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 【中国英雄伝】第11号
 「第11話 藺相如伝1 〜和氏の璧〜」
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 「これは見事な璧(たま)だな。」

 「まことでございますな。さすが、和氏(かし)の璧(たま)、このような美し
  い璧を見たことはございません。」

 「うむ、今後この和氏の璧は趙の宝としよう」

 ここは趙の国。
 恵文王のとき、楚の和氏の璧を手に入れた。

 「申し上げます。秦の昭王から使者が参りました」

 「はて、昭王が何用か。すぐにお通しせよ」

 突然、隣の大国秦の使者が来たことに驚く恵文王。

 「我が主君、昭王から書簡を預かってまいりました。恵文王におかれましては、
  ご覧いただければと思います」

 「ふむ、ではこちらへ」

 秦王からの書簡を読む恵文王。

 「何と書かれておりますか?」

 「……」

 「いかがいたしましたか?」

 「…和氏の璧と秦の15城とを交換して欲しいと書いてある」

 「なんと!」

 「では、秦王からの書簡は渡しましたぞ。返事をお待ちしております」

 そういって使者は国に帰っていった。
 さっそく恵文王は廉頗(れんぱ)ら重臣と協議を重ねた。

 「さて、どうしたものか」

 「秦の要求など一切お受けいたしますな」

 「しかし、そのような強硬な態度を示したら、秦に攻撃の口実を与えてしまう
  のではないか?」

 「では、黙って和氏の璧を差し出せというのか?」

 「もちろん、そのようなことはしたくない。どうせ、秦のことだ、たとえ和氏
  の璧を渡しても15の城を渡すようなことはあるまい」

 「そうだ、そうだ、ただあざむかれるだけだ」

 「しかし、では、どうすればいいのだ…」

 「……」

 「……」

 「それに、和氏の璧を渡すにせよ、渡さぬにせよ、一体誰を使者として遣わせ
  ばいいのだ?」

 「ふーむ、秦のおどしに屈せず、さらに、趙の威厳を失わないようにしなけれ
  ばいけない。これは大任だぞ」

 「適任な者がいるのか?」

 「一人だけ適任の者が知っております」

 「なんと、その者の名は何と言う?」

 「その者は、我が家来、藺相如です」

 ●参考文献:「史記」筑摩世界文学大系7 小竹文夫 小竹武夫訳

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