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 「第3話 伍子胥伝3 〜伍子胥の逃避行〜」
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 宋に逃れた太子建と伍子胥だったが、宋の国に乱が起きたので、鄭(てい)の
 国に逃れた。

 鄭の国は建を手厚くもてなしたが、より強大な国に頼ろうと晋(しん)の国に
 行き、頃(けい)公に会った。

 「太子は、すでに鄭と親しく、鄭に信用されていますね?」

 「はい、私にはもったいないくらいの歓迎振りでした」

 「…そこで、ご相談が」

 「私にできることでしたら何なりと」

 「太子には今一度鄭に戻っていただき、鄭を裏切って内応してくださるなら、
  我々は外から攻め、きっと鄭の国を滅ぼすことができる。その際には太子に
  は領土を差し上げるが…」

 (領土があれば、力を蓄えられるな)

 「喜んでお受けします」

 「おぉ、では、頼みましたぞ」

 こうして、太子建は、鄭に戻ったが、晋に内応する前に、従者と仲たがいをし、
 彼を殺そうとした。

 しかし、建の陰謀を知っていた従者は、鄭にそのことを密告し、怒った鄭の定
 公は太子建を誅殺した。

 「何? 建様が殺された? いかん、勝(しょう)様、すぐにここを離れねば」

 太子建の死を知った子胥は、太子の子、勝とともに、鄭の国を離れ、呉の国に
 出奔した。
 しかし、呉と楚の国境である昭関(しょうかん)につくと、関の役人に捕まり
 そうになったので、勝と離れ、単身で呉を目指した。

 「はぁはぁはぁ」

 追っ手が子胥の背後に迫る。
 しかし、追い詰められながらも長江にたどり着いた。

 「すまぬが、向こう岸まで乗せてくれぬか?」

 「…いいでしょう」

 漁夫は子胥の危急を知って、彼を向こう岸に渡してくれた。

 「助かりました。これは百金の値打ちのある剣だが、お礼としてあなたに差し
  上げましょう」

 「いえ、いりません。楚の法(おふれ)によれば、伍子胥を捕らえた者には、
  粟五万石と爵位がもらえるという。百金どころの話ではございません」

 そういうと漁夫は剣を受け取らなかった。

 それから子胥はまだ呉にたどり着かないうちに病気になり、さらに乞食をしな
 がらようやく呉にたどり着くことができた。

 呉では、呉王僚(りょう)が戦争を好み、公子光(こう)を将軍としていたの
 で、子胥は光の手引きで王に謁見を求め、採用された。

 「申し上げます。今、楚との国境で、桑をめぐって我が国の村と楚の村が攻め
  合っており、助けを求めてきております」

 「何だと、それはすぐに兵を出すのだ。公子光よ、すぐに出兵せよ」

 「はっ、かしこまりました」

 こうして、呉の兵を率いた公子光は、楚の軍を撃退し、帰還してきた。

 「僭越ながら、この子胥、呉王様に申し上げたいことがございます」

 「何だ?」

 「今ならば楚を破ることができます。願わくはどうか、もう一度公子光様をお
  遣わしになりますように」

 念願の楚へのあだを返すのは今だと思った子胥は、呉王僚にすかさず進言した。
 
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