が起こっているようでございます」

 「ふむ、困ったな」

 「お館様に申し上げたきことがございます」

 「なんだ、申してみよ」

 「この蒲生賢秀にとって、この地は幼少の時より慣れ親しんだ土地なれば、お
  館様を無事、岐阜までお送りできる道を存じております」

 「そうか、ではさっそく案内いたせ」

 「ははっ、謹んで」

 こうして、信長は蒲生の進言を入れ、千草越えで岐阜に下ろうとした。

 「申し上げます! 信長千草越えをする模様!」

 「そうか、でかした! これで信長に一泡吹かせてやれるな」

 信長によって南近江を追われた佐々木承禎はいつかその復讐を晴らそうと準備
 を怠らなかった。

 「いいか、この火縄銃で信長をしとめるのだぞ」

 「この杉谷善住房、見事信長めの命奪い取って見せまする」

 「ふはははははっ、これであいつもおしまいだ」

 杉谷は信長の先回りをし、火縄銃を構えて待ち構えた。

 パカカッ パカカッ パカカッ

 「来たな」

 カチャッ

 銃口を向ける杉谷。

 「あの姿、確かに信長だ。よし、もう少し…」

 杉谷と信長の距離はわずか20メートル。

 ズガン ズガーーーン

 チュイン

 「うっ」

 「お館様! 大丈夫でござりまするかっ!」

 すぐに信長のもとに駆けつける家臣たち。

 「うむ、わしは大丈夫だ。かすり傷よ」

 (ちっ、しくじったか)

 こうして5月21日、信長は無事岐阜にたどり着いた。

 「お館様、佐々木承禎の手の者が近江南部で一揆を企てているという知らせが
  届いておりまする」

 「あの親子はまだ生きていたのか。柴田、佐久間、いるか」

 「はっ、ここに」

 「すぐにいって一揆を制圧してくるように」

 「畏まって候」

 6月4日、信長は柴田、佐久間に命じ、佐々木承禎親子が潜伏している近江南
 部を平定して、治安を回復した。

 <参考文献>

 ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
 角川ソフィア文庫:信長公記(奥野高広、岩沢愿彦 校注)

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