黒石市街



登録運動の有無:なし

登録の可能性評価(低)

所在地:青森県黒石市


【世界遺産に登録できるか?】
  私はこれまでにも、
白川郷・五箇山の合掌造り集落に次ぐ「町並み」の登録を強く望んできましたが、 青森県の黒石はその候補として考察するに足る物件の一つであろうと思います。

  世界遺産に登録するには、 そこに顕著で普遍的な重要性が見出されなくてはなりません。 合掌造り集落は勾配60度にもなる大屋根を有する、 厳しい自然環境下で人類が生み出した独創的な家屋の集積として登録されています。 これと同じように、 雑な言い方をすれば、 誰が見ても「ここは普通じゃないな」 と思えるような場所でなくては世界遺産になれないと思います。 (考古遺跡などは必ずしもその限りではありません)。 黒石は合掌造りの集落ほどインパクトが強くないのですが、 「こみせ」というアーケード様の構造物が発展した特徴的な道路景観を作っています。 黒石のこみせの町並みは、 合掌民家同様、 豪雪地帯での暮らしが育んだ生活の智恵として普遍的な価値があると思われます。 しかも厳密に言うとアーケードとは異なり、 こみせで覆われた道は各戸の敷地という扱いですので、 私有地を共有しているということも興味深い点です。 ただ世界遺産となると、 日本の道百選に選ばれた中町通りを除いて残存率がよく無いことがネックになるでしょう。 合掌の集落とは違い、 こみせはそれ自体が小さく、 言ってしまえば建築の付随物に過ぎません。 現状では、 こみせの特異的な文化的価値は評価できるとしても、 まずは主要な道路沿いにこみせを切れ間なく作り直すなどして、 景観を回復しなければ世界遺産化は狙えないでしょう。 でも将来景観回復が成功すれば、 世界遺産候補地として実際に運動することも可能になるはずです。

  なお黒石は平成17年、ようやく国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されました! 東日本からの指定が少ないことからも大変嬉しく思っております。(著=浦に〜と)

2003/04/13, 2005/05/30



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