第56話 野田、福島攻略

 「大坂に出陣する」

 8月20日、信長は大坂に向けて出発した。
 23日には京都の本能寺に宿を取り、25日には淀川を渡り、枚方(ひらかた)
 に着陣。

 「今より野田、福島へ攻めかかる」

 「ははっ」

 「先陣は天満宮の森、川口、渡辺、神崎、上難波、下難波、海岸寄りに布陣せ
  よ。わしは天王寺に陣を置く」

 「かしこまりました」
 
 「本願寺に加担する細川、三好、安宅、十河、篠原を攻め滅ぼすのだ。そうだ、
  斎藤竜興もおったな。」

 「まだ、しつこくお館様に抵抗している模様で」

 「ふん、まぁたかだか八千ばかりだ。ところで、寝返る手はずになっておる三
  好、香西の動きはどうだ」

 「まだ敵陣からは何の動きもないようでございまする」

 「そうか、奴らが内部から呼応してくれれば一気にけりがつくはずだ」

 「左様でございます」

 「申し上げます!」

 「動いたか」

 「…いえ、三好、香西の両名のみやって参りました」

 「何だと」

 「どうやら陣中の警備が思いのほか厳しく内部からの寝返りをあきらめたよう
  でございます」

 「…そうか。仕方ない。こうなれば力攻めしかないか」

 「お館様、義昭様の軍がやって来たようでございます」

 「やっと来たか。細川のいる摂津の中島の城に行くように伝えよ」

 「はっ」

 「斎藤、稲葉、中川はおるか」

 「ここに」

 「そなたたちは大坂西十町のところにある楼岸に砦を築き、そこを守れ」

 「畏まりました」

 「平手、長谷川、水野、佐々は川口に布陣せよ」

 「仰せの通りに」

 「他のものは埋め草を持って天満の森に集まり、敵城の堀や入り江を埋めるの
  だ」

 「ははっ!」

 準備は整い、いよいよ野田、福島攻略が始まる。
 

 <参考文献>

 ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
 角川ソフィア文庫:信長公記(奥野高広、岩沢愿彦 校注)

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