北海道のニシン漁関連史跡群



登録運動の有無:なし

登録の可能性評価(低)

所在地:北海道余市郡余市町、小樽市、留萌郡小平町ほか


【世界遺産に登録できるか?】
  北海道から文化遺産候補を出すとなると、
アイヌや縄文の遺跡がまず検討地域として挙がるでしょうが、 ニシン漁関連史跡群もなかなか面白い場所だと思います。 代表的なのが小平町の旧花田家番屋で、 重要文化財に指定されています。 残念ながら納屋などの付属建築はすでに失われ、 現存するのは番屋ただ一棟だけとなっていますが、 それでも漁業関連の建築物として顕著な証左と言えるものでしょう。 北海道にはこのほか、 番屋建築が集中してみられる小樽市の祝津地区や積丹町の美国地区、 また保存状態の良いものとして余市町の旧福原漁場などが特徴的な文化遺産として挙げられます。
  第一次産業の文化財として登録されている外国の世界遺産で顕著なのが、
ヨーロッパのブドウ畑です。 これまですでに3箇所が登録されているうえ (フランスのサン・テミリオン、ハンガリーのトカイ、ポルトガルのピコ島。 ブドウ畑を含む広範地域ということなら、 イタリアのチンクエ・テッレ、オーストリアのヴァッハウ渓谷、ドイツの中ライン上流部など多数ある)、 今後の登録を目指している場所も幾つかあるほどです。 これを受けて日本の茶畑や棚田なども世界遺産になれないかという話もあるようですが、 個人的にはそれらよりもニシン漁関連の建築や漁場を推したいです。 これらは保存状態や、 ほとんどが明治〜昭和戦前という歴史を見るに、 ヨーロッパの文化遺産とは比べもののならないくらい小規模なものです。 でも、 ある時代の文化・産業を代表していることに変わりありません。 大勢の漁業関係者が寝泊りした番屋は、機能的な設計が優れています。 一方、ニシン漁で財をなした者が築いた御殿には豪奢なものも見られます。 私は世俗建築こそもっと多く世界遺産になるべきだと考えておりますので、 その思いをニシン漁関連史跡群に託し、 この場を借りて書かせて頂きました。(著=浦に〜と)

2004/07/19



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