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【週刊『論語』】 第4号
「貧しくても楽しみ、富んでも礼を好む」
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子貢(しこう)曰く、「貧しうして諂(へつら)ふことなく、富んで驕(おご)
ることなきはいかん」
子曰く、「可なり、未だ貧しうして楽しみ、富んで礼を好む者に若(し)かざる
なり」
子貢曰く、「詩に曰く、『切るが如く磋(みが)くが如く、琢(う)つが如く磨
(と)ぐが如し』と。其れ斯(これ)を之(こ)れ謂(い)ふか」
子曰く、「賜や(子貢のこと)、始めて与(とも)に詩を言うべきのみ。これに
往(おう)を告げて来(らい)を知る者なり」
子貢が孔子に問いかけた。
「貧しくてもへつらうことをせず、豊かになってもおごりたかぶることをしな
い人はどうでしょうか?」
孔子はこう答えた。
「いいでしょう。しかし、まだ貧しくても日々の生活を楽しみ、豊かになって
も礼を好む人にはかなわないでしょう」
その答えに対して子貢はこう述べた。
「それは詩経に『骨や角を細工する者が、これを切ってまたこれを磨き、玉や
石を細工する者は、これを琢(う)ってまた磨(と)いで、美しい上にも美
しくするようにする』とありますが、このことをいったのでしょうか」
その言葉に対して孔子はこう述べた。
「賜や、お前とはじめてともに詩を語り合うことができた。お前は過去のこと
を告げれば未来のことがわかる者だ」
<解説>
貧しくてもへつらわず、豊かになってもおごりたかぶらない。
これだけも十分すぐれていると思うのに、孔子は、貧しくても日々の生活を楽
しみ、豊かになっても礼を好む人にはかなわないと述べている。
その通りだと思う。
はたしてそのような振る舞いをできるかどうか。
そして、その孔子の教えを聞いた子貢は、「切磋琢磨」の四字熟語のもとになる
詩の言葉を引用して美しい上にさらに美しくするごとく、人も努力に努力を重
ねてさらに高みに上っていくべきなのでしょうと述べています。
貧しくても心に余裕を、豊かになっても礼節を忘れない。
この気持ちを忘れずに生きて生きたいと思う。
【参考文献】
『論語新釈』 宇野哲人 講談社学術文庫